Where I Work

Andrea Kealoha

Credit: Nature by Nani Welch Keliihoomalu

2023年8月、ハワイのマウイ島で発生した山火事は、海岸沿いのラハイナの町に壊滅的な被害をもたらしました。ハワイ大学マノア校はその数日後から、火災が沿岸の水質や汚染物質に及ぼす影響を調べるための対応グループの立ち上げに着手しました。私は、沿岸の水質に関連した調査を主導しました。私はこの島の出身で、サンゴ礁の健康に影響を及ぼすストレス要因を解明するために、以前から島のコミュニティーと協力していたからです。

私たちのチームは、試料採取を始めるためには何が必要で、何を心配する必要があるかを検討し始めました。サンゴ礁のすぐ隣での都市火災など、これまで経験したことがなかったからです。

私たちのチームは、都市火災によって発生し、海洋にストレスを及ぼす可能性があるもの全てに注目して、焼損域内の9カ所を含む海岸線沿いのさまざまな場所で試料採取を行いました。そして、炭酸塩化学、栄養素、有機汚染物質、微生物を調べました。

写真は、私たちが設置した観測ステーションの1つをチェックしているところです。このケージには、海水温、塩分濃度、水圧の他、酸素量、pH、クロロフィル濃度、濁度(透明度の低さ)などを、10秒ごとに数カ月にわたって測定する高性能電子センサーが入っています。

測定の結果、特に港の付近では、ある種の金属の濃度が高いことが分かりました。ただ、これらの濃度は火災後は低下しているため、主に船舶や港湾インフラの燃焼に関連したものだと考えられます。火災後、心配すべき物質の濃度は下がっていて、汚染物質が堆積物中に埋もれたか、外洋に流されていったと考えられます。

私たちのコミュニティーと文化は、海洋と非常に密接なつながりがあります。私たちのコミュニティーと文化、そして経済も支えていくためには、海が健全であることが本当に必要なのです。

翻訳:三枝小夜子

Nature ダイジェスト Vol. 22 No. 4

DOI: 10.1038/ndigest.2025.250452

原文

I explore the impact of wildfires on Hawaii’s coral reefs
  • Nature (2025-01-23) | DOI: 10.1038/d41586-025-00076-5
  • Bianca Nogrady