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Nature Plants に掲載された一次研究論文(Articles および Letters)について、その概要を日本語で紹介しています。

Nature Plants 基礎研究と応用研究を幅広くカバーします。植物のすべての側面、そして、植物と広範な世界との相互作用に関する最高の研究論文の出版基盤となります。学際性の高いアプローチをとることにより、主な焦点が遺伝学、発生、病害抵抗性、代謝、農学、経済学、あるいはそれ以外の無数の側面のいずれであっても、植物界についての理解を深めたい研究者にとって不可欠なリソースになります。

2018年3月

  • Perspective: 気候、食料および土壌の世界的保全に取り組むための砕石混合農法

    Farming with crops and rocks to address global climate, food and soil security

    doi: 10.1038/s41477-018-0108-y

    気候温暖化を緩和するには、大気中へのCO2の排出を抑制するとともに、CO2の除去法を開発しなければならない。反応が速い破砕ケイ酸塩岩の農地への投入には、生産性の向上、土質の回復、および大気中CO2の削減が期待される。

  • Letter: システミン受容体SYR1は草食性昆虫に対するトマトの抵抗性を強化する

    The systemin receptor SYR1 enhances resistance of tomato against herbivorous insects

    doi: 10.1038/s41477-018-0106-0

    システミンは、約30年前に発見された最初の植物ペプチドホルモンである。今回、システミンの受容体がついに同定され、それが草食性昆虫への応答に重要であることが明らかになった。

  • Letter: 抗ウイルス自然免疫および病害からの回復におけるPTGS経路とTGS経路のクロストーク

    Crosstalk between PTGS and TGS pathways in natural antiviral immunity and disease recovery

    doi: 10.1038/s41477-018-0117-x

    植物がウイルス病から回復するメカニズムは、いまだ明らかにされていない。今回、病害からの回復には、RNAサイレンシング経路によって仲介されるウイルスのサイレンシングサプレッサータンパク質の活性消失が関与しており、それによってウイルス抵抗性が確立されることが発見された。

  • Article: CAMの潜在的生産力のコンピューター解析

    Computational analysis of the productivity potential of CAM

    doi: 10.1038/s41477-018-0112-2

    ベンケイソウ型酸代謝(CAM)を利用する植物は、水利用効率(WUE)が高い。葉の代謝ネットワークの日周的なフラックスバランス解析から、CAMをC3作物に組み込むことで、収量を大幅に損なうことなくWUEが向上すると考えられることがわかった。

  • Article: アポプラストペプチドはトウモロコシのサリチル酸シグナル伝達を活性化させる

    An apoplastic peptide activates salicylic acid signalling in maize

    doi: 10.1038/s41477-018-0116-y

    トウモロコシのパパイン様システインプロテアーゼとサリチル酸(SA)シグナル伝達の間のミッシングリンクは、Zip1という小型のアポプラストペプチドであった。Zip1は、SAと類似の防御反応を誘発し、病原性真菌に対する免疫に影響を及ぼす能力をもつ。

  • Article: シロイヌナズナのRNA指令型DNAメチル化にはポリメラーゼV転写物の共転写性の低分子RNA誘導型スライシングが関与する

    RNA-directed DNA methylation involves co-transcriptional small-RNA-guided slicing of polymerase V transcripts in Arabidopsis

    doi: 10.1038/s41477-017-0100-y

    植物のRNA指令型DNAメチル化には、RNAポリメラーゼV(Pol V)によって転写された非コードRNAが必要である。改変包括的核ランオン法および高性能の塩基配列解読法でPol Vの新生転写物を捕捉したところ、Pol V RNAには固有の特徴が発見された。

2018年2月

  • Article: 人間の影響に由来する植物の行動と完新世サハラでの野生穀物栽培

    Plant behaviour from human imprints and the cultivation of wild cereals in Holocene Sahara

    doi: 10.1038/s41477-017-0098-1

    アフリカのサハラ地方の遺跡で、野生穀物の種子密度について、そしてその「雑草性」形質が紀元前8千年紀からの人間による利用と栽培につながったのかどうかについて、調査が行われた。

  • Article: グネツム植物のゲノムと種子植物の初期進化 OPEN

    A genome for gnetophytes and early evolution of seed plants

    doi: 10.1038/s41477-017-0097-2

    グネツム植物の進化および系統的位置付けは、いまだに決着していない。今回、グネツム植物バイマイトウ(Gnetum montanum)の概要ゲノムが報告された。比較解析により、グネツム植物と他の裸子植物とを区別するゲノムの特徴が明らかにされた。

  • Article: 倍数化したワタの三次元ゲノム構造の進化的動態

    Evolutionary dynamics of 3D genome architecture following polyploidization in cotton

    doi: 10.1038/s41477-017-0096-3

    三次元(3D)ゲノム構造、および倍数化による3D構造の形成に関しては、知られていることがいまだに少ない。今回、二倍体ワタと四倍体ワタの3Dゲノム構造の解明および比較が行われ、異質倍数化が3Dゲノム構造および転写調節にどのように影響するかが示された。

  • Article: シロイヌナズナの再分化でのbZIP59-LBD複合体によるオーキシン誘導性カルス形成の制御

    Control of auxin-induced callus formation by bZIP59–LBD complex in Arabidopsis regeneration

    doi: 10.1038/s41477-017-0095-4

    植物は、オーキシンやサイトカイニンなどの植物ホルモンで制御される高度な再生能力を持つ。今回、2種類の重要な転写因子によって構成されオーキシン誘導性のカルス形成を仲介しているヘテロ二量体が発見された。

  • Article: 動的なチラコイドスタッキングが光合成の直線的電子伝達と循環的電子伝達のバランスを調節する

    Dynamic thylakoid stacking regulates the balance between linear and cyclic photosynthetic electron transfer

    doi: 10.1038/s41477-017-0092-7

    暗条件から明条件に移行すると、チラコイド膜の構造および光合成複合体の構成が変化する。構造化照明顕微鏡により、グラナは数を増しつつ小型化し、光合成効率および消光に影響が及ぶことが示された。

2018年1月

  • Letter: サンジソウ花弁の斑点の位置はシス調節エレメントの2つの遺伝的変化によって進化した

    Two genetic changes in cis-regulatory elements caused evolution of petal spot position in Clarkia

    doi: 10.1038/s41477-017-0085-6

    サンジソウ(Clarkia)属種では、花弁の特定の位置に斑点が存在し、それが授粉に影響する重要な生態形質となっている。この形質の進化が、発生の転写因子ネットワークを組み直す単一プロモーターの変異によって説明された。

  • Letter: 高速育種は作物の研究および育種を加速させる強力なツールである

    Speed breeding is a powerful tool to accelerate crop research and breeding

    doi: 10.1038/s41477-017-0083-8

    環境を制御する完全閉鎖型の栽培チャンバーは、植物の生育を加速させることができる。こうした「高速育種」は、世代時間を短縮させて作物の育種および研究計画を加速させるものであり、現代の他の作物育種技術と組み合わせることが可能である。

  • Letter: 種皮の光沢の選択によるダイズ種子の油脂含有量の増加

    Elevation of soybean seed oil content through selection for seed coat shininess

    doi: 10.1038/s41477-017-0084-7

    多くのマメ科種の種皮には、有害なアレルゲンを含む粉状のブルームが存在する。野生ダイズのブルームはBLOOM1遺伝子によって制御されており、栽培系統では、この遺伝子の変異がブルームを消失させるとともに、種子の油脂含有量を増加させている。

  • Article: ヒメツリガネゴケMADSボックス遺伝子は受精に必要な水供給と精子運動を制御する

    Physcomitrella MADS-box genes regulate water supply and sperm movement for fertilization

    doi: 10.1038/s41477-017-0082-9

    MADSボックス遺伝子の機能は、真菌類、動物および花の咲く植物で幅広く研究されている。今回、花の咲かない植物でのMADSボックス遺伝子の役割が報告され、陸上植物でのこの遺伝子ファミリーの進化がさらに探求された。

  • Article: 物は光呼吸経路を介した窒素同化によってCO2の取り込みを増加させる

    Plants increase CO2 uptake by assimilating nitrogen via the photorespiratory pathway

    doi: 10.1038/s41477-017-0065-x

    光呼吸は光合成効率を低下させるため、無駄が多いと考えられていた。しかし、光呼吸による窒素同化を組み込んだ改変光合成モデルから、炭素の取り込みに対する光呼吸の影響には有益なものもあることが示唆された。

2017年12月

  • Brief Communication: ヨーロッパナラの古木には固定された体細胞変異が少ない

    Low number of fixed somatic mutations in a long-lived oak tree

    doi: 10.1038/s41477-017-0066-9

    樹齢234年のヨーロッパナラの幾重にも分かれた枝々の塩基配列が解読され、現在までに蓄積した体細胞変異が少数であることが明らかになった。これは、こうした有害な可能性のある加齢中の体細胞変異を減少させるメカニズムが働いていることを意味している。

  • Letter: 植物細胞および哺乳類細胞のためのCas9由来の強力な遺伝子活性化因子

    A potent Cas9-derived gene activator for plant and mammalian cells

    doi: 10.1038/s41477-017-0046-0

    植物細胞には効率的な転写活性化ツールが存在しない。今回、新規の強力なdCas9系転写活性化システムを開発したことが発表された。これは、植物細胞および哺乳類細胞の両方で単一または複数の遺伝子の活性化を可能とするものである。

  • Letter: 重要な除草剤耐性遺伝子BARの非特異的活性

    Non-specific activities of the major herbicide-resistance gene BAR

    doi: 10.1038/s41477-017-0061-1

    除草剤耐性遺伝子BARは、さまざまな植物で広く利用されている。今回、BAR酵素の結晶構造が初めて明らかにされ、さらにはBARの非特異性活性を抑制するための構造情報に基づく改変戦略が示された。

  • Article: タルホコムギゲノムはトランスポゾンのさまざまな影響を明らかにする OPEN

    The Aegilops tauschii genome reveals multiple impacts of transposons

    doi: 10.1038/s41477-017-0067-8

    タルホコムギ(Aegilops tauschii)という野草は、コムギの祖先である。質の高いゲノム塩基配列とメチロームデータおよびトランスクリプトームデータを併用することにより、栽培化およびトランスポゾンの影響に関する洞察がもたらされ、コムギを改良するためのリソースが得られた。

  • Article: 遺伝子担体としての磁気ナノ粒子による遺伝子組換えのための花粉マグネトフェクション

    Pollen magnetofection for genetic modification with magnetic nanoparticles as gene carriers

    doi: 10.1038/s41477-017-0063-z

    現在の遺伝子組換え法では、組織培養を用いた再分化が必要である。今回、一種の形質転換技術「花粉マグネトフェクション」が発表された。これは、培養によらず迅速にさまざまな種の形質転換種子を得ることができる方法である。

  • Article: 高木での炭水化物輸送の維持

    Maintenance of carbohydrate transport in tall trees

    doi: 10.1038/s41477-017-0064-y

    師部は、葉から植物のさまざまな器官へ炭水化物を輸送する「血管」系である。今回、新たな構造イメージングおよび圧力測定ツールを用いた研究から、高木の受動的輸送機構を確保する師部構造の興味深い変化が明らかになった。

  • Article: Deg9の結晶構造は新たな八量体型HtrAプロテアーゼを明らかにする

    The crystal structure of Deg9 reveals a novel octameric-type HtrA protease

    doi: 10.1038/s41477-017-0060-2

    Deg/HtrAファミリーのATP非依存性セリンプロテアーゼは、さまざまな調節経路で機能する。今回、シロイヌナズナ(Arabidopsis)のDeg9の結晶構造から、この核局在プロテアーゼの新たなオリゴマー集合体が興味深いことに八量体であることが明らかにされた。

2017年11月

  • Brief Communication: シロイヌナズナのBTB/POZタンパク質依存的なPENETRATION3輸送および病害感受性

    Arabidopsis BTB/POZ protein-dependent PENETRATION3 trafficking and disease susceptibility

    doi: 10.1038/s41477-017-0039-z

    PEN3は根の表皮層の外側に極性をもって偏在し、侵入してくる病原体に対する防御に関与している。今回、順遺伝学的スクリーニングにより、PEN3の正常な偏在化と機能に必要なBTB/POZタンパク質が発見された。

  • Letter: 植物の細胞壁では均一なキシラン置換パターンがセルロースとの相互作用に重要である

    An even pattern of xylan substitution is critical for interaction with cellulose in plant cell walls

    doi: 10.1038/s41477-017-0030-8

    植物の細胞壁は、複数の構成要素と複雑な構造によって構成されている。今回、ssNMRを用いて、2種類の主要な細胞壁構成要素であるセルロースとキシランの物理的相互作用が調べられ、その相互作用機構が明示された。

  • Article: トマトの成熟誘導におけるrin変異およびRINの役割の再評価

    Re-evaluation of the rin mutation and the role of RIN in the induction of tomato ripening

    doi: 10.1038/s41477-017-0041-5

    トマトのrin変異体が成熟しないことから、RINは成熟誘導の重要な調節因子であると古くから考えられてきた。今回、rinアレルはヌル変異ではなく機能獲得型変異であることが明らかにされた。RINは成熟の開始には必要なかった。

  • Article: GCリッチなコード配列は低分子RNAを介したトランスポゾン様の導入遺伝子サイレンシングを抑制する

    GC-rich coding sequences reduce transposon-like, small RNA-mediated transgene silencing

    doi: 10.1038/s41477-017-0040-6

    導入遺伝子のサイレンシング感受性の分子基盤は、いまだ明らかにされていない。今回、複数の例を用いた研究から、コード配列のGC含有量が高くなると、遺伝性のサイレンシングに対する導入遺伝子の感受性が低下することが明らかになった。

  • Article: FZPの上流のサイレンサーの重複はイネの穀物収量を増加させる

    Duplication of an upstream silencer of FZP increases grain yield in rice

    doi: 10.1038/s41477-017-0042-4

    コピー数変動体(CNV)が植物の表現型に影響する可能性は、ほとんど報告されていない。今回、イネの遺伝子解析から、あるCNVが下流のFZP遺伝子の発現を抑制し、円錐花序1個あたりの小穂の数を増加させて収量を向上させることが明らかになった。

  • Resource: シロイヌナズナ初期胚の遺伝子発現アトラスによって明らかにされたトランスクリプトームの動態

    Transcriptome dynamics revealed by a gene expression atlas of the early Arabidopsis embryo

    doi: 10.1038/s41477-017-0035-3

    シロイヌナズナ(Arabidopsis)の初期胚で、核膜を細胞型特異的に標識し、標識された核を親和性に基づいて分離することにより、発生中の胚の時間的・空間的トランスクリプトームアトラスが構築された。

2017年10月

  • Perspective: 植物のアポトーシスの再評価

    Reassessing apoptosis in plants

    doi: 10.1038/s41477-017-0020-x

    プログラム細胞死は本質的なものであるが、動物と植物では調節方法が異なっている。この論文では、植物のアポトーシス様細胞死の特徴が再評価され、動物と植物のプログラム細胞死の類似性が示されている。

  • Letter: 世界の小麦供給を守るために病原体の大陸をまたぐ空中飛散ルートを定量化する

    Quantifying airborne dispersal routes of pathogens over continents to safeguard global wheat supply

    doi: 10.1038/s41477-017-0017-5

    近年のコムギ黒さび病の大発生は、世界の小麦生産を脅かしている。今回、強力なコンピューターモデリング法を用いて、そうした新たな病原体株の汚染拡大の追跡と予測が行われたが、この方法は他の風散布型の胞子に応用できる可能性がある。

  • Letter: 緑藻コナミドリムシの内因性miRNAはコード領域配列を狙って遺伝子発現を調節する

    Endogenous miRNA in the green alga Chlamydomonas regulates gene expression through CDS-targeting

    doi: 10.1038/s41477-017-0024-6

    マイクロRNAは、RNA誘導型サイレンシング複合体の一部として遺伝子発現を調節する。今回、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)のmiRNAの分析から、藻類のmiRNAはコード領域中の部位を主な標的としてmRNAを不安定化させ、翻訳を抑制することが明らかにされた。

