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完全なリサイクルを可能にするバイオマスプラスチック

廃棄物管理施設に山積みされるプラスチックごみ。現状では、プラスチックのリサイクル率はかなり低く、完全なリサイクルも難しい。 Credit: bulentumut/iStock/Getty

埋め立て地や海洋にあふれ返る無数のプラスチックごみ。厳しい現実を突き付けるこうした光景に、我々はプラスチックの使用について再考するようになった。ほとんどのプラスチックは、枯渇しつつある石油資源を原料とするだけでなく、効果的にリサイクルされず、環境汚染物質になっている。プラスチックにはさまざまな種類があるが、それら全てには構成成分として重合体(ポリマー)が含まれる。プラスチック問題の解決には多くの異なるアプローチが必要だが、プラスチックの持続可能性を高めるには、根本的に、ポリマーの化学的性質を設計し直さなければならない1。主な目標は、化石燃料の枠を超えた原料の多様化、組み込まれるエネルギーと有用資源の節約、複数回のリサイクルにわたる有用特性の完全な保持、必要に応じて分子構造を完全に分解できるプラスチックの設計である2–4。このたび、コンスタンツ大学(ドイツ)のManuel Häußlerらは、これら全ての目標で基準を満たす可能性のあるプラスチックを開発し、Nature 2021年2月18日号423ページで報告した5

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翻訳:藤野正美

Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 5

DOI: 10.1038/ndigest.2021.210546

原文

High-performance plastic made from renewable oils is chemically recyclable by design
  • Nature (2021-02-18) | DOI: 10.1038/d41586-021-00349-9
  • Charlotte K. Williams & Georgina L. Gregory
  • Charlotte K. Williams & Georgina L. Gregoryは、オックスフォード大学(英国)に所属。

参考文献

  1. Science to Enable Sustainable Plastics. A White Paper from the 8th Chemical Sciences and Society Summit (CS3); availabe at go.nature.com/3pfImyw (2020).
  2. Rahimi, A. & García, J. M. Nature Rev. Chem. 1, 0046 (2017).
  3. Coates, G. W. & Getzler, Y. D. Y. L. Nature Rev. Mater. 5, 501–516 (2020).
  4. Fortman, D. J. et al. ACS Sustain. Chem. Eng. 6, 11145–11159 (2018).
  5. Häußler, M., Eck, M., Rothauer, D. & Mecking, S. Nature 590, 423–427 (2021).
  6. Ellen MacArthur Foundation. The New Plastics Economy: Rethinking the Future of Plastics & Catalysing Action (2017).
  7. Vollmer, I. et al. Angew. Chem. Int. Edn 59, 15402–15423 (2020).
  8. Oblak, P., Gonzalez-Gutierrez, J., Zupančič, B., Aulova, A. & Emri, I. Polym. Degrad. Stab. 114, 133–145 (2015).
  9. Stempfle, F., Ortmann, P. & Mecking, S. Chem. Rev. 116, 4597–4641 (2016).