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SARS-CoV-2感染で得た免疫は「1〜2年しか続かない」と予測結果

Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 12 | doi : 10.1038/ndigest.2021.211212

原文:Nature (2021-10-19) | doi: 10.1038/d41586-021-02825-8 | COVID reinfections likely within one or two years, models propose

Lynne Peeples

マスク着用やワクチン接種などの防護策を講じない場合、初感染から17カ月後には再感染のリスクが50%に達すると、ウイルスの進化的関係に基づく推定方法により予測された。

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NIAID

新型コロナウイルス(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2;SARS-CoV-2)に感染した人は、マスク着用やワクチン接種などの防護策を講じない場合、1~2年以内に再感染のリスクにさらされると予測される。SARS-CoV-2とその他のコロナウイルスとの進化的関係に基づくモデルによる推定だ1

ワクチン接種を受けないと、初感染からわずか数カ月で再感染する可能性さえあることも警告されている。論文著者の1人であるエール大学公衆衛生大学院(米国コネチカット州ニューヘイブン)のバイオインフォマティクス研究者Jeffrey Townsendは、「免疫はそれほど長続きしません。感染経験があったとしても、ワクチン接種は受けておくべきです」と言う。

獲得した免疫の持続期間を正確に知るためには、今後数カ月、あるいは数年にわたるデータの収集が必要だ。「けれども、それまで待ちたいとは思いませんし、その必要もありません」とTownsendは話す。

Townsendらは、SARS-CoV-2に対する免疫の持続期間を推定するために、過去の感染によって産生された抗体のレベルが再感染のリスクにどのように影響するかを知りたいと考えた。風邪の原因となるコロナウイルスに関する以前の研究2では、日常的に存在している「エンデミック(いわゆる風土病)」なウイルスであったため、この影響を数年間にわたってグラフ化して示すことができた。しかし、SARS-CoV-2は出現してから間もないため、そのような長期的なデータは入手できない。

このギャップを埋めるためにTownsendらは、3種類のエンデミックなコロナウイルスとSARS-CoV-2、近縁で2003年に流行した重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)のゲノムデータを使って、コロナウイルスの系統樹を作成した。そして、その系統樹に基づいて、ウイルスの形質が時間と共にどのように進化してきたかをモデル化した。このモデル化により、SARS-CoV-2感染後の抗体レベルの減衰速度や、再感染のリスクを理解するために必要なその他の要因を推定することができた。

その結果、平均的な再感染リスクは、初感染から4カ月後は約5%であったが、17カ月後には50%にまで上昇することが示された。結論として、SARS-CoV-2に対する免疫は、風邪の原因となる3種類のコロナウイルスに対する免疫が持続する期間の半分以下ということになる。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がパンデミック(世界的大流行)からエンデミック(地域的流行)へと移行する可能性を示唆している今回の研究結果に、Townsendは「驚きと恐れ」を感じたと言う。

未確定の問題

しかし、再感染した場合の重症度など、よく分かっていない点も多い。再感染のしやすさや、再感染した場合の疾患の経過(長期化するかどうかなど)についても個人差が大きい。

シカゴ大学(米国イリノイ州)の進化生物学者Sarah Cobeyは、今回の研究が「ウイルスの遺伝学的な類似性に基づいて、再感染に関連する形質の類似性を予測することができる」という仮定に基づいていることに注意を促している。SARS-CoV-2に感染した後、どのくらいの速度で免疫が減衰するかについて、確信を持って述べるにはまだ早過ぎるかもしれないと彼女は指摘する。しかし、科学的な見地から、免疫が減衰すること自体は確かだと彼女は付け加える。「免疫から逃れることを目的に進化しているウイルスに対して、免疫の効果がそんなに長くは続かないと誰だって思うでしょう」。

感染経験のある人でもワクチン接種を受けて免疫を強化する必要があることをCobeyも強調する。この点に関しては、2021年8月に米国疾病予防管理センター(CDC)が発表した研究結果3を見ても納得できる。CDCの研究では、2020年にSARS-CoV-2に感染した人のうち、2021年の5月または6月に再感染した人について調べている。その結果、ワクチン接種を受けなかった人は受けた人と比べて、再感染のリスクが2倍以上高いことが分かった。

(翻訳:藤山与一)

参考文献

  1. Townsend, J. P. et al. Lancet Microbe https://doi.org/10.1016/S2666-5247(21)00219-6 (2021).
  2. Edridge, A. W. D. et al. Nature Med. 26, 1691–1693 (2020).
  3. Cavanaugh, A. M., Spicer, K. B., Thoroughman, D., Glick, C. & Winter, K. Morb. Mortal. Wkly Rep. 70, 1081–1083 (2021).

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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