Letter

白血病:骨髄性白血病の骨髄微小環境による差別的な調節

Nature Medicine 19, 11 doi: 10.1038/nm.3364

慢性骨髄性白血病(CML)や急性骨髄性白血病(AML)の白血病幹細胞(LSC)は、正常な造血幹細胞と同じように骨髄微小環境(BMM)中の特異的なニッチに存在すると考えられており、これらのLSCは化学療法後の再発の原因である可能性がある。このようなニッチを標的とすることは、持続性および薬剤耐性のLSCを除去するための新しい戦略である。CD44やインターロイキン6は、このLSCニッチに関与することがこれまでに示されている。トランスフォーミング増殖因子β1(TGF-β1)は、骨リモデリングの過程で分泌され、CML LSCの維持に役割を果たしているが、BMM由来のTGF-β1の役割は解明されていない。本論文では、副甲状腺ホルモン(PTH)受容体の骨芽細胞特異的な活性化によるBMMの変化が、マウス移植モデルでBCR-ABL1がん遺伝子によって誘発されるCML様の骨髄増殖性腫瘍形成(MPN)を軽減するが、MLL-AF9がん遺伝子によって誘発されるAMLは憎悪させること、これはおそらくTGF-β1の増加がCML LSCとAML LSCに逆の影響を及ぼすためであることを示す。PTH投与は、CML様MPNを発症した野生型マウスでLSCの減少を15倍にし、また免疫不全マウスでは初代培養ヒトCML細胞の生着を低下させた。これらの結果は、CMLとAMLでのLSCニッチは別であることを実証しており、またPTHによるBMMの調整が、CMLの治癒の必要条件であるLSC減少のための実行可能な戦略である可能性を示唆している。

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