  • Article: 世界の植物園における植物多様性のex situ保全

    Ex situ conservation of plant diversity in the world’s botanic gardens

    doi: 10.1038/s41477-017-0019-3

    今回、世界各地の植物園、および植物園が保有する種の多様性に関する調査が行われ、自生地外での植物種の維持管理を改善する方法に関して結論が述べられている。

  • Article: 急速に伸長する組織で可視化されたin vivoのジベレリン勾配

    In vivo gibberellin gradients visualized in rapidly elongating tissues

    doi: 10.1038/s41477-017-0021-9

    ジベレリン(GA)は、成長と発生の調節で替えのきかない役割を果たしている植物ホルモンである。今回、シロイヌナズナ(Arabidopsis)のGA分布を細胞レベルの分解能で可視化する蛍光GAバイオセンサーが、初めて開発された。

  • Article: シロイヌナズナでは細胞質アセチルCoAが主にH3K27でのヒストンアセチル化を促進する

    Cytosolic acetyl-CoA promotes histone acetylation predominantly at H3K27 in Arabidopsis

    doi: 10.1038/s41477-017-0023-7

    中心的な代謝産物であるアセチルCoAが植物のヒストンアセチル化にどのような影響を及ぼすのかは、いまだ知られていない。今回Chenたちは、シロイヌナズナ(Arabidopsis)の細胞質アセチルCoAが、主としてH3K27でのヒストンアセチル化を促進することを明らかにしている。

  • Article: トリオースリン酸/リン酸輸送体の構造が基質特異性の基盤を明らかにする

    Structure of the triose-phosphate/phosphate translocator reveals the basis of substrate specificity

    doi: 10.1038/s41477-017-0022-8

    今回、葉緑体からカルビン回路の中間体を搬出してほぼすべての光合成真核生物で基本的な役割を果たしている膜輸送体TPTの結晶構造が、さまざまな基質との複合体の形で初めて明らかにされた。

2017年9月

  • Article: ハプロタイプ分解サツマイモゲノムで六倍体化の歴史をさかのぼる

    Haplotype-resolved sweet potato genome traces back its hexaploidization history

    doi: 10.1038/s41477-017-0002-z

    倍数体植物ゲノムのアセンブリーは、技術的に困難である。今回、新たなハプロタイプ解析法を利用して、サツマイモ(Ipomoea batatas)の半ハプロタイプ分解六倍体ゲノムが示された。

  • Article: Rループはシロイヌナズナゲノムのクロマチンの一般的特徴である

    The R-loop is a common chromatin feature of the Arabidopsis genome

    doi: 10.1038/s41477-017-0004-x

    クロマチンRループを全ゲノム的に特定するための効率の高い方法ssDRIP-seqが報告された。この方法を利用して、シロイヌナズナRループの全ゲノム的プロファイルが初めて示され、Rループがクロマチンの一般的特徴であることが明らかにされた。

  • Article: トウモロコシの表現型の平均値および可塑性に関する異なる遺伝的構造

    Distinct genetic architectures for phenotype means and plasticities in Zea mays

    doi: 10.1038/s41477-017-0007-7

    表現型の平均値と可塑性が類似した遺伝的構造をもっているのかどうかは、いまだ明らかにされていない。今回、トウモロコシNAM個体群の複数の形質をGWASで調べた研究により、平均値と可塑性測定値では基礎をなす遺伝子が異なる群を形成していることが示された。

  • Article: 葉器官の非対称性の機械的調節

    Mechanical regulation of organ asymmetry in leaves

    doi: 10.1038/s41477-017-0008-6

    形態が非対称的な葉が生じるには、細胞壁ペクチンのメチルエステル化の差による機械的不均一性で十分であることが、数理モデルで予測され、シロイヌナズナおよびトマトで検証された。

  • Letter: 植物による二酸化炭素取り込みの普遍的モデルに向けて

    Towards a universal model for carbon dioxide uptake by plants

    doi: 10.1038/s41477-017-0006-8

    CO2の葉による取り込みおよび糖への転換は、陸上の生命の基盤である。今回の研究は、光利用効率の関係と光合成標準モデルをさまざまな種および生態系について全球的に統一したモデルを提案している。

  • Letter: 顕著なトポロジカル関連ドメインはイネの全体的なクロマチンパッキングをシロイヌナズナと異なるものにしている

    Prominent topologically associated domains differentiate global chromatin packing in rice from Arabidopsis

    doi: 10.1038/s41477-017-0005-9

    トポロジカル関連ドメイン(TAD)が広く存在する動物種と異なり、シロイヌナズナゲノムはTADがそれほど顕著ではないことが明らかにされている。今回、Hi-C法により、顕著なTADがイネとシロイヌナズナの差異となっていることが示された。

  • Letter: DELLA遺伝子は草丈とは無関係に花序分裂組織の機能を制限する

    DELLA genes restrict inflorescence meristem function independently of plant height

    doi: 10.1038/s41477-017-0003-y

    ジベレリン酸シグナル伝達中、DELLAは細胞周期制御因子KRP2を標的とすることで茎頂分裂組織の大きさを制限している。シロイヌナズナおよびオオムギでは、茎頂分裂組織と茎の成長でDELLAが果たす役割を遺伝的に分離することができる。

2017年8月

  • Perspective: 現代の方法で伝統的な植物薬の謎を解明する

    Demystifying traditional herbal medicine with modern approach

    doi: 10.1038/nplants.2017.109

    植物の治療作用は古くから認識されてきた。いま、現代科学によって古来の植物薬の作用機序が解明され、その新たな利用法が発見されつつある。

  • Review Article: 世界の熱帯林のはるかな人類先史学およびその現代の保全との関連性

    The deep human prehistory of global tropical forests and its relevance for modern conservation

    doi: 10.1038/nplants.2017.93

    考古学的証拠は、古代の狩猟採集民および定住民が過去4万5000年の間に熱帯林に及ぼしてきた影響を明らかにしている。それにより考古学は、遺産保護を促進し、保全および政策決定に情報を与えるという点で、重要な役割を果たすことができる。

  • Review Article: 植物ゲノム編集の進展と可能性

    Progress and prospects in plant genome editing

    doi: 10.1038/nplants.2017.107

    今回の総説は、新たに開発された編集ツールおよび編集方法の導入による植物ゲノム編集の最近の進展、ならびにその応用について記している。また、関連する課題および今後の展望についても論じている。

  • Article: 古代の葉の経済学的性質は三畳紀末の大量絶滅事象に伴う生態系機能の変化を示す

    Palaeo leaf economics reveal a shift in ecosystem function associated with the end-Triassic mass extinction event

    doi: 10.1038/nplants.2017.104

    葉のクチクラの厚さから、化石植物の葉の単位面積当たり重量(LMA)を推測することができる。今回、グリーンランド東部で発見された裸子植物の化石から、CO2による地球温暖化の結果として、三畳紀・ジュラ紀境界で高LMA分類群が低LMA分類群の森林に取って代わったことが明らかにされた。

  • Letter: トランスゼアチンとその前駆体の全身輸送はシロイヌナズナのシュートで異なる役割を担っている

    Systemic transport of trans-zeatin and its precursor have differing roles in Arabidopsis shoots

    doi: 10.1038/nplants.2017.112

    トランスゼアチンリボシドに続き、活性型のサイトカイニンであるトランスゼアチンが、木部を根からシュートへ輸送される第二の重要なサイトカイニンとして同定された。興味深いことに、根由来のこの2種類のサイトカイニンは、シュートの成長の制御で異なる役割を果たしている。

  • Article: YopJファミリーエフェクターによる宿主基質のアセチル化機構

    Mechanism of host substrate acetylation by a YopJ family effector

    doi: 10.1038/nplants.2017.115

    PopP2はYopJファミリーのエフェクターで、動植物の細菌病原体に存在する。今回、イノシトール6リン酸(IP6)との複合体として、標的であるRRS1-R植物免疫受容体のWRKYドメインに結合しているPopP2の構造が明らかにされた。

  • Article: 光は成長転換のための核内オーキシンシグナル伝達のPILS依存的抑制を誘導する

    Light triggers PILS-dependent reduction in nuclear auxin signalling for growth transition

    doi: 10.1038/nplants.2017.105

    PILSは、シロイヌナズナ(Arabidopsis)の細胞内オーキシン分布を調節する能力をもつ新たなオーキシン輸送体である。今回PILSが、光に応答した茎頂鉤状部の展開という発生過程、およびフィトクロムシグナル伝達と関連付けられた。

  • Article: シアノバクテリアの光防護システムにおけるオレンジカロテノイドタンパク質の新たなファミリー

    Additional families of orange carotenoid proteins in the photoprotective system of cyanobacteria

    doi: 10.1038/nplants.2017.89

    オレンジカロテノイドタンパク質はシアノバクテリアの光防護に関与している。今回、系統解析と生化学、分光学、構造研究を組み合わせることにより、オレンジカロテノイドタンパク質の新たなファミリーが発見され、その特性評価が行われた。

2017年7月

  • Perspective: 北米東部の原始の農業システムから失われた作物の栽培

    Growing the lost crops of eastern North America's original agricultural system

    doi: 10.1038/nplants.2017.92

    侵略植物は、急速な環境変化と予測不可能な未来を考えると、環境管理上の特別な問題となる。最近、この問題への社会学的対策と自然科学的対策の間に建設的な結びつきが確立されている。

  • Review Article: 作物改良のマイクロRNA:複雑な形質の微調整役

    MicroRNAs in crop improvement: fine-tuners for complex traits

    doi: 10.1038/nplants.2017.77

    今回の総説は、9つの主要な作物の65種類のmiRNAに関する最近の機能分析を要約することで、異なる農業形質を調整するmiRNAの機能に関する知識に光を当て、作物改良ツールとしてのmiRNAの潜在的応用性を論じている。

  • Article: 気候変動下でのエチオピアのコーヒー産業の潜在的復元力

    Resilience potential of the Ethiopian coffee sector under climate change

    doi: 10.1038/nplants.2017.81

    近い将来の気候変動によってエチオピアではコーヒーの栽培地域の39~59%が使用に適さなくなる可能性があることが、モデリングとリモートセンシングで予測されている。しかし、コーヒーの栽培地の移転と森林保全により、コーヒーの栽培面積は4倍に拡大する可能性がある。

  • Letter: 植物の酢酸を介した新たな対乾燥生存戦略

    Acetate-mediated novel survival strategy against drought in plants

    doi: 10.1038/nplants.2017.97

    乾燥への応答では、代謝フラックスの方向が変わって酢酸が内発的に蓄積し、それが、シロイヌナズナ(Arabidopsis)の乾燥耐性を制御するジャスモン酸経路を刺激する。外来性の酢酸を使用するだけで、トウモロコシ、コムギ、イネなどの主要な作物の乾燥耐性が強化された。

  • Letter: 重複した花粉・雌ずい認識座位がBrassica rapaの種内一側性不和合性を制御する

    Duplicated pollen–pistil recognition loci control intraspecific unilateral incompatibility in Brassica rapa

    doi: 10.1038/nplants.2017.96

    植物が外来の花粉を拒絶する仕組みは、いまだ明らかにされていない。今回、花粉・雌ずい認識座位由来の重複遺伝子にコードされた2種類のタンパク質の間の認識が、アブラナ科植物(Brassica rapa)の種内一側性不和合性の原因であることが発見された。

  • Article: 細胞質スリーブが欠失した細胞質分裂後の原形質連絡の構造および透過性

    Architecture and permeability of post-cytokinesis plasmodesmata lacking cytoplasmic sleeves

    doi: 10.1038/nplants.2017.82

    高分解能画像および断層撮影法により、原形質連絡の新たな三次元構造が明らかにされた。細胞質分裂直後の細胞では、原形質連絡には目に見える細胞質スリーブが存在しないが、それでも低分子および高分子の細胞間移動が行われていた。

  • Article: シロイヌナズナではevening complexが環境シグナルと内因性シグナルを協調させる

    The evening complex coordinates environmental and endogenous signals in Arabidopsis

    doi: 10.1038/nplants.2017.87

    evening complexは、概日時計によって植物の成長と環境シグナル伝達を協調させている。今回、evening complexの直接的な転写標的の網羅的データセットにより、質の高い包括的な調節ネットワークが明らかになった。

  • Letter: 可動性抗ウイルス低分子RNAのペルオキシソーム移入による中和

    Neutralization of mobile antiviral small RNA through peroxisomal import

    doi: 10.1038/nplants.2017.94

    新たな植物ウイルスの攻撃戦略が、ピーナッツクランプウイルスを用いて発見された。この戦略では、シロイヌナズナ(Arabidopsis)の防御的な低分子RNAがペルオキシソーム移入によって抑制される。この病原体の新たな戦略には、他の植物および動物ウイルスにも対応するものがあると考えられる。

  • Article: 植物の光化学系II超複合体のサブユニットとクロロフィルの構成

    Subunit and chlorophyll organization of the plant photosystem II supercomplex

    doi: 10.1038/nplants.2017.80

    植物では、光化学系IIがコアと集光複合体の超複合体を形成する。今回、低温電子顕微鏡法および単一粒子分析により、シロイヌナズナ(Arabidopsis)の超複合体の三次元構造が5.3 Åの分解能で得られた。

2017年6月

  • Review Article: 侵略植物の社会的側面

    The social dimensions of invasive plants

    doi: 10.1038/nplants.2017.75

    侵略植物は、急速な環境変化と予測不可能な未来を考えると、環境管理上の特別な問題となる。最近、この問題への社会学的対策と自然科学的対策の間に建設的な結びつきが確立されている。

  • Review Article: 現代農業の窒素変換および生物的硝化抑制の役割

    Nitrogen transformations in modern agriculture and the role of biological nitrification inhibition

    doi: 10.1038/nplants.2017.74

    全世界で使用される窒素肥料の50%は、アンモニア、硝酸塩、または亜酸化窒素として失われている。植物の根が出す硝化抑制物質は、自然界でも持続可能な農業のなかでも、その損失を減少させる役割を果たしている。

  • Article: 農業の粗放化を示す同位体の証拠が世界初の都市への食料供給方法を明らかにする

    Isotope evidence for agricultural extensification reveals how the world's first cities were fed

    doi: 10.1038/nplants.2017.76

    メソポタミア北部の遺跡から出土した作物遺物の炭素および窒素の同位体測定により、施肥および水管理といった労働集約型の作業が、紀元前7千年紀以降の農業の不可欠な要素となっていたことが明らかにされた。

  • Letter: アフリカイネの栽培化では一塩基多型が小粒化および脱粒性喪失を生じた

    A single-nucleotide polymorphism causes smaller grain size and loss of seed shattering during African rice domestication

    doi: 10.1038/nplants.2017.64

    アフリカの栽培イネは野生の祖先よりも穀粒が小さいが、その理由は未だにわかっていない。今回、アフリカイネの栽培化ではGL4遺伝子の一塩基多型変異の選択が脱粒性喪失および小粒化を生じたことが発見された。

  • Article: モデル植物種での空間分解トランスクリプトームプロファイリング

    Spatially resolved transcriptome profiling in model plant species

    doi: 10.1038/nplants.2017.61

    効果的なハイスループット技術により、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、ヨーロッパヤマナラシ(Populus tremula)およびオウシュウトウヒ(Picea abies)の完全な植物組織について、全トランスクリプトームの空間的プロファイリングが行われた。この方法は、他の遺伝学的に扱いにくい種にも適している。

  • Letter: シロイヌナズナの非生物的ストレス適応と生物的ストレス適応の間のNLR座を介したトレードオフ

    NLR locus-mediated trade-off between abiotic and biotic stress adaptation in Arabidopsis

    doi: 10.1038/nplants.2017.72

    今回、シロイヌナズナ(Arabidopsis)の自然多様性を用いて、浸透圧馴化耐性の原因遺伝子が特定された。ACQOSは病害抵抗性のNLR遺伝子であり、免疫と非生物的ストレス耐性の間のトレードオフが明らかにされた。

