Nature ハイライト

自己免疫:TLR7とTLR9の応答調節

Nature 575, 7782

Toll様受容体(TLR)であるTLR7とTLR9は、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患において自己の核酸を感知する役割があることが知られている。TLR7とTLR9は全身性エリテマトーデスのマウスモデルにおいて相反する結果を示し、この病気はTLR9欠損マウスでは悪化するが、TLR7欠損マウスでは軽減する。TLR7とTLR9は異なった調節を受けることが示唆されるものの、これらのTLRの下流シグナル伝達の違いをもたらす機構は明らかにされていない。シャペロンのUNC93B1は、新たに作られた核酸結合性TLRのエンドソームへの輸送を行うトラフィッキング因子としてのみ機能すると考えられていて、UNC93B1へ結合する際のこれらのTLRの競合がin vivoで異なる役割を持つことを説明する機構として提唱されている。これについては議論が分かれていたが、G Bartonたちは今回、UNC93B1がシンテニン-1と相互作用し、TLR7–UNC93B1複合体の多胞体の内腔小胞へのソーティングを促進することを明らかにしている。多胞体への内在化はTLR7シグナル伝達を終結させると考えられており、マウスにおいてUNC93B1とシンテニン-1の相互作用を阻害すると、TLR7依存的な自己免疫が引き起こされることが分かった。これに対し、TLR9の活性化には、エンドソームにおけるUNC93B1からの解離が必要であり、このためTLR9が細胞外DNAによって活性化される可能性が減少している。

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