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神経変性疾患:マウス中枢神経系では周皮細胞の変性が白質機能不全を引き起こす

Nature Medicine 24, 3 doi: 10.1038/nm.4482

脳小血管病や認知症と関連するびまん性白質病変は、高齢者で広く見られる。しかし、この関連がどのような生物学的機構を介しているのかは解明されていない。本論文では、周皮細胞を欠損するマウス、磁気共鳴画像化法、ウイルスを用いる神経繊維連絡解析法、行動解析、および組織解析を用いて、周皮細胞の変性が白質の微小循環を破壊し、その結果として血液由来の毒性フィブリン(フィブリノーゲン)沈着物の集積や血流減少が起こり、これがミエリン、軸索やオリゴデンドロサイトの喪失を引き起こすことを示す。周皮細胞のこうした変性によって脳の回路が破壊され、ニューロン喪失に先立って白質機能障害が引き起こされる。培養中のオリゴデンドロサイトと周皮細胞では、フィブリノーゲンやフィブリン原繊維がオートファジー依存性の細胞死を開始させるが、マウスで全身のフィブリノーゲンレベルを薬理学的または遺伝的手法によって変化させると、周皮細胞欠損マウスでは白質のフィブリン(フィブリノーゲン)沈着、周皮細胞の変性、血管の病変、白質の変化のレベルに影響が見られたが、対照マウスでは見られなかった。従って、我々のデータは周皮細胞が白質の構造と機能を制御することを示しており、これは脳小血管病に関連するヒト白質病変の発症機序や治療に関わりがあると考えられる。

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