  • Brief Communication: 植物の受精において精細胞は花粉管の受動的な積み荷である

    Sperm cells are passive cargo of the pollen tube in plant fertilization

    doi: 10.1038/nplants.2017.79

    bHLH転写因子の二重変異体は、精細胞をもたない花粉を生産する。この花粉が発芽し、花粉管を伸長させ、方向を定め、胚珠に侵入して破裂する能力を有していることから、精細胞が受動的であって花粉管の発達に関与していないことが示された。

2017年5月

  • Review Article: NCRペプチドは窒素固定共生で機能バランスを維持する

    Nodule cysteine-rich peptides maintain a working balance during nitrogen-fixing symbiosis

    doi: 10.1038/nplants.2017.48

    NCR(nodule cysteine-rich)ペプチドが窒素固定共生で果たす役割は複雑である。かつては、宿主が細菌の増殖を制御するのに利用する抗菌化合物と考えられていたが、実はそれほど単純なものではなかった。

  • Article: 古第三紀の地衣類の多様性および生態適応

    Diversity and ecological adaptations in Palaeogene lichens

    doi: 10.1038/nplants.2017.49

    地衣類は、真菌類と緑藻類またはシアノバクテリアとの共生体である。今回、古第三紀の琥珀から化石地衣類が152点発見され、既知の化石地衣類の総数が大幅に増加した。その形態は、古第三紀欧州の琥珀の森林が温暖かつ多湿であったことを示している。

  • Letter: エノコログサおよびトウモロコシの花序発生にはSparse panicle1が必要である

    Sparse panicle1 is required for inflorescence development in Setaria viridis and maize

    doi: 10.1038/nplants.2017.54

    エノコログサ(Setaria viridis)はパニコイド型のイネ科植物で、トウモロコシなどの作物の単純な遺伝モデルとして利用され、遺伝子の発見を促進している。今回、両植物種で、オーキシン流入輸送体が花序構造の調節因子として同定された。

  • Letter: SEPALLATA3由来のcircRNAはRループの形成によって同起源のmRNAのスプライシングを調節する

    A circRNA from SEPALLATA3 regulates splicing of its cognate mRNA through R-loop formation

    doi: 10.1038/nplants.2017.53

    環状RNA(circRNA)はすべての真核生物界で発見されているが、その機能はいまだ明らかにされていない。今回、circRNAが同起源のmRNAの選択的スプライシングを促進し、それによってホメオティックな表現型が生じる場合があることが明らかにされた。

  • Article: MORF9はプラスチドRNA編集でPLS型ペンタトリコペプチドリピートタンパク質のRNA結合活性を増強する

    MORF9 increases the RNA-binding activity of PLS-type pentatricopeptide repeat protein in plastid RNA editing

    doi: 10.1038/nplants.2017.37

    2種類の重要なトランス作用因子であるPLS型ペンタトリコペプチドリピートタンパク質とMORF(multiple organellar RNA editing factor)が植物のRNA編集でどのように協働するのかは、いまだ知られていない。今回、結晶構造を利用してその機構が明らかにされた。

  • Letter: GW5はブラシノステロイドシグナル伝達経路で作用してイネの粒幅および粒重を調節する

    GW5 acts in the brassinosteroid signalling pathway to regulate grain width and weight in rice

    doi: 10.1038/nplants.2017.43

    GW5はイネの粒大に関する重要な量的形質座位である。今回、遺伝学実験によって、既報の研究とは異なり、その原因遺伝子がブラシノステロイドシグナル伝達に影響を及ぼすカルモジュリン結合タンパク質と結びつけられた。

  • Article: CASPドメインおよびカスパリー線の局在化での一時的で細胞特異的なEXO70A1活性

    Transient cell-specific EXO70A1 activity in the CASP domain and Casparian strip localization

    doi: 10.1038/nplants.2017.58

    カスパリー線の形成に異常を示すシロイヌナズナ(Arabidopsis)の新たなスクリーニングにより、EXO70A1が重要な要素として同定された。このエキソシスト複合体のサブユニットは正確な帯状のCASP1の局在化に必要であるが、その役割は分泌とはつながっていない。

  • Letter: 一次細胞壁のセルロースミクロフィブリルのナノスケールの動き

    Nanoscale movements of cellulose microfibrils in primary cell walls

    doi: 10.1038/nplants.2017.56

    植物細胞の成長には細胞壁の伸展が必要である。今回、タマネギの一次細胞壁のセルロースミクロフィブリルのナノスケールの動きが原子間力顕微鏡で撮像され、機械的伸展下と酵素的弛緩下での比較が行われた。

  • Article: 単量体および三量体の集光複合体で過剰な光を散逸させる2つの機構

    Two mechanisms for dissipation of excess light in monomeric and trimeric light-harvesting complexes

    doi: 10.1038/nplants.2017.33

    植物は、非光化学的消光(NPQ)によって過剰な光エネルギーから光合成装置を保護している。今回、NPQは2つの独立した機構によって触媒され、その片方のみがルテインに依存していることが明らかにされた。

2017年4月

  • Hypothesis: 光合成での水分解および酸素生成の機構

    A mechanism for water splitting and oxygen production in photosynthesis

    doi: 10.1038/nplants.2017.41

    光合成は重要な生命過程であるが、光化学系IIがどのように太陽光を利用して水を分解しているのかは依然として不明である。嫌気性原核生物の酵素との比較から、光合成によるO–O結合形成の機構が示唆された。

  • Brief Communication: NLRタンパク質ZAR1によるIII型エフェクター認識はZED1関連キナーゼを利用して拡張された

    Expanded type III effector recognition by the ZAR1 NLR protein using ZED1-related kinases

    doi: 10.1038/nplants.2017.27

    植物はNLRセンサーを進化させて細菌のエフェクターやその活性を感知している。今回、シロイヌナズナ(Arabidopsis)の遺伝子解析により、NLRタンパク質ZAR1の役割が拡大した。ZAR1は、偽キナーゼZRK3と結合することよってエフェクターHopF2aを認識し、過敏感反応を生じることなく抵抗性を誘導している。

  • Brief Communication: 末端ポリA鎖はRDR6による自己mRNAの遺伝子サイレンシング基質化を阻害する

    The poly(A) tail blocks RDR6 from converting self mRNAs into substrates for gene silencing

    doi: 10.1038/nplants.2017.36

    植物の転写後遺伝子サイレンシングで異常なRNAが正常なmRNAと区別される仕組みは、依然として明らかになっていない。今回、正常なmRNAの末端ポリA鎖は、RDR6がそれを遺伝子サイレンシングの基質へ変化させるのを阻害することが明らかにされた。

  • Article: マラウイ農業用投入資材補助金プログラムの再評価

    Re-evaluating the Malawian Farm Input Subsidy Programme

    doi: 10.1038/nplants.2017.13

    マラウイ農業用投入資材補助金プログラムは、同国の食料安全保障を変容させたとして評価されてきた。しかし、純光合成量に基づく分析から、生産量の増加および肥料補助金の有効性が過大評価されている可能性が明らかにされた。

  • Article: Xerophyta viscosaゲノム中の乾燥耐性の足跡

    A footprint of desiccation tolerance in the genome of Xerophyta viscosa

    doi: 10.1038/nplants.2017.38

    植物の栄養組織の乾燥耐性(DT)の機構はいまだ明らかにされていない。今回、復活草Xerophyta viscosaのゲノムおよびトランスクリプトームの塩基配列が解読され、栄養組織のDTは種子のDT経路の転用によって生じたことが裏付けられた。

  • Letter: 高収量で高品質なイネの合理的設計

    Rational design of high-yield and superior-quality rice

    doi: 10.1038/nplants.2017.31

    総合的な遺伝子スタッキング法を用いて複数の望ましい量的形質を合わせもつイネ品種の合理的設計を行うことにより、収量と穀粒品質の高さが同時に達成された。

  • Letter: 栽培環境に依存しないイネの開花の人為的制御

    Synthetic control of flowering in rice independent of the cultivation environment

    doi: 10.1038/nplants.2017.39

    日本の研究グループが、開花時期を農薬で制御することができる形質転換イネの創出方法を開発した。それは、花芽形成抑制遺伝子Ghd7を過剰発現させたうえで、農薬で誘導されるフロリゲン遺伝子Hd3aを導入することによるものである。

  • Letter: 全身的な窒素取り込みの制御に必要な葉から根へ移行するペプチド

    Shoot-to-root mobile polypeptides involved in systemic regulation of nitrogen acquisition

    doi: 10.1038/nplants.2017.29

    根から葉へ移行する既報の窒素欠乏シグナルの低分子ペプチドに加え、師管を葉から根へ下向きに移行するシグナルとしてさらに2個のポリペプチドが発見され、全身的な窒素要求シグナル伝達機構が明らかにされた。

  • Article: 人工樹木オンチップでの受動的師部ローディングと長距離輸送

    Passive phloem loading and long-distance transport in a synthetic tree-on-a-chip

    doi: 10.1038/nplants.2017.32

    維管束植物は浸透圧差を利用して糖を輸送している。今回、人工マイクロ流体モデルでこの過程の非線形的な動態を探究したところ、受動的ローディングは大型植物や樹木の長距離輸送の推進力として十分であることが示された。

  • Article: 光合成膜の表面電荷動態およびその構造的影響

    Surface charge dynamics in photosynthetic membranes and the structural consequences

    doi: 10.1038/nplants.2017.20

    葉緑体のグラナスタッキングがファンデルワールス力と静電力のバランスによって説明されることが明らかにされた。静電力はタンパク質のリン酸化に伴って変化し、スタッキングと膜内構造に対照的な作用をおよぼしている。

2017年3月

  • Review Article: 古植物学の復活:被子植物の時代の再検討

    Palaeobotanical redux: revisiting the age of the angiosperms

    doi: 10.1038/nplants.2017.15

    分子年代測定から、被子植物は後期白亜紀以前にも存在していたことが示唆されている。三畳紀またはジュラ紀の被子植物の化石証拠は散在するが、この総説は、いまだ真相は未確認とするのがせいぜいであると結論付けている。

  • Brief Communication: CRISPR–Cpf1法による植物の効率的なゲノム編集および転写抑制

    A CRISPR–Cpf1 system for efficient genome editing and transcriptional repression in plants

    doi: 10.1038/nplants.2017.18

    CRISPR–Cpf1は、動物の効果的なゲノム編集ツールとして登場した。今回この方法は、植物ゲノムを別々の部位で100%近い効率で編集できることがわかった。そればかりか、これは植物トランスクリプトームの調節にも転用可能であった。

  • Letter: 小麦からパンまでのサプライチェーンに組み込まれている肥料が環境に与える影響

    The environmental impact of fertilizer embodied in a wheat-to-bread supply chain

    doi: 10.1038/nplants.2017.12

    食料生産は、温室効果ガス排出量の3分の1を生じている。今回、ライフサイクルアセスメントにより、パン1個のサプライチェーンは、環境への影響の半分以上が小麦の栽培に由来し、うち40%は硝酸塩肥料の使用によるものであることがわかった。

  • Letter: 農地の作物生産性および収益性を維持しながらの農薬使用量の削減

    Reducing pesticide use while preserving crop productivity and profitability on arable farms

    doi: 10.1038/nplants.2017.8

    農薬は環境や人間の健康を脅かしている。農薬使用量の削減による作物生産性の低下が避けられないものであるのかどうかは、いまだ明らかにされていない。今回、フランスの農地946カ所から得たデータの分析により、農薬使用量を削減しても生産性はほとんど低下しないことが明らかにされた。

  • Article: 細胞壁の強化を介した病害抵抗性遺伝子による複数の農業形質の改良

    Improvement of multiple agronomic traits by a disease resistance gene via cell wall reinforcement

    doi: 10.1038/nplants.2017.9

    イネ白葉枯病菌(Xanthomonas oryzae pv. oryzae)からイネを守る病害抵抗性遺伝子Xa4は、世界の稲作で広く利用されている。今回、Xa4が細胞壁結合型キナーゼをコードしており、それが細胞壁の強度を調節することによって複数の農業形質を改良することが明らかにされた。

  • Article: 二次細胞壁のパターン形成の制御にはGDSLエステラーゼによるキシランの脱アセチル化が関与する

    Control of secondary cell wall patterning involves xylan deacetylation by a GDSL esterase

    doi: 10.1038/nplants.2017.17

    新たな部類のゴルジ体局在エステラーゼに属するBRITTLE LEAF SHEATH1は、イネのキシラン脱アセチル化酵素として作用する。これは、植物の二次細胞壁の適切な機能に対するキシラン脱アセチル化の重要性を示す最初の報告である。

  • Article: BIRD/IDD型転写因子JKDに結合したSHR–SCRヘテロ二量体の構造

    Structure of the SHR–SCR heterodimer bound to the BIRD/IDD transcriptional factor JKD

    doi: 10.1038/nplants.2017.10

    2つのGRAS転写因子SHRとSCRは、JACKDAW(JKD)のようなBIRD/IDDファミリーのタンパク質と相互作用することにより、根の発達で役割を果たしている。この3つの構成要素の構造的、生化学的特性評価から、そのサブユニットが互いに、そしてDNAと相互作用する機構が説明された。

  • Article: ARC6–PDV2複合体によるプラスチド分裂の調整に対する構造的洞察

    Structural insights into the coordination of plastid division by the ARC6–PDV2 complex

    doi: 10.1038/nplants.2017.11

    葉緑体は、リング状の分裂装置の収縮によって分裂する古代の原核生物である。ARC6–PDV2複合体の膜間領域構造の解明は、内外のリング同士の調整を理解するのに役立つ。

  • Article: 植物の光化学系I超複合体の2.6 Å分解能での構造

    Structure of the plant photosystem I supercomplex at 2.6 Å resolution

    doi: 10.1038/nplants.2017.14

    光化学系I(PSI)は、チラコイド膜で集光アンテナ「集光複合体I(LHCI)」と超複合体を形成する。植物のPSI–LHCIの結晶構造から、PsaKの立体配置および水分子と脂質の重要なネットワークの詳細が明らかにされた。

2017年2月

  • Letter: 基本的な種の形質は熱帯アメリカのヤシの供給サービスを説明する

    Fundamental species traits explain provisioning services of tropical American palms

    doi: 10.1038/nplants.2016.220

    南米の68カ所のコミュニティーで行われた2201件のインタビューのデータから、ヤシ(Arecaceae)の利用は機能および地理的分布と関連していることが明らかにされた。ヤシの大きさおよび所在は、儀式での利用のようにあまり基本的ではないニーズよりも、基本的なニーズへの利用を強力に予測する。

  • Letter: リン資源分割は草原でのリン獲得および植物種存在量を決定付ける

    Phosphorus resource partitioning shapes phosphorus acquisition and plant species abundance in grasslands

    doi: 10.1038/nplants.2016.224

    一般的な8種の植物が存在する人工草地のメソコスムに、異なる形態のリンを供給した。有機および無機リン酸の利用状況は種ごとに異なり、種の繁栄は特定の形態のリンの獲得に関係していた。

  • Letter: 2種のジュートの比較ゲノミクスと繊維生合成に関する洞察 OPEN

    Comparative genomics of two jute species and insight into fibre biogenesis

    doi: 10.1038/nplants.2016.223

    商業的に栽培されている2種のジュート、シマツナソ(Corchorus olitorius)およびコウマ(Corchorus capsularis.)の高精度概要ゲノム配列が示された。トランスクリプトーム解析からは、繊維の形成に関与する重要な調節遺伝子および構造遺伝子が明らかにされた。

  • Letter: 藻類接合子の2段階の細胞極性化

    Two-step cell polarization in algal zygotes

    doi: 10.1038/nplants.2016.221

    今回、接合子の最初の非対称分裂中の極性確立が褐藻類アミジグサ属(Dictyota)で調べられた。著者らは、トランスクリプトミクスおよび細胞学的観察により、異なる刺激によって制御される2段階の新たな極性化プロセスを明らかにしている。

  • Article: NPF輸送体は中心的なモノテルペンインドールアルカロイド中間体を液胞外へ輸送する

    An NPF transporter exports a central monoterpene indole alkaloid intermediate from the vacuole

    doi: 10.1038/nplants.2016.208

    ニチニチソウ(Catharanthus roseus)の液胞膜に偏在する輸送体が発見され、テルペンおよびアルカロイド生合成経路の中心的な中間体であるストリクトシジンを液胞からサイトゾルへ輸送することが明らかにされた。

