神経科学:大脳皮質基底核変性症で見つかったタウ繊維の新規な折りたたみ
Nature 580, 7802 doi: 10.1038/s41586-020-2043-0
大脳皮質基底核変性症(CBD)は、神経変性性タウオパチー(タウタンパク質が脳内に不溶性封入体を形成する病気)の1つであり、運動や認知機能の障害によって特徴付けられる。CBDでは、MAPT(タウ遺伝子)のH1ハプロタイプが対照群よりも高い頻度で見られ、ゲノム規模関連解析からはさらに別のリスク因子が見つかっている。組織学的には、アストロサイト斑がCBDの診断基準であり、SDS-PAGEでは、界面活性剤不溶性の37 kDaタウ断片が診断基準となる。進行性核上麻痺やグリア細胞球状封入体タウオパチー、嗜銀顆粒性認知症と同様に、CBDは、4つの微小管結合リピートを含むタウアイソフォームから構成される多量の繊維状封入体を特徴とする。このような「4R」タウオパチーは、タウ繊維が3リピート(3R)タウアイソフォームで構成されるピック病や、3Rタウおよび4Rタウアイソフォームの両方がタウ繊維に含まれるアルツハイマー病や慢性外傷性脳症(CTE)とは区別される。今回我々は、クライオ電子顕微鏡を用いて、3人のCBD患者の脳から抽出したタウ繊維の構造を解析した。これらの繊維はCBD症例間では同一だったが、アルツハイマー病やピック病、CTEで見られるものとは異なっていた。CBD繊維の中心は、タウのリシン274からグルタミン酸380までの残基で構成されている。この配列は、R1リピートの最後の残基からR2、R3、R4リピート全体と、R4の後の12個のアミノ酸にわたっている。この繊維中心は、これまでに観察されていない4層の折りたたみ構造をとっていて、大きな非タンパク質性の高密度部分を取り囲んでいる。この高密度部分は、R2のリシン290とリシン294残基の側鎖と、R4より後の配列からのリシン370の側鎖で囲まれている。

