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Nature ダイジェスト
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Nature ダイジェスト 2013年10月号

間葉系幹細胞の国際標準を!

ネジから液晶ディスプレイの規格まで、大半の工業製品には「国際標準」という詳細な国際的取り決めが存在する。このルールに従っていれば、どこの誰が作ったものでも代替利用できる。これに近い形で「間葉系幹細胞」の国際標準を決めようという動きが、米国立衛生研究所(NIH)の主導で始まった。間葉系幹細胞からは、骨細胞・心筋細胞・脂肪細胞などが作れ、最近では、グリア細胞や幹細胞にも誘導できることがわかり、再生医療への期待が高まっている。ところがその実体は定義さえ怪しい状態にあって、各研究者が勝手に主張しているのに近い。この混乱状況を解決するため、作業部会は当面、基準となる参照株を1株以上樹立したいと考えているという。
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「Nature ダイジェスト」10周年特集 この10年を振り返って― 2009年

image ウェブサイトでは、この10年を振り返り、話題になった出来事や面白いニュースなどを紹介いたします。

2009年

この年は、気候変動やクリーンエネルギーに関する記事を多く取り上げています。これは、2008年の洞爺湖サミットでの環境・気候変動が主要テーマであり、関連の研究分野が活性化したことによるものです。その他、特殊なライトを当てると毛根、皮膚、血液が緑色に光るサルの画像や映像を覚えている方もいらっしゃるかもしれません。日本の研究チームが、トランスジェニック霊長類の作製に世界で初めて成功したのです。また、中国の研究チームが、iPS細胞からマウスの個体を作製することに成功したのもこの年のことです。

Editorial記事無料公開 Free access!

サイバーセキュリティー強化の牽引役 2009年7月号掲載

信頼の危機 2009年4月号掲載

起源を越えて 2009年2月号掲載

今月の無料コンテンツ

特別公開記事

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素晴らしき有機エレクトロニクス p34 Free access!

有機エレクトロニクスの復活は、電子機器の世界を一変させ、機能性を一段と高めた豊かな人間生活を提供してくれることだろう。

創刊10周年記念特別インタビュー Turning Point

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夢ある「探検家」への分かれ道 p7 Free access!

2013年夏、有人潜水調査船「しんかい6500」に乗り込み、水深5000mの海底から熱水域の探査現場をWeb中継した高井 研氏。深海、地殻、宇宙と高井氏の探検フィールドは広いが、そうした極限環境にすむ微生物を調べる彼の研究はどこから始まった?

高井 研
海洋研究開発機構 深海・地殻内生物圏研究プログラム
プログラムディレクター

第12回 Nature Café レポート

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変われるか、ニッポン? 〜変革を迫られる大学・研究機関〜


21世紀の国際社会を生きぬくために、今、理系学生に求められていることは何か。世界で活躍する4人のパネリストが、自身の体験をもとに、学生たちに語りかけた。モデレーターは毎日新聞社の元村有希子氏。

News

ナノ粒子温度計で生細胞の温度を測る  p2

ダイヤモンド結晶における量子効果を利用して、微小なナノ粒子温度計が作製された。 これを生細胞内に導入すると、1000分の数ケルビンという高感度で、 細胞の温度変化をマッピングできる。

ネアンデルタール人の皮革加工用道具  p3

ネアンデルタール人は、 高級ハンドバッグの製造に使われている皮革加工用道具を作っていたようだ。

弱体化マラリア原虫から作成したワクチンが効いた!?  p4

放射線照射された蚊から採取した原虫を使用するマラリアワクチンが、 防除率100%を達成したとの報告がなされた。

地球温暖化で紛争が増える?  p5

気温や降水量が平均から極端にはずれることが、不和や戦争の増加と関連付けられた。

分解能の限界が迫る電子顕微鏡  p8

電子顕微鏡の分解能向上を妨げるノイズが、装置の仕組みではなく、 材料そのものに起因することが分かった。その他の要因も含め、分解能の改善は限界に近づきつつあるようだ。