  • Article: 植物ウイルスに対する持続的防御を目的とするRNAi局所送達用の粘土ナノシート

    Clay nanosheets for topical delivery of RNAi for sustained protection against plant viruses

    doi: 10.1038/nplants.2016.207

    病原体特異的な二本鎖DNA(dsDNA)の応用は、植物ウイルス対策として提案されたが、dsRNAの不安定性がその応用を妨げている。今回、粘土ナノシートを用いてdsRNAを送達することで、ウイルスに対する持続的防御が得られた。

  • Article: キサントフィルサイクルはPsbSと集光複合体IIとの可逆的相互作用に影響を及ぼして非光化学的消光を制御する

    The xanthophyll cycle affects reversible interactions between PsbS and light-harvesting complex II to control non-photochemical quenching

    doi: 10.1038/nplants.2016.225

    PsbSタンパク質は、非光化学的消光の誘導に不可欠である。抗体プルダウン法により、ΔpHとゼアキサンチンの組み合わせが、光化学系IIの集光複合体の特定の少量タンパク質に対するPsbSの結合を増加させることが明らかにされた。

2017年1月

  • Letter: 先史時代サハラの土器に植物の加工を示す最古の直接的証拠

    Earliest direct evidence of plant processing in prehistoric Saharan pottery

    doi: 10.1038/nplants.2016.194

    リビアサハラの遺跡で出土した土器遺物から、紀元前8200~6400年に植物を土器で加工していたことを示す最古の直接的証拠が得られた。その遺物は、当時の緑のサハラから採集したイネ科植物や水生植物を加工していたことを示している。

  • Letter: 現代版ダストボウルによる干ばつでの米国農業のシミュレーション

    Simulating US agriculture in a modern Dust Bowl drought

    doi: 10.1038/nplants.2016.193

    農法の改良にも関わらず、現代の米国でも1930年代のような干ばつが壊滅的な影響を及ぼす可能性が、モデルによって示唆されている。高温は少雨よりも悪影響が大きく、損失は2012年の深刻な干ばつを約50%上回る。

  • Letter: 将来の気候温暖化の下で想定されるイネの収量低下

    Plausible rice yield losses under future climate warming

    doi: 10.1038/nplants.2016.202

    今回、気候温暖化がイネの収量にどう影響するかを探るため、温暖化に対するイネの収量の感受性が野外実験および3種類のモデルによる方法で検討された。この研究では、作物の効果的な改良が行われなければ、イネの収量に重大な損失が生じる可能性があることが予測されている。

  • Letter: 葉の形質の世界的な推定には日陰での可塑性による偏りがある

    Global leaf trait estimates biased due to plasticity in the shade

    doi: 10.1038/nplants.2016.201

    今回、林冠の葉の形質に関する世界的なデータベースの解析から、「日なた」の読み取りデータの大部分は日陰のものであることが明らかにされた。葉の多くは日陰に存在しているが、研究は日なたの条件に集中しすぎている。

  • Letter: ABA非応答性のSnRK2タンパク質キナーゼが植物の浸透圧ストレス下でのmRNA分解を調節している

    ABA-unresponsive SnRK2 protein kinases regulate mRNA decay under osmotic stress in plants

    doi: 10.1038/nplants.2016.204

    いくつかの証拠により、浸透圧ストレス条件下では、サブクラスI SnRK2キナーゼがmRNAの脱キャップ複合体の構成因子VARICOSEをリン酸化し、それがストレス適応のもう1つの分子機構となっていることが示された。

  • Letter: イネのROS蓄積および抗ウイルス防御のmicroRNA528による制御

    ROS accumulation and antiviral defence control by microRNA528 in rice

    doi: 10.1038/nplants.2016.203

    低分子RNAは植物と病原体との相互作用を調節している。イネのAGO18はmicroRNA528を隔離するが、このRNAはL-アスコルビン酸オキシダーゼのサイレンシングを介してウイルス抵抗性を負に調節し、活性酸素種の生成を制御している。

  • Letter: 低分子RNAとその標的の配列多型性によって複雑な階層的優劣性が制御される

    A complex dominance hierarchy is controlled by polymorphism of small RNAs and their targets

    doi: 10.1038/nplants.2016.206

    在来ナタネ(Brassica rapa)の自家不和合性に関する雄性側の決定因子であるSP11アレルの表現型発現は、5段階の直線的階層によって制御されている。今回、多型性を持つ24 ntの低分子RNAがSP11の4アレルの直線的階層を制御していることが発見された。

  • Article: 植物のコレステロール生合成経路は植物ステロール代謝と重複している

    Plant cholesterol biosynthetic pathway overlaps with phytosterol metabolism

    doi: 10.1038/nplants.2016.205

    植物には少量のコレステロールが含まれている。トマトの転写物、タンパク質および個々の遺伝子サイレンシングの分析から、12種類の酵素が関与する生合成経路が発見され、シロイヌナズナ(Arabidopsis)ではすべてが発現することによってその機能が発揮されることが明らかになった。

2016年12月

  • Article: プリムラ・ウルガリスのS座位超遺伝子の遺伝的構造および進化

    Genetic architecture and evolution of the S locus supergene in Primula vulgaris

    doi: 10.1038/nplants.2016.188

    サクラソウ(Primula)の異形花柱性の遺伝モデルには、柱頭と葯のどちらが高いかにより、ピン型およびスラム型という2種類の花の形態が存在する。今回の研究では、スラム型は半接合性であり、ピン型には存在しない5つの連鎖遺伝子のクラスターによって制御されていることが明らかにされた。

  • Review Article: オレンジカロテノイドタンパク質によるシアノバクテリアの光防護

    Cyanobacterial photoprotection by the orange carotenoid protein

    doi: 10.1038/nplants.2016.180

    光合成生物は、強光条件による損傷から身を守らなければならない。本総説は、シアノバクテリアがオレンジカロテノイドタンパク質を用い、そうした光防護をどのように作動させるのかを示している。

  • Letter: ヒメツリガネゴケの気孔の起源および機能

    Origin and function of stomata in the moss Physcomitrella patens

    doi: 10.1038/nplants.2016.179

    シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の気孔発生に関与する転写ネットワークを制御している2つの遺伝子は、非維管束植物ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)で機能が保存されている。気孔を欠くコケ変異体は蒴の裂開の遅延を示す。

  • Letter: 北方林での厳しい干ばつに続く栄養素の大損失

    Major losses of nutrients following a severe drought in a boreal forest

    doi: 10.1038/nplants.2016.187

    干ばつが森林の栄養循環に与える影響に関して知られていることはほとんどない。今回、栄養塩フラックスの長期的モニタリングから、干ばつが北方林のカリウムを失わせており、温暖化する世界で利用可能なカリウムが減少する一因となっている可能性があることが明らかにされた。

  • Article: キビ連植物のルビスコの温度応答はC3型光合成を改善する機会をもたらす

    Temperature responses of Rubisco from Paniceae grasses provide opportunities for improving C3 photosynthesis

    doi: 10.1038/nplants.2016.186

    キビ連植物のCO2固定酵素ルビスコは、速度論的応答の多様性が高い。その大サブユニットのアミノ酸置換は、作物のルビスコの特性を将来の気候に合わせて調整するための手段となる可能性がある。

  • Article: ナス科植物のパターン認識受容体COREは細菌の低温ショックタンパク質を検知する

    Convergence and divergence of bitterness biosynthesis and regulation in Cucurbitaceae

    doi: 10.1038/nplants.2016.183

    各種のウリ科植物が産生するククルビタシンは、構造および活性がさまざまである。今回、比較ゲノム研究により、ククルビタシンの分化、および組織特異的なククルビタシン合成の遺伝的基盤が示された。

  • Brief Communication: 特殊なアリによる偏性植物栽培

    Obligate plant farming by a specialized ant

    doi: 10.1038/nplants.2016.181

    自然界で相利共生は一般的である。フィジーでは、ある種のアリが排他的共生で着生植物を選択して分散させ、それに肥料を与える。これはアリによる植物栽培の新たな一例である。

  • Article: CAM植物リュウゼツランの転写物、タンパク質、代謝産物の時間的動態

    Transcript, protein and metabolite temporal dynamics in the CAM plant Agave

    doi: 10.1038/nplants.2016.178

    ベンケイソウ型植物は水利用効率が高く、干ばつに対する復元力を有する。今回、リュウゼツラン(Agave)のタンパク質、転写物、および代謝産物の多様性に関する全システム的な比較分析結果が示された。それはこの効率性を他の作物へ導入するのに役立つと考えられる。

  • Letter: プロアントシアニジンの伸長でロイコアントシアニジンレダクターゼが果たす役割

    A role for leucoanthocyanidin reductase in the extension of proanthocyanidins

    doi: 10.1038/nplants.2016.182

    プロアントシアニジンは、植物系食品の風味に影響をおよぼす重要なフェノール化合物である。遺伝学と生化学とを組み合わせることにより、ウマゴヤシ(Medicago)の(エピ)カテキンユニットの多量体化でロイコアントシアニジンレダクターゼが果たす役割が解明された。

2016年11月

  • Article: 雌雄異株植物での性差のある遺伝子発現の進化

    Evolution of sex-biased gene expression in a dioecious plant

    doi: 10.1038/nplants.2016.168

    植物での性差のある遺伝子発現の進化は解明が困難である。交配様式の異なる2種の近縁種のトランスクリプトームを比較した研究から、発現の変化は雌株および伴性遺伝子で選択的に生じることが発見された。

  • Review Article: 非カノニカルなRNA指令型DNAメチル化

    Non-canonical RNA-directed DNA methylation

    doi: 10.1038/nplants.2016.163

    本総説では、現在知られている非カノニカルなRNA指令型DNAメチル化の機構、その多様性、および相互接続を論じ、この分野の重要な未解決問題を提示する。

  • Article: DNAデメチラーゼROS1は異なるクロマチン修飾を有するゲノム領域を標的とする

    The DNA demethylase ROS1 targets genomic regions with distinct chromatin modifications

    doi: 10.1038/nplants.2016.169

    シロイヌナズナ(Arabidopsis)のROS1は、真核生物で最初に特性が示されたDNAデメチラーゼである。今回、エピゲノム研究から、ROS1が標的とするゲノム座位の特徴が明らかにされ、新たな部類のRNA指令型DNAメチル化(RdDM)の標的が発見された。

  • Letter: ミチタネツケバナゲノムは形態的多様性の進化に関する洞察をもたらす OPEN

    The Cardamine hirsuta genome offers insight into the evolution of morphological diversity

    doi: 10.1038/nplants.2016.167

    ミチタネツケバナ(Cardamine hirsuta)のゲノムアセンブリー、および比較ゲノム・トランスクリプトーム解析を行った研究から、形態的進化で転写因子および遺伝子重複が果たす一般的な役割が明らかにされた。

  • Article: タルウマゴヤシの根粒形成にはDNAメチル化の再プログラム化が重要である

    Reprogramming of DNA methylation is critical for nodule development in Medicago truncatula

    doi: 10.1038/nplants.2016.166

    マメ科植物と根粒菌(Rhizobium)との共生は窒素固定を可能とする。根粒の形成はDEMETERというDNAデメチラーゼが関与する精密に調整された発生過程であり、エピジェネティック調節と共生とを結び付けている。

  • Letter: ヘテロ二量体転写因子複合体ERF115–PAT1は再生能力を付与する

    The heterodimeric transcription factor complex ERF115–PAT1 grants regeneration competence

    doi: 10.1038/nplants.2016.165

    植物は傷ついても組織を再生させることができる。ヘテロ二量体転写因子複合体ERF115–PAT1は、隣接細胞の細胞死によって活性化され、植物の幹細胞の補充および高い再生能に極めて重要である。

  • Letter: 植物でのT-DNA組み込みはポリメラーゼθによるDNA修復に起因する

    T-DNA integration in plants results from polymerase-θ-mediated DNA repair

    doi: 10.1038/nplants.2016.164

    T-DNAの組み込みはアグロバクテリウム(Agrobacterium)による遺伝子導入の極めて重要な段階であるが、その機序はいまだ明らかにされていない。今回、ポリメラーゼθがT-DNAの組み込みを制御し、組み込み部位で誤りの多い配列を生じることが明らかにされた。

  • Letter: ベゴニア葉緑体のフォトニック多層構造は光合成効率を高める

    Photonic multilayer structure of Begonia chloroplasts enhances photosynthetic efficiency

    doi: 10.1038/nplants.2016.162

    玉虫色を呈する植物は多いが、この現象と光合成との関係は示されていない。今回の研究では、ベゴニア(Begonia)の表皮の葉緑体が光捕獲および量子収量の両方を増加させるフォトニック特性を有することが明らかにされた。

  • Letter: 祖先型の光調節および葉緑体調節はC4遺伝子発現の基盤を形成する

    Ancestral light and chloroplast regulation form the foundations for C4 gene expression

    doi: 10.1038/nplants.2016.161

    C4型光合成は60系統を超える植物で独立して進化してきた。今回の研究から、C3植物の葉では重要なC4酵素の発現が光および葉緑体によって制御されており、それがC4形質の反復的な進化を促進している可能性があることが明らかにされた。

  • Brief Communication: 植物の根における負の重力屈性

    Negative gravitropism in plant roots

    doi: 10.1038/nplants.2016.155

    新たなNEGATIVE GRAVITROPIC RESPONSE OF ROOTS遺伝子が、ウマゴヤシ(Medicago)およびシロイヌナズナ(Arabidopsis)で同定された。変異体の表現型は注目すべきもので、重力は依然として感知するものの成長の向きが逆転し、根が常に上へ伸びた。

2016年10月

  • Letter: スリナムのマルーンが栽培するイネの祖先をアフリカの起源までさかのぼる

    Tracing ancestor rice of Suriname Maroons back to its African origin

    doi: 10.1038/nplants.2016.149

    新世界のアフリカイネの在来品種とコートジボワールの在来品種との高い類似性が、集団ゲノミクス研究で明らかにされた。奴隷船の船長の日誌と合わせ、今回の証拠は新世界のイネの由来をアフリカの起源までつないでいる。

  • Article: ゲノムによる予測は遺伝子バンクを促進するための有望な世界戦略に寄与する

    Genomic prediction contributing to a promising global strategy to turbocharge gene banks

    doi: 10.1038/nplants.2016.150

    ある概念実証研究が、一連のモロコシアクセッションのデータを用いることにより、遺伝子型に基づいて形質を予測する高精度なモデルの開発および検証を行い、遺伝子バンクの価値ある生殖質を評価および利用するための世界戦略が実証された。

  • Letter: ワタはマイクロRNAを展開させて真菌病原体の病原性遺伝子発現を阻害する

    Cotton plants export microRNAs to inhibit virulence gene expression in a fungal pathogen

    doi: 10.1038/nplants.2016.153

    真菌類は最も広く存在する部類の植物病原体で、作物に多くの病害を引き起こす。今回、植物は真菌類と闘うためにmiRNAを産生して展開させ、重要な真菌遺伝子の発現を抑制してその病原性を低下させることが示された。

  • Letter: シロイヌナズナ属の独特なエピジェネティックシグネチャーと関連する保存されたインプリンティング

    Conserved imprinting associated with unique epigenetic signatures in the Arabidopsisgenus

    doi: 10.1038/nplants.2016.145

    ミヤマハタザオ(Arabidopsis lyrata)およびシロイヌナズナ(A. thaliana)のインプリンティング遺伝子発現およびメチロームを調べた研究から、インプリンティング遺伝子が両種間でほぼ保存されている一方で、インプリンティング遺伝子発現の維持には異なるエピジェネティック機構が利用されていることが発見された。

  • Article: 界をまたぐ双方向のRNAiおよび真菌による外部RNAの取り込みが植物の防御力を生じる

    Bidirectional cross-kingdom RNAi and fungal uptake of external RNAs confer plant protection

    doi: 10.1038/nplants.2016.151

    植物で発現して真菌病原体のDicer-likeDCL)遺伝子を標的とする低分子RNA(sRNA)が、取り込み後に真菌のDCLを効果的に抑制して病原性を低下させることが明らかになり、真菌・植物間のsRNA輸送および新たな真菌防除法が示された。

