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腫瘍は、筋肉や神経を保護するシグナルを遮断する

Nature ダイジェスト Vol. 19 No. 1 | doi : 10.1038/ndigest.2022.220142

原文:Nature (2021-10-07) | doi: 10.1038/d41586-021-02492-9 | Tumours block protective muscle and nerve signals to cause cachexia

Teresa A. Zimmers

ある種のがんは、人を消耗させ、衰弱させる悪液質という状態に陥らせる。今回、こうしたがんの悪液質マウスモデルにおいて、通常は筋肉の神経支配と量を保護している分子が、腫瘍によって阻害されることが示された。この発見は、致死的ながんを治療する方法につながるだろうか?

骨格筋の筋繊維と運動ニューロン。ニューロンの先端にあるのが神経筋接合部。 | 拡大する

Ed Reschke/Stone/Getty

ある種のがん、特に消化管腫瘍や肺腫瘍の人は悪液質と呼ばれる状態を経験することが多い1。悪液質とは、進行性の体重減少で、重度であることが多いが、食物摂取量とは関係がない。悪液質が生じるのは、腫瘍が、体の神経系、免疫系、代謝系を再配線して、脂肪組織や骨格筋の破壊(異化と呼ばれる、代謝における分解反応)を開始させるためである2,3。悪液質になった人は、筋肉が減弱して小さくなるにつれて、体の正常な機能が失われていく。損傷、感染、治療毒性に脆弱になり、最終的にはがん治療に反応しなくなるのだ(2016年3月号「最期の病」参照)。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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