米国の小惑星捕獲計画  p9

宇宙の小さな岩(小惑星)を捕まえて月の近くまで運び、宇宙飛行士が訪れて調べようという計画が進んでいる。しかし、候補になる岩の選定など、計画の前途には難題が多い。

人間は、ものを投げる動物である  p11

スポーツ選手がものを投げる動作を高速度撮影して調べたところ、カタパルト(投石機)のような機構で 肩と胴にエネルギーを蓄えていることが明らかになった。

EUのバイオ燃料政策が変わる  p18

EUは、化石燃料に代わる輸送用燃料として積極的に導入を進めてきた バイオ燃料について、使用を抑制する方向へと舵を切りつつある。

特許の呪縛を超える試み  p27

特に小さなバイオテクノロジー企業にとって、特許を含む現在の知的財産の状況は悪夢でしかない。この現状を変えるべく、自社の特許技術をオープンソースとして無償公開する大手企業が現れた。

間葉系幹細胞の混乱を解消する標準化 p28

間葉系幹細胞の評価方法についてはバラバラで、その定義すら怪しい。 こうした混乱状態を解決するため、 きちんとした標準を作成する作業部会が設置された。

News Scan

3D印刷で人工気管  p6

再生用の埋め込み器具が実用化

昆虫が草地の炭素吸収を増やす p6

予想外に複雑な仕組みが存在するらしい

News Features

脳科学の世紀  p14

米国と欧州が相次いで、数千億円の資金を投入して脳が働く仕組みを解明する構想を打ち出した。しかし、その実現に必要な技術はまだ十分に整っていないのが現状だ。

効く薬がない「究極の耐性菌」の恐怖  p22

科学や医学の進歩と経済的繁栄や社会保障制度などのおかげで、人類は多くの感染症を実際に克服してきた。 それゆえ、災いが不可避的にやってくるというような黙示録的な表現を保健当局者が使うことはない。ところが、今最後の砦となっている強力な「カルバペネム系抗生物質」に対して、一部の細菌が耐性を獲得し始めており、恐怖を感じながらの監視体制がとられている。

Japanese Author

脳損傷時のニューロン保護作用と グリア細胞のカルシウム濃度 (飯野 正光) p20

受精の際、卵に精子が1つ入ると、カルシウムイオンの波が生じて2つ目が入れないようになる。この例のように、カルシウムは、さまざまな生命現象の制御シグナルとして機能している。このほど、東京大学大学院医学系研究科の飯野正光教授らは、脳が傷害を受けた際にも、カルシウムシグナルが発生して、グリア細胞がニューロンの保護活動を開始するらしいことを見いだした。

Research Highlights

トナカイが雪解けを遅らせる p26

スカンディナビア北部におけるトナカイの放牧習慣と植生に及ぼす影響が、この地域の春の雪解け時期を左右している可能性がある。

News & Views

70万年前のウマのゲノムを解読 p30

約70万年前のウマの骨が永久凍土から回収され、そこからゲノムが解読された。 その他の時代のウマのゲノムも解読され、それらを通して、ウマの進化史の概要が明らかになった。 一方、DNAの残存期間についても興味深い事実がもたらされ、100万年前の試料からでもDNAが回収可能らしいことが分かった。

散開星団の中の惑星形成プロセス  p32

散開星団の中で2つの惑星が発見され、惑星形成のプロセスが強靭なものであることが明らかになった。 なぜなら、散開星団の密度が高かった初期には、恒星どうしの接近や近くでの超新星爆発など、惑星系の破壊を招きかねない出来事が起こったはずだが、それに耐えて今まで生き延びている惑星が、実際に見つかったからだ。

Editorials

レーザー通信による宇宙探査機からのデータ伝送 p35

宇宙船からのデータ伝送速度の向上が求められており、レーザー通信技術への期待が高まっている。ただ、雲を避けてどう伝送するかなど、克服しなければならない課題が残っている。

Highlights

ハイライト p36

2013年 8/1〜8/29号

Editor's Note

間葉系幹細胞の標準化(28ページ)は、現代生物科学が抱える深刻な問題を示している。化学物質の合成や物理現象の計測など、同じ方法で実験すれば、誤差の範囲内で、どの場所でも全く同じ結果が出る。それが暗黙の前提となっているのが科学だ。しかし生物科学は違う。マウスといっても、遺伝子が異なったり太り具合が違ったりするために、別の結果が出ることがある。そうした背景条件が意味を持つ場合、過去の研究全体を再評価しないといけなくなった。このてつを踏まないために、工業製品の国際標準のように、間葉系幹細胞の原材料から加工プロセス、最終製品検査まで共通化しようというのだ。でも、確実に何かが失われる。
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