  • Letter: CRISPR–Cas9を用いたイントロンの標的化によるイネの遺伝子置換および挿入

    Gene replacements and insertions in rice by intron targeting using CRISPR–Cas9

    doi: 10.1038/nplants.2016.139

    植物で部位特異的な遺伝子置換および挿入を行う新たな方法が、イントロンを標的とするCRISPR/Cas9に基づいて開発されている。そうした方法がイネのOsEPSPS遺伝子で効率的に置換および挿入を生じ、グリホサート耐性植物が得られた。

  • Letter: 緑色系統の光防護のための変則的デエポキシダーゼの進化

    Evolution of an atypical de-epoxidase for photoprotection in the green lineage

    doi: 10.1038/nplants.2016.140

    コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)のビオラキサンチンデエポキシダーゼは、機能の同じ植物または藻類の酵素ではなく、細菌の酵素に近い変則的なものである。このことから、光合成生物の緑色系統の光防護機構が予想以上に多様化していることが示された。

  • Article: 侵略的な外来植物による隣接在来植物への影響は他の外来植物への影響を上回る

    Invasive non-native plants have a greater effect on neighbouring natives than other non-natives

    doi: 10.1038/nplants.2016.134

    侵略的な植物種は、在来種および他の外来種の両方に直接的、間接的な影響を及ぼす。今回のメタ解析により、外来植物が近隣のすべての植物に悪影響を及ぼす一方で、在来種への悪影響は他の外来種に対する影響の約2倍であることがわかった。

  • Letter: 春の早期化が北米東部の落葉樹林で窒素利用可能量を低下させている

    Earlier springs are causing reduced nitrogen availability in North American eastern deciduous forests

    doi: 10.1038/nplants.2016.133

    気候温暖化による生育期の延長は、光合成の強化によってCO2の増加を相殺する可能性がある。しかし、北米東部では、30年にわたる春の早期化で窒素の要求量が増加して森林の樹木の窒素利用可能量が減少し、炭素の隔離が制限されている。

2016年9月

  • Review Article: 植物の自家不和合性の非自己および自己認識モデル

    Non-self- and self-recognition models in plant self-incompatibility

    doi: 10.1038/nplants.2016.130

    本総説では、自家不和合性での非自己および自己認識システム、ならびにその進化に関する最新の知識を概説する。非自己認識モデルにより、自家和合性から自家不和合性への移行は以前に考えられていたより一般的である可能性が示唆された。

  • Article: 干ばつの激化は大豆で期待されている二酸化炭素濃度上昇の効果を打ち消す

    Intensifying drought eliminates the expected benefits of elevated carbon dioxide for soybean

    doi: 10.1038/nplants.2016.132

    予測されている今世紀中のCO2レベル上昇は、作物収量を増加させて大規模な干ばつによる損失を相殺すると予想されている。しかし、今回の研究では、開放系大気のCO 2を強化することにより、乾燥ストレスが高まると大豆の増産量がゼロまで低下することが明らかにされた。

  • Article: LHCIIは光化学系IのアンテナとしてLHCIに代わることができるが集光能は低下する

    LHCII can substitute for LHCI as an antenna for photosystem I but with reduced light-harvesting capacity

    doi: 10.1038/nplants.2016.131

    集光複合体I(LHCI)の4サブユニットがすべて欠失したシロイヌナズナ(Arabidopsis)の4重変異体は、代わりにLHCII複合体を光化学系Iに結合させることで埋め合わせをしている。これによって同等の励起エネルギー移動効率が維持されるが、吸収断面積は大幅に縮小した。

  • Article: 葉の温度調節のエネルギー的・炭素経済的原点

    The energetic and carbon economic origins of leaf thermoregulation

    doi: 10.1038/nplants.2016.129

    葉は自らの温度を変えることで生理的能力を高めている。葉の適度な温度調節が正味の炭素同化を最大化させることが理論的考察で予測され、さまざまな分類群のデータで示された。

  • Article: トマトの受容体FLAGELLIN-SENSING 3はflgII-28に結合して免疫系を活性化させる

    Tomato receptor FLAGELLIN-SENSING 3 binds flgII-28 and activates the plant immune system

    doi: 10.1038/nplants.2016.128

    FLS2は、細菌フラジェリンの特定領域flg22の細胞膜受容体であることがよく知られている。しかしナス科植物は、今回トマトで同定された新規の受容体様キナーゼFLS3により、別のエピトープflgII-28によってフラジェリンを検知することもできる。

  • Article: H2A脱ユビキチン化酵素UBP12/13はシロイヌナズナのポリコーム群タンパク質系の一部である

    H2A deubiquitinases UBP12/13 are part of the Arabidopsis polycomb group protein system

    doi: 10.1038/nplants.2016.126

    シロイヌナズナ( Arabidopsis )では、ポリコームタンパク質が、発生中のヒストンメチル化を介して、遺伝子サイレンシングに重要なエピジェネティック記憶システムを動かしている。今回、この制御ネットワークで新たな2つの脱ユビキチン化酵素UBP12およびUBP13が発見され解析された。

  • Article: タバコ属倍数体の花の進化における超越表現型およびジェネラリスト型授粉

    Transgressive phenotypes and generalist pollination in the floral evolution of Nicotiana polyploids

    doi: 10.1038/nplants.2016.119

    雑種分類群が新種として確立される過程はほとんど知られていない。さまざまなタバコ属(Nicotiana)異質倍数体の花の形態進化に関する研究が、雑種の形成/交雑には花冠の超越型短縮および広幅化が伴うことを示している。

  • Letter: 推定されるRopGAPが分裂面の選択に影響を及ぼしキネシン-12 POK1と相互作用する

    Putative RopGAPs impact division plane selection and interact with kinesin-12 POK1

    doi: 10.1038/nplants.2016.120

    新たな2つのROP-GAPタンパク質(PHGAP1/2)は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)の細胞質分裂中に皮層細胞の分裂部位に局在化している。それは隔膜形成体配向型キネシン(POK)と相互作用しており、分裂中の細胞板の正確な配向に必要である。

2016年8月

  • Review Article: 気候変動による雌雄異株植物種の危機

    Climate change perils for dioecious plant species

    doi: 10.1038/nplants.2016.109

    雌雄異株種は、雌雄の株が空間的に隔てられて特殊化している場合があり、気候変動の影響を特に受けやすい。特に、劇的な気候変動が起きている地域の長寿種では、雌株に対する乾燥化の影響が大きいと考えられる。これにより、多数の個体群で雌株が減少して雄株が過剰となる可能性がある。

  • Letter: 作物栽培化の重要な要因としての全ゲノム重複

    Whole-genome duplication as a key factor in crop domestication

    doi: 10.1038/nplants.2016.115

    今回、作物種およびその野生近縁種を含む多数の属に関する遺伝的データセットを調べた研究により、栽培種では野生近縁種より多くの倍数化事象が起きたこと、倍数化の後に栽培化が行われたことが明らかにされた。

  • Letter: ファルネシル化はブラシノステロイド生合成を仲介してアブシジン酸応答を調節する

    Farnesylation mediates brassinosteroid biosynthesis to regulate abscisic acid responses

    doi: 10.1038/nplants.2016.114

    ブラシノライド生合成酵素CYP85A2は、ファルネシル化(イソプレノイド尾部の翻訳後付加)によって制御されているが、これはシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のアブシジン酸および乾燥に対する感受性に影響を及ぼす。

  • Article: 極性をもって偏在するキナーゼSGN1はカスパリー線の完全性および位置決めに必要である

    Polarly localized kinase SGN1 is required for Casparian strip integrity and positioning

    doi: 10.1038/nplants.2016.113

    カスパリー線(CS)は内皮細胞による疎水性の障壁であり、根の維管束から皮層を分離している。今回、視覚的遺伝子スクリーニングにより、CSの完全性および位置決めに極めて重要な新規の受容体様キナーゼSCHENGEN1が発見された。

  • Letter: 干ばつからの樹木の回復は地下のシンクによる制御に依存する

    Recovery of trees from drought depends on belowground sink control

    doi: 10.1038/nplants.2016.111

    気候変動による干ばつ事象の増加が予想されている。今回、ブナの木の代謝が干ばつによってどのような影響を受けるかを調べた試験で、回復が根の炭素貯蔵および根圏のシンクの活性上昇に依存することが示された。

  • Article: 遺伝的構造および多面発現はシロイヌナズナのRps2による抵抗性のコストを決定付ける

    Genetic architecture and pleiotropy shape costs of Rps2-mediated resistance in Arabidopsis thaliana

    doi: 10.1038/nplants.2016.110

    病原体に対する遺伝的抵抗性は高コストであるが、植物はR遺伝子の多様性を維持している。今回、病害のない場合に、Rps2の抵抗性アレルおよび感受性アレルが、どちらも人為的な欠失と比べて適応度利益をもたらすことが示された。

  • Lette: 土壌移植が陸上生態系の回復を導く

    Soil inoculation steers restoration of terrestrial ecosystems

    doi: 10.1038/nplants.2016.107

    集約農業の営為は生態系を劣化させる場合があり、その回復には数十年を要する。今回、野外研究から、移植土壌が生態系の回復を促進すること、導かれる回復の最終目標が移植土壌の違い(草原かヒース地かなど)によって変わることが示された。

2016年7月

  • Letter: HRD1を介したER結合型E2のERAD調節は植物と哺乳類の間で保存されている

    HRD1-mediated ERAD tuning of ER-bound E2 is conserved between plants and mammals

    doi: 10.1038/nplants.2016.94

    ER関連タンパク質分解系の2つの複合体HRD1とDOA10の関係は、ほとんど明らかにされていない。今回、HRD1複合体が植物と動物の両方でDOA10複合体の構成要素を抑制していることが明らかにされた。

  • Article: PtdIns(4)Pによる静電界は植物の細胞膜の性質およびシグナル伝達を制御する

    A PtdIns(4)P-driven electrostatic field controls cell membrane identity and signalling in plants

    doi: 10.1038/nplants.2016.89

    細胞膜は、自らの生物物理学的性質に影響を及ぼす特有の脂質組成を持つ。PtdIns(4)Pは細胞膜に蓄積して内表面の電荷を変化させ、それによってシグナル伝達タンパク質の局在性および機能を制御する。

  • Article: 葉緑体のFtsZはチューブリン様のヘテロ多量体化で集合して収縮環を形成する

    Chloroplast FtsZ assembles into a contractible ring via tubulin-like heteropolymerization

    doi: 10.1038/nplants.2016.95

    葉緑体は太古の細菌が起源であり、FtsZ1/2タンパク質からなる収縮環のおかげで現在でも分裂することができる。この機構に関する研究から、FtsZタンパク質がチューブリンと同様にヘテロ多量体化してフィラメントを形成することが明らかにされた。

  • Letter: 毛状突起は初期の花弁を結び合わせて花芽の形状を制御する

    Trichomes control flower bud shape by linking together young petals

    doi: 10.1038/nplants.2016.93

    植物に広くみられる毛状突起は、形態および機能がさまざまであることが知られている。今回、毛状突起が、初期の花弁を結び合わせることにより、花芽の形状発達の制御で未知の機能を担っていることが明らかになった。

  • Article: 最近の個体群動態がトウモロコシゲノム全体の連鎖選択の変化を促進する

    Recent demography drives changes in linked selection across the maize genome

    doi: 10.1038/nplants.2016.84

    栽培種および野生種トウモロコシの集団ゲノムデータを用いた研究から、トウモロコシの多様性の形成では純化選択が重要な役割を果たしており、純化選択の効果は栽培化後に個体群が拡大してから強まったことが明らかになった。

  • Article: Syntrichia caninervisの上下逆転した水収集システム

    The upside-down water collection system of Syntrichia caninervis

    doi: 10.1038/nplants.2016.76

    砂漠の蘚類Syntrichia caninervisは、根から水を吸い上げるのではなく、葉端の細かい毛を用いて霧から水滴を集め、それを植物体の本体へ運び下ろすことにより、乾燥した環境での水の収集量を最大化している。

2016年6月

  • Article: ペチュニアの親のゲノムから得られたナス科植物の進化に関する洞察 OPEN

    Insight into the evolution of the Solanaceae from the parental genomes of Petunia hybrida

    doi: 10.1038/nplants.2016.74

    ペチュニア(Petunia)の親野生種から得た2つの高品質ゲノムから、ペチュニアの系統の進化で2回の六倍体化が起きたことが明らかとなり、花の模様と受粉システムの多様性に関する洞察が得られたことで、この属のモデルとしての価値が高まった。

  • Article: NaKR1はシロイヌナズナのFLOWERING LOCUS Tの長距離移動を調節する

    NaKR1 regulates long-distance movement of FLOWERING LOCUS T in Arabidopsis

    doi: 10.1038/nplants.2016.75

    FLOWERING LOCUS T(FT)は植物の可動性の花成シグナルである。しかし、FTが組織や器官を長距離移動する仕組みについては、あまり知られていない。今回、NaKR1というタンパク質がシロイヌナズナ(Arabidopsis)でFTの移動を調節していることが示された。

  • Article: 光合成生産性の進化の水力学的基盤

    Hydraulic basis for the evolution of photosynthetic productivity

    doi: 10.1038/nplants.2016.72

    光合成は水を必要とするため、葉までの、また葉の内部での水の輸送は光合成生産性の決定要因である可能性がある。今回、30種のガマズミ属植物(Viburnum)の比較から、脈系構造の変動が光合成速度を束縛することが明らかになった。

  • Article: ゴムノキのゲノムはゴムの生産と種の適応に関する新たな洞察を与える OPEN

    The rubber tree genome reveals new insights into rubber production and species adaptation

    doi: 10.1038/nplants.2016.73

    質の高いゴムノキゲノムから、ゴム生合成の進化とゴム生産でのエチレン刺激に関する洞察が得られた。今回の研究は、トランスクリプトームデータとともに、ゴムノキの研究と育種に関する有益なデータを提供する。

  • Article: イネ科植物細胞壁生合成での二機能性アンモニアリアーゼの役割

    Role of bifunctional ammonia-lyase in grass cell wall biosynthesis

    doi: 10.1038/nplants.2016.50

    フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)は一次代謝経路と二次代謝経路をつなぐ重要な酵素である。イネ科植物のミナトカモジグサ(Brachypodium)は、チロシンを基質として利用できるPALを持つ。この二機能性酵素PTALは細胞壁リグニンの半分を生産できる。

2016年5月

  • Article: 根の分裂組織の独特で細胞型特異的なDNAメチル化パターン

    Unique cell-type-specific patterns of DNA methylation in the root meristem

    doi: 10.1038/nplants.2016.58

    植物の細胞型特異的なDNAメチル化は、生殖組織でのみ研究されている。今回、シロイヌナズナ(Arabidopsis)の根の分裂組織の細胞型特異的なメチロームが明らかにされ、各種体細胞のエピジェネティックな多様性に関する洞察が得られた。

  • Letter: ナンセンス変異依存mRNA分解機構はシロイヌナズナのFLM依存的な温度感受性花成反応を調節する

    Nonsense-mediated mRNA decay modulates FLM-dependent thermosensory flowering response in Arabidopsis

    doi: 10.1038/nplants.2016.55

    開花期は温度によって調節される。高温では、選択的スプライシングとそれに続くナンセンス変異依存mRNA分解機構が温度感受性抑制遺伝子FLMを下方制御し、それによって花成の時期が早まる。

  • Letter: ズルカマラの傷からの花外蜜の分泌

    Extrafloral nectar secretion from wounds of Solanum dulcamara

    doi: 10.1038/nplants.2016.56

    ズルカマラ(Solanum dulcamara)は、特殊な構造体によらずに、草食動物が加えた傷から花外蜜を生じる。この蜜は、2種類の在来草食動物からこの植物を防御するアリを誘引している。

