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錯体合成で明らかになったカリホルニウム–炭素結合の特性

Nature ダイジェスト Vol. 19 No. 2 | doi : 10.1038/ndigest.2022.220240

原文:Nature (2021-11-18) | doi: 10.1038/d41586-021-03385-7 | Californium–carbon bond captured in a complex

Julie E. Niklas & Henry S. La Pierre

カリホルニウム(Cf)などのアクチノイド系列後半の元素の研究は、その希少性と放射能の強さゆえに困難を極め、あまり進んでいない。今回、そうした課題の数々を克服してCfの有機金属錯体合成とその特性評価が行われ、Cf–C結合の構造的特性が初めて明らかになった。

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andriano_cz/iStock/Getty

「メタロセン」として知られる一連の有機金属化合物の詳細な研究によって、触媒学、電気化学、ナノテクノロジーなどの分野に、いくつもの極めて重要な発展がもたらされている。メタロセンとは、金属原子が平行な2つの平面環に挟まれた構造を持つ「サンドイッチ化合物」の一種である。このたび、ロスアラモス国立研究所(米国ニューメキシコ州)のConrad A. P. Goodwinら1は、アクチノイド元素の1つであるカリホルニウム(Cf、図1a)を中心金属とするメタロセンを合成し、その特性評価を行った結果をNature 2021年11月18日号421ページで報告した。Cfは放射能が強く高価で、その化合物は空気に敏感なため、Cfやその化合物を安全かつ確実に扱うには克服すべき技術的課題が数多くあった。そんな中、Goodwinらは今回、わずか2mgのCfで研究を行い、Cf–C結合の初の結晶学的測定という注目すべき成果を上げた。アクチノイドイオンの有機金属化合物の研究は、錯体(中心の原子またはイオンに配位子が結合した化合物の総称)に関する従来の結合モデルに異を唱える研究の最前線として近年注目されており、今回のGoodwinらの成果も、重アクチノイド元素の物理化学的特性の周期的傾向を明らかにするのに役立つと期待される。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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