Where I Work

Kristine Bohmann

Nature ダイジェスト Vol. 19 No. 9 | doi : 10.1038/ndigest.2022.220952

原文:Nature (2022-05-03) | doi: 10.1038/d41586-022-01206-z | Name that animal: my DNA detector

Chris Woolston

Kristine Bohmannは、 コペンハーゲン大学(デンマーク)の分子生態学者。

拡大する

Nature by CHRISTIAN BENDIX

写真は2022年2月にコペンハーゲン動物園で撮影したものです。私が手にしているのは、小さなファンとフィルターが付いたバキューム装置です。空気中からDNA試料を採取するもので、私たちはエアサンプラーと呼んでいます。動物園には3台のエアサンプラーを設置しました。1台目はオカピとダイカー(アフリカ産のレイヨウ)が2頭ずついる厩舎に、2台目は熱帯雨林館に、3台目はアフリカのサバンナに生息する動物たちの展示エリア近くの屋外に設置しました。

私たちは当初、厩舎のオカピなど、小さな囲いの中の、すぐ近くにいる動物のDNAを検出できれば御の字だと考えていました。ところがCurrent Biology で報告したように、バキューム装置は私たちの期待を上回る性能を発揮したのです(C. Lynggaard Curr. Biol. 32, 701-707; 2022)。熱帯雨林館の池のグッピーから、サバンナエリアのダチョウやキリンや、動物園の隣の公園にいたネコやイヌまで、実に49種の脊椎動物について識別可能なDNAが集まりました。面白いことに、熱帯雨林館のカメのDNAは全く検出できませんでした。カメはDNAをほとんど体外に放出しないのかもしれません。

分析の結果、バキューム装置は動物から約200m離れた所でDNAを検出できることが分かりました。

私たちの周りの空気中にはたくさんのDNAが浮遊しています。鳥が羽ばたけば皮膚細胞が飛び散り、あらゆる動物の唾液は空気中に浮遊する可能性があります。動物が排便するときにはDNAも放出します。2021年11月、私は助成金を受けて、自然界で空気中に浮遊しているDNAを収集することを目的とした研究グループを立ち上げました。このアプローチは、保全生物学や種のモニタリングを一変させる可能性があります。環境を乱すことなく、希少な動物を発見したり、多様性に関する理解を深めたりすることができるからです。

エアサンプラーの設置場所、気流の速さ、時間、試料からDNAを選別するのに最適な方法などは、まだ調査中です。動物園での実験がうまくいくとは思っていなかったので、今になって大急ぎで次のステップを計画しているのですが、ワクワクしますね。

(翻訳:三枝小夜子)

キーワード

Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

プライバシーマーク制度