  • Letter: C4型光合成は生理学的性質、配分、大きさを変えることによって成長を強化している

    C4 photosynthesis boosts growth by altering physiology, allocation and size

    doi: 10.1038/nplants.2016.38

    C4型光合成は原型となったC3型よりも効率的と考えられているが、両者を直接比較したデータには一貫性がない。今回、382種の草本植物を比較した研究から、C4種では成長が一貫して促進されており、水と栄養素の獲得への投資が大きいことがわかった。

  • Article: 光合成集光アンテナの自己調節の本質

    The nature of self-regulation in photosynthetic light-harvesting antenna

    doi: 10.1038/nplants.2016.45

    非光化学的消光は、植物の光合成装置を強光条件下での損傷から保護している。今回、高分解能の時間分解蛍光測定により、この光防護のレベルが、消光状態にあるLHCIIの数のわずかな変化によって調節されていることが明らかにされた。

  • Letter: シロイヌナズナのAGO3は24 ntの低分子RNAを主に動員してエピジェネティックなサイレンシングを調節する

    Arabidopsis AGO3 predominantly recruits 24-nt small RNAs to regulate epigenetic silencing

    doi: 10.1038/nplants.2016.49

    シロイヌナズナ(Arabidopsis)のAGOタンパク質には研究が進んだものが多いが、AGO3の機能はいまだ明らかにされていない。今回、意外なことに、AGO3は最も近いパラログであるAGO2とは機能的に異なっており、代わりにエピジェネティック経路でAGO4と類似した機能をもっていることが示された。

  • Letter: 熱帯の農業の強化にかかるリンのコスト

    The phosphorus cost of agricultural intensification in the tropics

    doi: 10.1038/nplants.2016.43

    将来の食料需要は農業の強化を要求すると考えられるが、これはリン肥料などの資材の投入に依存する。今回、リン固定性土壌での世界的作物生産の強化に必要なリンの投入量が、ブラジルのデータに基づいて定量化された。

  • Letter: 母植物による発育途上種子への亜鉛供給

    Mother-plant-mediated pumping of zinc into the developing seed

    doi: 10.1038/nplants.2016.36

    穀物を基本とする食事では、微量栄養素の欠乏が深刻な影響をもたらす場合がある。今回、遺伝学、接木および多元素画像解析を組み合わせることにより、母植物の2種類のP1B-ATPアーゼが亜鉛を発育途上種子へどのように輸送するかがシロイヌナズナ(Arabidopsis)で示された。

  • Article: シロイヌナズナのカロース合成酵素CalS1/8はストレス時の原形質連絡の透過性を調節する

    Arabidopsis callose synthases CalS1/8 regulate plasmodesmal permeability during stress

    doi: 10.1038/nplants.2016.34

    植物は生物的または非生物的ストレスに応答し、原形質連絡の透過性を変化させることによって細胞間コミュケーションを調節することができる。今回、カロース合成酵素CalS1/8がこの過程に関与していることが示された。

2016年4月

  • Article: コナミドリムシのステート遷移はエネルギーを散逸させず2つの光化学系の間で再分配する

    State transitions redistribute rather than dissipate energy between the two photosystems in Chlamydomonas

    doi: 10.1038/nplants.2016.31

    高光量条件下では、陸上植物は過剰なエネルギーを熱として散逸させる。しかし、コナミドリムシ(Chlamydomonas)のような微細藻類は、ステート遷移を利用して、過剰な光エネルギーを散逸さずに光化学系の間で効率的に再分配する。

  • Article: 維管束を介したシグナル伝達は植物の初期リン酸ストレス応答に関与する

    Vascular-mediated signalling involved in early phosphate stress response in plants

    doi: 10.1038/nplants.2016.33

    植物の初期リン酸(Pi)ストレスのシグナル伝達現象については、あまり知られていない。今回、トランスクリプトーム解析と接木実験を組み合わせた研究により、初期のPiストレスに対する組織特異的なトランスクリプトーム応答、およびこのプロセスで維管束系が果たす重要な役割が明らかにされた。

  • Article: 作物の野生近縁種の包括的な保存優先度

    Global conservation priorities for crop wild relatives

    doi: 10.1038/nplants.2016.22

    生産性、栄養価、回復力の高い作物品種の開発では、栽培作物の野生近縁種の遺伝的多様性が有用となる場合がある。今回、作物の野生近縁種をモデルとした多様性を遺伝子バンク内の多様性と比較した結果、野生近縁種の保全を進めて植物育種での利用可能性を高めるには、系統立った取り組みが必要であることが示唆された。

  • Article: 光化学系Iの鉄硫黄クラスターの光損傷は非光化学的エネルギー散逸を誘発する

    Photodamage of iron–sulphur clusters in photosystem I induces non-photochemical energy dissipation

    doi: 10.1038/nplants.2016.35

    光化学系I(PSI)は、光化学系IIからの電子伝達を制御することによって光阻害から守られていると考えられている。今回の論文では、PSIは光ストレスに敏感であるが、光損傷を受けても非光化学的エネルギー消光で機能することが明らかにされた。

  • Article: 局所的なオーキシン代謝は環境による胚軸伸長を調節する

    Local auxin metabolism regulates environment-induced hypocotyl elongation

    doi: 10.1038/nplants.2016.25

    植物の成長ホルモンであるオーキシンは、日陰および高温に応答した胚軸伸長に関与している。今回、vas2変異体から、ホルモン恒常性の制御に関して、局所的なオーキシンの結合が生合成および輸送と同様に重要であることが明らかになった。

  • Article: 受容体による可溶性液胞タンパク質の選別はトランスゴルジ網/初期エンドソームで終わる

    Receptor-mediated sorting of soluble vacuolar proteins ends at the trans-Golgi network/early endosome

    doi: 10.1038/nplants.2016.17

    植物細胞では、液胞で分解される可溶性タンパク質の選別がきわめて重要であり、それは液胞選別受容体(VSR)の活性に依存している。タバコ葉肉プロトプラストを用いた室内実験から、VSRは小胞体およびゴルジからトランスゴルジ網/初期エンドソームまでのリガンド輸送に必要であることが示唆された。

2016年3月

  • Article: 核内mRNAキャップ結合複合体によるヒストンメチル化とRNAプロセシングとの連結

    Coupling of histone methylation and RNA processing by the nuclear mRNA cap-binding complex

    doi: 10.1038/nplants.2016.15

    mRNAキャップ結合複合体(CBC)は、H3K4およびH3K36メチルトランスフェラーゼと多タンパク質複合体を形成することがこれまでに示されている。その複合体は機能的に相互依存し、成熟mRNAの生成時にクロマチン修飾とRNAプロセシングとを結びつけている。

  • Article: トランスポゾン由来の低分子RNAがWRKY45座位の機能を変化させる

    Transposon-derived small RNA is responsible for modified function of WRKY45 locus

    doi: 10.1038/nplants.2016.16

    イネの2つのWRKY45アレルは、イネ白葉枯病菌(Xanthomonas oryzae)抵抗性に対して、不可解にも逆の作用を示す。今回、アレル特異的なトランスポゾン由来の低分子RNAが、DNAメチル化を介したST1遺伝子の抑制によってWRKY45による抵抗性を消失させることがわかった。

  • Article: シロイヌナズナのNAC転写因子JUB1はGA/BRの代謝およびシグナル伝達を調節する

    Arabidopsis NAC transcription factor JUB1 regulates GA/BR metabolism and signalling

    doi: 10.1038/nplants.2016.13

    植物ホルモンシグナル伝達のクロストークは、成長および発生に重要である。シロイヌナズナ( Arabidopsis )の転写因子JUB1は、細胞伸長およびストレス耐性を制御するジベレリン/ブラシノステロイド転写ネットワークの中心となっている。

  • Letter: 作物の多様化が農業の生態学的強化を促進することを示す複数国の証拠

    Multi-country evidence that crop diversification promotes ecological intensification of agriculture

    doi: 10.1038/nplants.2016.14

    現在の食料生産システムは、環境および人間の健康を脅かす合成物質の使用に強く依存している。タイ、中国およびベトナムの複数拠点で行った野外実験の結果から、水田を花蜜生産植物で取り囲むと、害虫が激減して殺虫剤使用の必要性が大幅に低下する一方、収量は増加することが明らかになった。

  • Article: flavodiironタンパク質によるシロイヌナズナの代替的電子伝達反応の人為的リモデリング

    Artificial remodelling of alternative electron flow by flavodiiron proteins in Arabidopsis

    doi: 10.1038/nplants.2016.12

    flavodiironタンパク質は、シアノバクテリアから裸子植物までの幅広い光合成生物で偽循環的電子伝達を主体となって媒介しているが、被子植物には存在しない。蘚類のflavodiironタンパク質を発現するシロイヌナズナの実験から、flavodiiron依存的な電子伝達が変動光下の被子植物の保護に有用となる可能性が示唆された。

  • Letter: 中期第三紀新熱帯区の琥珀から得られたキク類の花

    An asterid flower from neotropical mid-Tertiary amber

    doi: 10.1038/nplants.2016.5

    琥珀中に保存された化石植物からは古代の進化および生物地理に関する詳細な洞察が得られる場合があり、維管束植物の遺物でも節足動物と同程度の保存状態のものが発見されている。今回の論文で紹介する新種Strychnos electriは、被子植物でも多様性が高く広範囲にみられるキク類分岐群の最古の種で、中期第三紀のドミニカ共和国産琥珀の中に保存されていたものである。

2016年2月

  • Article: PsbSの相互作用はシロイヌナズナのエネルギー散逸の活性化に関与する

    PsbS interactions involved in the activation of energy dissipation in Arabidopsis

    doi: 10.1038/nplants.2015.225

    光合成では、過剰な光エネルギーは非光化学的消光(NPQ)によって熱として散逸する。強光および弱光条件下でのチラコイド膜タンパク質の局在性および相互作用から、NPQには二量体タンパク質PsbSの単量体化、および生じた単量体と光化学系IIの三量体集光複合体の構成要素との相互作用が関与していることが示唆された。

  • Article: シロイヌナズナのBAK1/SERK4が調節する細胞死のタンパク質グリコシル化による特異的制御

    Specific control of Arabidopsis BAK1/SERK4-regulated cell death by protein glycosylation

    doi: 10.1038/nplants.2015.218

    細胞死の制御は植物にとって極めて重要である。BAK1/SERK4を介した細胞死のサプレッサーの網羅的スクリーニングにより、タンパク質グリコシル化経路およびERQC(小胞体品質管理機構)の構成要素、ならびにその標的であるシステインリッチな受容体様キナーゼ(CRK)が発見された。

  • Brief Communication: 光呼吸代謝のin vivo化学量論

    In vivo stoichiometry of photorespiratory metabolism

    doi: 10.1038/nplants.2015.220

    光呼吸は、O2を消費してCO2を生じる主要な光依存性代謝経路である。ヒマワリの葉を用いた定量的同位体標識実験は、葉のレベルでの光呼吸のO2/CO2化学量論係数が、典型的な光呼吸条件下では極めて2に近いことを示唆している。

  • Letter: 遺伝子DNAメチル化の進化パターンは陸生植物の間で異なる

    Evolutionary patterns of genic DNA methylation vary across land plants

    doi: 10.1038/nplants.2015.222

    植物の遺伝子DNAメチル化がどのように進化したのかは、いまだ明らかにされていない。今回、系統発生学的に幅広い陸生植物を網羅するメチロームデータを用いた研究から、メチル化の進化パターンは種、遺伝子、およびメチル化の状況によって大きく異なることが明らかになった。

  • Letter: アーバスキュラー菌根共生のために保存された遺伝子の系統ゲノミクスによる発見

    Genes conserved for arbuscular mycorrhizal symbiosis identified through phylogenomics

    doi: 10.1038/nplants.2015.208

    アーバスキュラー菌根共生(AMS)は、陸生植物に一般的な相利共生関係である。網羅的な系統ゲノミクス解析により、AMSに必要な一連の遺伝子が発見され、その重要性が変異体による実験で示された。

  • Article: 転写の選択的終結によって生じる共生SNAREタンパク質

    A symbiotic SNARE protein generated by alternative termination of transcription

    doi: 10.1038/nplants.2015.197

    マメ科植物は、空気中から窒素を固定する土壌細菌にすみかを提供するため、共生時に特有の組織を発達させる。ウマゴヤシ(Medicago)の単一のt-SNARE遺伝子は、選択的転写によってハウスキーピング機能からシンビオソーム特異的な機能へ切り替わる。

2016年1月

  • Article: miR396を遮断すると花序構造の形成によってイネの収量が増加する

    Blocking miR396 increases rice yield by shaping inflorescence architecture

    doi: 10.1038/nplants.2015.196

    作物の収量に関連する調節経路はいまだにほとんど明らかにされていない。今回、miR396を遮断すると、GRF6遺伝子の誘導、ならびにそれに続くオーキシン経路および発生関連遺伝子の活性化によって、イネの穀粒収量が劇的に増加することがわかった。

  • Letter: GL2を介したブラシノステロイド応答によるイネの粒大および収量の制御

    Control of grain size and rice yield by GL2-mediated brassinosteroid responses

    doi: 10.1038/nplants.2015.195

    粒大の制御機構の解明をめざした研究チームが、分子モジュールmiR396/GRF4がブラシノステロイドシグナル伝達の活性化によってイネの粒大を調節していることを実験的に明らかにした。これにより、miR396/GRF4またはブラシノステロイド応答を変化させれば作物の収量を向上させることができる。

  • Letter: OsmiR396によるOsGRF4の調節はイネの粒大および収量を制御する

    Regulation of OsGRF4 by OsmiR396 controls grain size and yield in rice

    doi: 10.1038/nplants.2015.203

    粒大を制御する分子ネットワークはいまだ明らかにされていない。遺伝的・機能的解析から、転写因子OsGRF4(GS2)はその調節因子OsmiR396およびコアクチベーターGIFとモジュールを形成し、イネの粒大を調節していることがわかった。

  • Article: イノシトール輸送体AtINT2およびAtINT4はシロイヌナズナ種子のヒ素蓄積を調節する

    Inositol transporters AtINT2 and AtINT4 regulate arsenic accumulation in Arabidopsis seeds

    doi: 10.1038/nplants.2015.202

    地下水および土壌のヒ素汚染は、世界中で何千万人もの人々の健康を脅かしている。一連の室内実験から、シロイヌナズナでは、種子のヒ素の主要な供給源である師部への亜ヒ酸塩の取り込みがイノシトール輸送体によるものであることが示唆された。

  • Article: らせん状の花の構造の自由度およびその隠された機構

    Flexibility in the structure of spiral flowers and its underlying mechanisms

    doi: 10.1038/nplants.2015.188

    らせん状の花がさまざまな数の器官をどのように発生させるのかは、いまだ明らかにされていない。今回、クロタネソウ(Nigella damascena)の研究から、花の器官の種類を指定するとともにらせん状の花の器官数の自由度を決定している遺伝的プログラムが明らかにされた。

  • Article: ホスホケトラーゼ経路はシアノバクテリアの炭素代謝に寄与している

    Phosphoketolase pathway contributes to carbon metabolism in cyanobacteria

    doi: 10.1038/nplants.2015.187

    シアノバクテリアの中心炭素代謝は、CBBサイクル、解糖、ペントースリン酸経路、およびTCA回路によって構成される。変異型および野生型のシネコシスティス(Synechocystis)の代謝解析から、光合成生物では未確認であった機能的なホスホケトラーゼ経路の存在が明らかになった。

2015年12月

  • Brief Communication: コムギSr50遺伝子は穀物の病害抵抗性座位の豊かな多様性を明らかにする

    The wheat Sr50 gene reveals rich diversity at a cereal disease resistance locus

    doi: 10.1038/nplants.2015.186

    コムギ黒さび病は壊滅的な真菌病であり、それは感染性の強いUg99株が出現してから特に深刻化した。CC–NB–LRRをコードする効率的な抵抗性遺伝子がライムギの高度に多様な座位に発見され、それはUg99に対して有効であった。

