Nature ハイライト

神経科学:4Rタウ繊維の新規な構造

Nature 580, 7802

W Zhangたちは今回、大脳皮質基底核変性症(CBD;運動障害と認知機能障害を生じる疾患)の患者で見られるタウ繊維のクライオ電子顕微鏡構造を明らかにしている。微小管結合タンパク質であるタウの沈着は一般に、特定の神経変性疾患と関連付けられており、CBDは4つの微小管結合リピートを含むアイソフォーム(4R)からなるタウ封入体を特徴とする。この研究グループは以前に、ピック病(タウ繊維は3Rアイソフォームからなる)、アルツハイマー病や慢性外傷性脳症(CTE)(繊維は3Rと4Rタウアイソフォームの両方を含む)の患者から得られたタウ封入体の構造を解析している。タウ繊維の構造はCBDの患者間では同じだが、アルツハイマー病やピック病、CTEに由来するタウ繊維とは異なっていた。また、CBD繊維は新規な4層の折りたたみ構造をとっていて、非タンパク質性の高密度部分を取り囲んでいることが分かった。これらの知見は、繊維状タウを形成する配座異性体の違いによって、異なるタウオパチーが生じるという仮説の説得力を増すものである。このような多様な配座異性体の形成を促す原因を明らかにすることは、診断や治療における新たな機会につながるかもしれない。

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