Where I Work

Federico De Pascalis

Credit: Nature by Bruno D'amicis & Andrea Benvenuti

私は昔から海との縁を感じてきました。2022年にミラノ大学(イタリア)で海鳥の移動に関する意思決定の研究で博士号を取得し、翌年、イタリア環境保護研究所(ISPRA、オッツァーノ・デッレミーリア)の研究員になりました。写真は、2021年にISPRAとミラノ大学の共同プロジェクトの一環として行われた遠征調査の際に撮影されたものです。このプロジェクトの目的は、ヒメウミツバメ(Hydrobates pelagicus)が海でどのように移動しているかを追跡することにあります。

私たちは、サルデーニャ島の北西沖に位置するフォラダダ島の洞窟を訪れました。ヒメウミツバメの営巣地として有名な洞窟ですが、そこに行くのは容易ではありません。小さなボートで洞窟の下まで行き、写真の洞窟をよじ登って、ようやく主洞にたどり着けるのです。フィールドアシスタントのDanilo Pisu(右)と私は、ここで抱卵しているヒメウミツバメに小型のGPSロガーを取り付け、巣に戻しました。この鳥には独特のにおいがあります。人によってその表現はさまざまですが、私にとっては、かすかにほこりっぽい、古い本のにおいです。

人類は何千年も前から地中海沿岸地域で暮らしてきたため、この地域の汚染は深刻です。私たちはこの地域のヒメウミツバメをより良く保護するために、彼らが海のどこを飛んでいるのかを明らかにし、その理由を解き明かしたいと思っています。

私たちは、ヒメウミツバメが海水が激しくかき乱されている海域に引き寄せられることを発見しました。こうした海域では、波の下のはるか深い所で海流がぶつかり合い、プランクトンが海面に浮上する現象が生じているのです。

私はこれまでさまざまな鳥を研究してきましたが、ヒメウミツバメは最も興味深い鳥です。彼らは神話と謎に満ちた歴史を持っています。19世紀の船乗りたちの言い伝えでは、ヒメウミツバメは死んだ船乗りたちの霊で、船に嵐をもたらすと信じられていました。実際には、鳥たちは荒天を避けるために船の近くに逃げてきていたのです。ヒメウミツバメをより深く理解することで、彼らはさらに特別な存在になります。

翻訳:三枝小夜子

Nature ダイジェスト Vol. 22 No. 1

DOI: 10.1038/ndigest.2025.250144

原文

I track the movements of the mysterious storm bird
  • Nature (2024-10-03) | DOI: 10.1038/d41586-024-03154-2
  • Alexia Austin