  • Article: オーキシン産生は内乳の発達を受精と連動させる

    Auxin production couples endosperm development to fertilization

    doi: 10.1038/nplants.2015.184

    顕花植物の重複受精は、胚およびそれに栄養分を供給する内乳の両方を生じ、種子を形成する。内乳の発達はオーキシン産生によって引き起こされ、受精後にエピジェネティックな経路によって抑制される。

  • Letter: 窒素循環の気候的制約によって選択されたバイオーム規模の窒素固定戦略

    Biome-scale nitrogen fixation strategies selected by climatic constraints on nitrogen cycle

    doi: 10.1038/nplants.2015.182

    植物による窒素固定は、陸上生態系への新規窒素の主要な供給源である。さまざまな固定戦略が出現する生態学的、進化的条件の分析によれば、窒素固定樹木の存在量に関するバイオーム規模の差は、窒素循環の気候的制約によって説明される。

  • Article: 完全な集光複合体Iのアンテナ系はシロイヌナズナの完全なステート遷移に必要である

    An intact light harvesting complex I antenna system is required for complete state transitions in Arabidopsis

    doi: 10.1038/nplants.2015.176

    効率的な光合成を確保するには、葉緑体の2種類の光化学系を通る電子の流れを綿密に調節する必要がある。今回、LHCIがコア周辺のLHCIIとPSI超複合体との相互作用を仲介することが明らかにされた。

  • Brief Communication: シロイヌナズナabp1-1の胚致死性は隣接するBSM遺伝子の欠失によって生じる

    Embryonic lethality of Arabidopsis abp1-1 is caused by deletion of the adjacent BSM gene

    doi: 10.1038/nplants.2015.183

    オーキシン結合タンパク質ABP1は、オーキシンの膜結合型受容体とされてきた。挿入変異体abp1-1の胚致死性はそれが発達で担う中心的な役割を示唆していたが、実はこの致死性は隣接するBSM遺伝子の欠失によるものであった。

  • Letter: 接触可能性はFtsHプロテアーゼによる光化学系IIサブユニットの選択的分解を制御する

    Accessibility controls selective degradation of photosystem II subunits by FtsH protease

    doi: 10.1038/nplants.2015.168

    過剰な光によって損傷を受けたとき、光化学系IIのコアタンパク質はFtsHプロテアーゼによる選択的分解で修復される。外側のサブユニットを除去すると分解が強化されることから、損傷を受けたタンパク質がプロテアーゼの接触可能性によって識別されることが示唆された。

  • Article: イネの効率的なマンガン吸収のために極性をもって偏在する輸送体

    A polarly localized transporter for efficient manganese uptake in rice

    doi: 10.1038/nplants.2015.170

    マンガンは植物の生育に不可欠な金属である。一連の室内実験から、カチオン拡散促進因子ファミリーに属するMTP9(metal tolerance protein 9;金属耐性タンパク質9)が、イネでのマンガンの転流、ひいては吸収に必要であることが示唆された。

  • Article: 植物の生育およびストレス応答に認められるプラスチドの緊縮応答の影響

    Impact of the plastidial stringent response in plant growth and stress responses

    doi: 10.1038/nplants.2015.167

    グアノシン4リン酸依存的な細胞活性の制御、すなわち緊縮応答は、真核生物では明らかにされていない。今回、シロイヌナズナ変異体の分析から、植物の緊縮応答が細胞小器官の機能を制御して植物体の生育に寄与していることがわかった。

2015年11月

  • Review Article: アーバスキュラー菌根共生の資源交換の調節

    Regulation of resource exchange in the arbuscular mycorrhizal symbiosis

    doi: 10.1038/nplants.2015.159

    アーバスキュラー菌根菌は、最も重要な部類の植物共生体である。今回の総説は、この共生関係の資源交換を調節する要因を論じている。

  • Letter: 好極限性のベンサミアナタバコは初期草勢のためにウイルス防御を犠牲にした

    The extremophile Nicotiana benthamiana has traded viral defence for early vigour

    doi: 10.1038/nplants.2015.165

    ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)のウイルス高感受性は、RNAポリメラーゼ遺伝子Rdr1に挿入があることに起因する。個体群の解析から、Rdr1への挿入は、オーストラリアの極端な生息環境で草勢のためにウイルス防御を犠牲にする集団から生じたことが示された。

  • Letter: 地理的に離れた3地域でのアジアイネの栽培化

    Three geographically separate domestications of Asian rice

    doi: 10.1038/nplants.2015.164

    アジアイネ栽培化のモデルおよび地理的位置は議論を呼ぶ問題となっている。今回、既報の大規模ゲノムデータセットの再解析から、地理的に離れた3地域でのアジアイネ栽培化が裏付けられた。

  • Letter: 非集中型の体内時計は温度刺激および日長刺激を特定の組織で処理している

    Decentralized circadian clocks process thermal and photoperiodic cues in specific tissues

    doi: 10.1038/nplants.2015.163

    体内時計は多くの生物学的過程を調節している。今回、2種類の組織特異的な非集中型体内時計の存在が明らかにされた。ひとつは維管束で日長情報によって花成を制御するもの、もうひとつは表皮で温度依存的に伸長を制御するものである。

  • Article: シロイヌナズナのD6PKは根表皮の平面極性の脂質領域依存的メディエーターである

    Arabidopsis D6PK is a lipid domain-dependent mediator of root epidermal planar polarity

    doi: 10.1038/nplants.2015.162

    形態形成には細胞極性が必要である。根毛細胞形成では、ROP、DRPおよびPIP5K3がステロールの豊富な膨隆する膜領域へ動員される。D6PKという脂質結合AGCキナーゼは、この平面内細胞極性の確立を調節する。

  • Article: ユニバーサルストレスタンパク質HRU1は無酸素条件下でROS恒常性をもたらす

    Universal stress protein HRU1 mediates ROS homeostasis under anoxia

    doi: 10.1038/nplants.2015.151

    洪水事象の間のように酸素濃度が低下した場合、植物の生存率は大幅に悪化する。シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)を用いた一連の室内実験から、ユニバーサルストレスタンパク質HRU1が酸素感知を無酸素条件下のROSシグナル伝達と協調させていることが示唆された。

2015年10月

  • Brief Communication: 種子を糞に似せてフンコロガシに散布させる

    Faecal mimicry by seeds ensures dispersal by dung beetles

    doi: 10.1038/nplants.2015.141

    植物による擬態、だまし、および動物の感覚の利用は議論になっており、特に種子の散布に関しては異論がある。大型、褐色、球形でにおいが強烈なCeratocaryum argenteumの種子は、草食動物の糞に認められる揮発性物質を数多く放出しており、南アフリカの自然保護区で行われた野外実験では、誘引されたフンコロガシがそれを転がして地中に埋めることが示唆された。

  • Article: サボテン種の多くが絶滅の危機にさらされている

    High proportion of cactus species threatened with extinction

    doi: 10.1038/nplants.2015.142

    近い将来、植物種の多くが絶滅の危機にさらされるという予測が示されている。サボテン科植物の危機の現状に関する包括的な評価から、この象徴的な植物は特に重大な危機にさらされている分類群の1つであり、評価の行われた1478種の31%に絶滅のおそれがあることが示唆された。

  • Article: RLP23–SOBIR1–BAK1複合体はNLPが引き起こす免疫を作動させる

    An RLP23–SOBIR1–BAK1 complex mediates NLP-triggered immunity

    doi: 10.1038/nplants.2015.140

    NLPは3界の生物に存在する免疫原性パターンである。著者らは、ロイシンリッチリピート膜タンパク質RLP23がシロイヌナズナのNLP受容体であることを明らかにした。ジャガイモでRLP23を発現させると、病原性微生物に対する免疫が強化された。

  • Letter: 世界の森林で干ばつの被害が最も大きいのは大木である

    Larger trees suffer most during drought in forests worldwide

    doi: 10.1038/nplants.2015.139

    気候変動の結果として、世界の多くの地域で深刻な干ばつの頻度が上昇している。世界の森林から得られた樹木の成長と枯死率に関するデータの分析から、大きな木が小さな木よりも干ばつに苦しめられていることが示唆された。

  • Letter: 世界のコムギ黄さび病の地理的分布の変化が研究投資に及ぼす影響

    Research investment implications of shifts in the global geography of wheat stripe rust

    doi: 10.1038/nplants.2015.132

    小麦生産に悪影響を及ぼす真菌病である黄さび病の地理的範囲が、ここ数十年の間に拡大している。観察およびモデルシミュレーションから、その病原体によって毎年500万トン以上の小麦が失われており、黄さび病抵抗性の研究に少なくとも年間3200万米ドル【約38億円】の投資を続ける必要があることが示唆された。

2015年9月

  • Article: クロマチン形成因子CAF-1は植物の防御反応遺伝子のプライミングを抑制する

    Chromatin assembly factor CAF-1 represses priming of plant defence response genes

    doi: 10.1038/nplants.2015.127

    防御遺伝子のプライミングが標準条件下で抑制される仕組みは明らかにされていない。今回、変異体の解析により、ヒストンシャペロンCAF-1が通常の条件下で作用し、防御反応の誤った発動を防止することが明らかにされた。

  • Article: カルシウムシグナルがアブラナ科植物の自家不和合性反応を仲介する

    Calcium signalling mediates self-incompatibility response in the Brassicaceae

    doi: 10.1038/nplants.2015.128

    アブラナ科植物の自家不和合性反応の基礎となるシグナル伝達経路は、いまだ明らかにされていない。今回、遺伝学的・生理学的実験から、Ca2+の流入が自己花粉の排除につながっており、その流入はグルタミン酸受容体様のチャネルによって仲介されると考えられることが明らかにされた。

  • Letter: トレハロース-6-リン酸ホスファターゼはイネの発芽の嫌気耐性を強化する

    A trehalose-6-phosphate phosphatase enhances anaerobic germination tolerance in rice

    doi: 10.1038/nplants.2015.124

    直播による稲作では、種子の発芽および苗立ちが水中で行われる。今回、トレハロース-6-リン酸(T6P)ホスファターゼOsTPP7が、T6Pの代謝回転を速めてデンプンの動員を増加させることにより、発芽の嫌気耐性を強化することが明らかにされた。

  • Letter: マグネシウムキラターゼの触媒サブユニットの結晶構造

    Crystal structure of the catalytic subunit of magnesium chelatase

    doi: 10.1038/nplants.2015.125

    マグネシウムキラターゼは、クロロフィル合成の過程でプロトポルフィリンIXの中心へのMg挿入を触媒する。シアノバクテリアであるシネコシスティス( Synechocystis)のマグネシウムキラターゼの結晶構造から、活性部位がタンパク質の内部に深く埋め込まれ、進化的に保存された残基に包まれていることが明らかにされた。

  • Letter: 温暖化に対する植物の応答を光が加速させる

    Light accelerates plant responses to warming

    doi: 10.1038/nplants.2015.110

    光をめぐる競争は、ほぼすべての陸域生態系で植物の能力に多大な影響を及ぼしている。温帯林下層での実験的研究は、温暖化による林床植物群落構成の変化を弱光が抑制することを示唆している。

2015年8月

  • Review Article: ヤマモガシ科植物のリン栄養学とその応用

    Phosphorus nutrition in Proteaceae and beyond

    doi: 10.1038/nplants.2015.109

    オーストラリア南西部のヤマモガシ科植物はさまざまな適応を示し、世界で最もリンに乏しい部類の土壌からリンを獲得して利用することができるようになっている。今回の総説は、そうした形質を探究し、作物の改良が期待される形質について論じている。

  • Letter: 非連続的なイネキネシン14 OsKCH1は微小管に沿って2通りの速度でアクチンフィラメントを輸送する

    The non-processive rice kinesin-14 OsKCH1 transports actin filaments along microtubules with two distinct velocities

    doi: 10.1038/nplants.2015.111

    植物のキネシン14モーターはアクチンと微小管細胞骨格とをつなぐ動的なクロスリンカーであるとされている。今回の研究では、イネのキネシン14であるOsKCH1が、微小管に沿ってアクチンフィラメントを輸送する非連続的なマイナス端方向のモーターであることが明らかにされた。

  • Article: 小胞輸送タンパク質が電位依存的な分泌のためにKvチャネルの電位センサーを流用する

    A vesicle-trafficking protein commandeers Kv channel voltage sensors for voltage-dependent secretion

    doi: 10.1038/nplants.2015.108

    植物の成長には、小胞輸送と浸透による溶質の取り込みとの協調が必要である。これはK+ チャネルの電位センサードメインとSNAREタンパク質との相互作用によって調節されており、それが分泌輸送に電位依存性を与えている。

  • Article: 微細藻の脂質代謝の調節因子が系統特異的なクロマチンパターンで明らかにされる

    Lineage-specific chromatin signatures reveal a regulator of lipid metabolism in microalgae

    doi: 10.1038/nplants.2015.107

    藻類の脂質はバイオ燃料の有用な供給源であるが、その生産は藻類の増殖停止によって制限される。今回、クロマチンパターンとトランスクリプトームとの統合的な解析により、藻類の脂質蓄積の調節因子が発見された。

2015年7月

  • Article: シロイヌナズナのエキソサイトーシスおよびリサイクルにはTGN/EEのV型ATPアーゼ活性が必要である

    V-ATPase activity in the TGN/EE is required for exocytosis and recycling in Arabidopsis

    doi: 10.1038/nplants.2015.94

    異常なV型ATPアーゼを有するdet3変異体では、トランスゴルジ網/初期エンドソーム(TGN/EE)の酸性化が抑制される。TGN/EEの酸性化は積み荷を含んだ小胞のエキソサイトーシスに必要なものであり、ブラシノステロイド受容体およびセルロース合成酵素などの重要な膜タンパク質のリサイクルに関与していることが支持された。

  • Article: フィトクロムBの特異性が二量体化で決定される仕組みの系統的解析

    Systematic analysis of how phytochrome B dimerization determines its specificity

    doi: 10.1038/nplants.2015.90

    フィトクロムは植物の光応答を制御する双安定性の分子スイッチである。フィトクロムAとBでは、吸収特性が類似しているが作用は異なっている。フィトクロムBの機能のモデル化から、二量体化が特異的活性の原因となっていることが明らかにされた。

  • Article: エピジェネティックなシロイヌナズナ雑種の雑種強勢および近交弱勢

    Heterosis and inbreeding depression of epigenetic Arabidopsis hybrids

    doi: 10.1038/nplants.2015.92

    近交弱勢および雑種強勢に対するエピジェネティックな要因の寄与は、いまだ明らかにされていない。今回、 エピジェネティックなシロイヌナズナ( Arabidopsis )雑種により、エピジェネティックな多様性および調節がその両方に寄与していることが明らかにされた。

  • Letter: 複数の栄養素によって制限される草原の生産性

    Grassland productivity limited by multiple nutrients

    doi: 10.1038/nplants.2015.80

    陸上生態系の生産性が栄養素によって制限されることは、広く認められている。五大陸の草原で行われた一連の標準化された栄養素添加実験から、草原の地上部の生産性が一般にカリウムや微量栄養素を含む複数の栄養素によって制限されていることが示唆された。

  • Letter: キネシン14モーターのクラスター化は植物の微小管による連続的な逆行輸送を可能にする

    Clustering of a kinesin-14 motor enables processive retrograde microtubule-based transport in plants

    doi: 10.1038/nplants.2015.87

    植物には逆行性モータータンパク質であるダイニンが存在しない。ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)のキネシン14はマイナス端方向のモーターであるが、個別的には連続性がない。しかし、協働する4個以上の分子はリポソームを輸送することができ、植物でダイニンの代わりを果たしている可能性がある。

  • Letter: PRC2はシロイヌナズナの成熟体細胞の脱分化を抑制する

    PRC2 represses dedifferentiation of mature somatic cells in Arabidopsis

    doi: 10.1038/nplants.2015.89

    植物の体細胞には全能性があるが、いったん分化したらその性質および機能を維持しなければならない。クロマチン調節因子PRC2は下流の転写因子を抑制し、完全に成熟した根毛細胞の脱分化および分裂を防止する。

