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氷河後退による火山活動で起こった海の貧酸素化
光合成は、二酸化炭素を有機物に変え、副産物として酸素を作る。この逆のプロセスでは、有機物は分解(再無機化)する際に酸素を消費し、CO2を放出する。大気中の酸素濃度は、速い混合と複雑な生物地球化学的フィードバック機構によって安定しているが、海の酸素濃度(溶存酸素量)は領域によって著しく変化し1、酸素に依存して生きている海洋生物に悲惨な結果をもたらす。オレゴン州立大学(米国コーバリス)のJianghui Duらは、最終氷期末の温暖化の時期に、巨大な氷床の融解がイベントの連鎖を引き起こし、太平洋北東部の中間層の海水から全ての溶存酸素が失われたと考えられると、Nature 2022年11月3日号74ページに掲載された論文で報告した2。
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翻訳:新庄直樹
Nature ダイジェスト Vol. 20 No. 2
DOI: 10.1038/ndigest.2023.230242
原文
Glaciers sparked volcanism that harmed ocean health- Nature (2022-11-03) | DOI: 10.1038/d41586-022-03456-3
- Weiqi Yao & Ulrich G. Wortman
- Weiqi Yaoは、中国広東省深圳の南方科技大学に所属。 Ulrich G. Wrotmannは、トロント大学(カナダ・オンタリオ州)に所属。 筆者らは競合する利害がないことを表明している。
参考文献
- Garcia, H. E. et al. World Ocean Atlas 2018 Volume 3: Dissolved Oxygen, Apparent Oxygen Utilization, and Oxygen Saturation (NOAA, 2019).
- Du, J., Mix, A. C., Haley, B. A., Belanger, C. L. & Sharon. Nature 611, 74–80 (2022).
- Huybers, P. & Langmuir, C. Earth Planet. Sci. Lett. 286, 479–491 (2009).
- Keller, D. P., Feng, E. Y. & Oschlies, A. Nature Commun. 5, 3304 (2014).
- Yao, W., Paytan, A. & Wortmann, U. G. Science 361, 804–806 (2018).
- Breitburg, D. et al. Science 359, eaam7240 (2018).
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