2015年6月

  • Review Article: ルビスコの生合成および機能で補助タンパク質が担う役割

    Role of auxiliary proteins in Rubisco biogenesis and function

    doi: 10.1038/nplants.2015.65

    ルビスコは光合成による大気中二酸化炭素から有機化合物への変換を触媒し、植物の代謝で極めて重要な役割を果たしている。本総説では、この最も大量に存在する酵素の組み立ておよび代謝による修復に関与する複雑な細胞機構について探究する。

  • Letter: インドワタは天水条件下でBtワタと同等の経済的利益をもたらす

    Asiatic cotton can generate similar economic benefits to Bt cotton under rainfed conditions

    doi: 10.1038/nplants.2015.72

    鱗翅目害虫に対する抵抗性を持つ遺伝子組換えリクチワタでは、非GM品種と比較して収量および収入が増加するかたわら、農薬使用量は減少する。しかし、人工灌漑を行わずに栽培した場合にインドワタを超える明確な経済的利益が得られるわけではない。

  • Letter: 空きニッチでの高度な資源利用による侵略性の進化

    Evolution of invasiveness through increased resource use in a vacant niche

    doi: 10.1038/nplants.2015.66

    侵略性のイエロースターシスル(Centaurea solstitialis)は、競争相手の在来種が減少して利用可能な水の量が増加するために、原産地のものよりも大きく成長する。そうしたニッチの形成は、侵略種が幅広く繁栄する一因と考えられる。

  • Letter: 地中海のマメ科植物における窒素固定戦略の多様性

    Diversity of nitrogen fixation strategies in Mediterranean legumes

    doi: 10.1038/nplants.2015.64

    窒素固定植物の功罪のバランスは、植物が必要を満たすために窒素固定をどの程度調節しているかに左右される。マメ科植物は進化戦略の違いによって固定方法の幅広い多様性を示す。

  • Article: 根圏細菌との関係が植物に適応優位性をもたらす場合がある

    Associations with rhizosphere bacteria can confer an adaptive advantage to plants

    doi: 10.1038/nplants.2015.51

    シロイヌナズナ( Arabidopsis )の個体群内で自然に生じた多様性は、根を取り巻く細菌の多様性に寄与していた。この多様性は植物の適応度に影響を及ぼしており、宿主がマイクロバイオームにもたらす小さな変化が宿主の健康に大きな影響を及ぼす場合があることが明らかにされた。

  • Article: 葉緑体は植物の防御で中心的な役割を果たし病原体のエフェクターの標的となっている

    Chloroplasts play a central role in plant defence and are targeted by pathogen effectors

    doi: 10.1038/nplants.2015.74

    自然免疫は植物の防御の第一線である。しかし、病原体はその機構を抑制するエフェクターを送り込む。今回、光合成は植物の防御の重要な構成要素であり、葉緑体が病原体の標的であることが明らかにされた。

  • Letter: ジベレリン前駆体GA12はシロイヌナズナの遠距離成長シグナルとして作用する

    The gibberellin precursor GA12 acts as a long-distance growth signal in Arabidopsis

    doi: 10.1038/nplants.2015.73

    ジベレリンは植物の重要な成長ホルモンである。シロイヌナズナ(Arabidopsis)で旧来の接木と現代の分子遺伝学的知識を組み合わせることにより、GA12前駆体はジベレリンが植物の器官の間を長距離輸送されるときの化学形であることが明らかにされた。

  • Article: シロイヌナズナのプライマリーマイクロRNAの転写とプロセシングはElongator複合体によって連動している

    Transcription and processing of primary microRNAs are coupled by Elongator complex in Arabidopsis

    doi: 10.1038/nplants.2015.75

    miRNAの生合成には、プライマリーmiRNAの転写およびその後のDCLタンパク質によるプロセシングが関与している。今回、Elongator複合体がプライマリーmiRNAとDCL1タンパク質の両者をクロマチンと結合させることによってその2つのプロセスを連動させることが明らかにされた。

2015年5月

  • Brief Communication: 菌従属栄養性ラン科植物ツチアケビの鳥類による種子散布

    Avian seed dispersal in a mycoheterotrophic orchid Cyrtosia septentrionalis

    doi: 10.1038/nplants.2015.52

    従来、ランの種子は風が散布すると考えられてきた。しかし、赤外線センサーカメラを用いた徹底的な観察の結果、ヒヨドリなどの鳥類が、少なくとも1種のラン「ツチアケビ(Cyrtosia septentrionalis)」の種子を摂食して散布していることが明らかになった。

  • Article: ラバートランスフェラーゼ活性化因子はタンポポの天然ゴム生合成に必要である

    A rubber transferase activator is necessary for natural rubber biosynthesis in dandelion

    doi: 10.1038/nplants.2015.48

    天然ゴムは極めて長いイソプレン重合体からなる。工業用ラテックスの代替源となる可能性のあるタンポポでは、ヒトNogo-B受容体に相同的なラバートランスフェラーゼ活性化因子が天然ゴム合成に必要となる。

  • Article: ランの花被形成モデル

    Model for perianth formation in orchids

    doi: 10.1038/nplants.2015.46

    ランの萼片/花弁/リップ(唇弁)の決定機構は明らかにされていない。今回、異なるAP3/AGL6ホモログを含む2種類のタンパク質複合体の競争によってランの複雑な花被パターンの形成が決定されていることが明らかになった。

  • Article: シアノバクテリアの代謝の可塑性がCO2のエチレンへの直接変換を支える

    The plasticity of cyanobacterial metabolism supports direct CO2 conversion to ethylene

    doi: 10.1038/nplants.2015.53

    Synechocystis 6803でPseudomonasのエチレン生成酵素(Efe)を発現させるとエチレンが生成する。トレーサー実験および代謝モデリングから、これはトリカルボン酸回路の流れの可塑性によって実現されていることが明らかにされた。

  • Article: シロイヌナズナのジャスモン酸シグナル伝達にはSGT1b–HSP70–HSP90シャペロン複合体が関与する

    Jasmonate signalling in Arabidopsis involves SGT1b–HSP70–HSP90 chaperone complexes

    doi: 10.1038/nplants.2015.49

    新しいシロイヌナズナ(Arabidopsis)変異体の分析から、SGT1bタンパク質がシャペロンと結合して、ジャスモン酸受容体Col1およびオーキシンホルモンFボックス受容体TIR1を安定化させることがわかった。今回の研究は、ホルモンシグナル伝達でシャペロン複合体が担う重要性を明示している。

  • Article: 植物の栄養素獲得戦略は生態系の長期的発達の過程で多様化する

    Diversity of plant nutrient-acquisition strategies increases during long-term ecosystem development

    doi: 10.1038/nplants.2015.50

    オーストラリアの一連の砂丘で行われた植物の研究から、リンの制限に対する葉と根の対処方法が異なっていることがわかった。葉がリンの効率的な利用に集中する一方で、根は豊富で多様な栄養素獲得戦略を取っている。

2015年4月

  • Letter: エリシチン認識はジャガイモに強力な疫病菌抵抗性を与える

    Elicitin recognition confers enhanced resistance to Phytophthora infestans in potato

    doi: 10.1038/nplants.2015.34

    ジャガイモを破壊的な疫病から守るのに有用な遺伝子が野生近縁種から発見された。その遺伝子は膜受容体様タンパク質をコードしているが、これはその機構として最初の発見例であり、さまざまな病原体に対するジャガイモ栽培種の抵抗性を強化するものである。

  • Article: マイクロRNAによる果実の成長の調節

    microRNA regulation of fruit growth

    doi: 10.1038/nplants.2015.36

    生殖相の植物の成長を制御する機構は十分に解明されていない。今回、オーキシンシグナル伝達と発生の経路を組み合わせてシロイヌナズナ(Arabidopsis)の果実の形態形成を促進する新たなmiRNA依存性モジュールが明らかにされた。

  • Letter: 人工的な草原の生産性および安定性に対する種の多様性と遺伝的多様性の相補的な影響

    Complementary effects of species and genetic diversity on productivity and stability of sown grasslands

    doi: 10.1038/nplants.2015.33

    植物種の多様性は、自然の生態系の生産性および安定性、ならびに撹乱に対する生態系の復元力を調節している。管理された草原での実験から、種の多様性が牧草の生産を促進する一方、遺伝的多様性が牧草生産の経時的安定性を高めることが示唆された。

  • Article: in situレーザー分析で明らかにされたペルオキシソームと葉緑体との物理的相互作用

    Physical interaction between peroxisomes and chloroplasts elucidated by in situ laser analysis

    doi: 10.1038/nplants.2015.35

    植物の細胞小器官の動的な相互作用は、光合成において顕著に観察される。光照射下において、ペルオキシシームは形を変え、葉緑体と直接接着することが明らかにされた。局所的なマイクロ衝撃波を生じるフェムト秒レーザー技術により、ペルオキシソームと葉緑体間の接着力が精密に分析され、さらにミトコンドリアを含むこれら細胞小器官の生理的な協調が解明された。

  • Article: 離れた組織に輸送されるシロイヌナズナの内因性メッセンジャーRNA

    Endogenous Arabidopsis messenger RNAs transported to distant tissues

    doi: 10.1038/nplants.2015.25

    mRNAが植物の組織を通ってどこまで輸送されるかは明らかにされていない。今回、RNA配列解読と接木実験を組み合わせた研究により、可動性のmRNAを生成するシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)遺伝子が2006個発見された。

2015年3月

  • Review Article: 植物生物学のタンパク質代謝回転

    Protein turnover in plant biology

    doi: 10.1038/nplants.2015.17

    植物細胞のタンパク質含有量は常に変化している。プロテオミクス分析により、植物のタンパク質合成および分解に寄与する細胞過程、ならびに発生的および環境的な変化に対するその感受性が明らかにされつつある。

  • Article: 葉の毛状突起の形態形成過程での細胞骨格系および細胞壁系のパターン形成機構

    Patterning mechanisms of cytoskeletal and cell wall systems during leaf trichome morphogenesis

    doi: 10.1038/nplants.2015.14

    今回、生細胞撮像および有限要素モデル化により、植物の細胞骨格から毛状突起が形成される過程が明らかにされた。アクチン関連タンパク質(ARP)2/3複合体が、細胞壁の異方性および細胞小器官の輸送の制御を介して成長を支配するアクチン網を生成している。

  • Article: 昆虫の食害は大気の変化が北温帯林に与える影響を変化させる

    Insect herbivory alters impact of atmospheric change on northern temperate forests

    doi: 10.1038/nplants.2015.16

    草食性昆虫は森林の構造および機能に影響を及ぼす。今回、米国のAspen FACEの拠点で行われた実験は、二酸化炭素濃度の上昇が昆虫による森林生産力低下を助長するのに対し、オゾン濃度の上昇が逆の影響を及ぼすことを示唆している。

  • Article: シロイヌナズナの硝酸トランスセプターNRT1.1による複数の硝酸感知機構

    Multiple mechanisms of nitrate sensing by Arabidopsis nitrate transceptor NRT1.1

    doi: 10.1038/nplants.2015.15

    シロイヌナズナ(Arabidopsis)では、細胞膜の硝酸トランスセプター(輸送体/受容体)NRT1.1が、硝酸に対する多くの生理反応および発生反応を支配している。このトランスセプターの重要な2残基の点変異が硝酸に対する複数のNRT1.1依存的反応に異なる影響を与えることから、NRT1.1が別々のシグナル伝達経路を活性化することが示唆された。

  • Article: SCF複合体からTIR1オーキシン受容体が解放されるとこの受容体が安定化してオーキシン応答が阻害される

    Untethering the TIR1 auxin receptor from the SCF complex increases its stability and inhibits auxin response

    doi: 10.1038/nplants.2014.30

    植物のオーキシン受容体TIR1が機能を発揮して基質に作用するには、SCF複合体と結合する必要がある。今回、この相互作用を遮断することができる変異が新たに発見され、いったんSCF複合体に組み込まれたTIR1が自己触媒的に分解されることが示唆された。

  • Article: 翻訳阻害による遺伝子調節はダイサーパートナータンパク質によって決定される

    Gene regulation by translational inhibition is determined by Dicer partnering proteins

    doi: 10.1038/nplants.2014.27

    植物マイクロRNAの調節機構の選択に関して知られていることはほとんどない。今回、ダイサーパートナータンパク質DRB2は、翻訳阻害を決定して転写物の切断を抑制することで、2つの機構の選択を可能としていることが明らかにされた。

  • Article: 接触によるシロイヌナズナの形態変化はジベレリンの分解に依存する

    Touch-induced changes in Arabidopsis morphology dependent on gibberellin breakdown

    doi: 10.1038/nplants.2014.25

    接触は植物の成長抑制および開花遅延を引き起こす場合がある。野生型のシロイヌナズナ(Arabidopsis)、ならびにジベレリンのシグナル伝達および分解に異常が生じた変異体を用いた実験から、接触による植物の形態変化がジベレリン異化に依存することが示唆された。

2015年2月

2015年1月

  • Letter: 4億5000万年の進化における植物ホルモンとしてのエチレンの保存

    Conservation of ethylene as a plant hormone over 450 million years of evolution

    doi: 10.1038/nplants.2014.4

    トランスクリプトミクスと分子細胞生物学を組み合わせることで、陸生植物と淡水性緑藻の相同的なホルモン系が発見された。特に、アオミドロとシロイヌナズナは相同的なエチレンシグナル伝達経路を有していた。

  • Article: テンサイ主根のスクロース蓄積を担う輸送体の同定

    Identification of the transporter responsible for sucrose accumulation in sugar beet taproots

    doi: 10.1038/nplants.2014.1

    テンサイは世界で消費される砂糖の約3分の1を供給し、バイオエネルギーの重要な供給源となっている。一連の室内実験から、輸送体BvTST2.1がテンサイ主根の液胞へのスクロース取り込みを担っていることが示唆された。

  • Letter: 強力なルビスコ阻害剤の選択的糖ホスファターゼによる分解

    Degradation of potent Rubisco inhibitor by selective sugar phosphatase

    doi: 10.1038/nplants.2014.2

    ルビスコは、光合成生物による大気中二酸化炭素の有機化合物への変換を触媒する。生化学的、構造的分析から、植物および藻類の選択的糖ホスファターゼが強力なルビスコ阻害剤を分解することが示唆された。

  • Letter: 植物におけるグロージャーの規則の一例を示す花の着色パターン

    Floral pigmentation patterns provide an example of Gloger's rule in plants

    doi: 10.1038/nplants.2014.7

    グロージャーの規則は、生息地が赤道に近い動物の体色が濃くなることを述べたものである。植物では同様の世界的傾向が観察されていなかったが、今回、ヨウシュツルキンバイ(Argentina anserine)の紫外線色素の変化にはグロージャーの規則が当てはまることが分かった。

  • Article: 遺伝子重複および遺伝子交換がペチュニアのS-RNase型自家不和合性の進化を駆動する

    Gene duplication and genetic exchange drive the evolution of S-RNase-based self-incompatibility in Petunia

    doi: 10.1038/nplants.2014.5

    ペチュニアなどのナス科植物は、自家受精を回避するために、非自己花粉に発現する16~20種類のS遺伝子座F-ボックスタンパク質群で雌ずいのS-リボヌクレアーゼ成分を解毒する系を利用している。

  • Article: 紫外線受容体UVR8の初期シグナル伝達事象が動的結晶解析で明らかにされる

    Dynamic crystallography reveals early signalling events in ultraviolet photoreceptor UVR8

    doi: 10.1038/nplants.2014.6

    植物は太陽光のUVBを認識する。シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)はそのために光受容体UVR8を利用している。動的結晶解析により、初期シグナル伝達の構造的事象、およびUVR8のホモ二量体状態(不活性型)と単量体状態(活性型)の間の中間体が明らかにされた。

  • Letter: 米国南西部のトウモロコシの起源および進化

    The origin and evolution of maize in the Southwestern United States

    doi: 10.1038/nplants.2014.3

    トウモロコシは、メキシコ南部でテオシント(ブタモロコシ)という野草の栽培化によって生み出され、南北アメリカ大陸に広がった。今回、6000年にわたる考古学的標本のDNA塩基配列解読からその拡散経路が示され、米国南西部の気候と文化に適応させるため特に選択された遺伝子が発見された。

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