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がんの形はどのようにして決まるのか
形態と機能の相互関係は生物学の基本であり、多くの疾患の特徴として正常な組織構造の破壊が認められる。組織構造の変化が、がんのような破壊的な疾患の結果にすぎないのか、それとも疾患の進行に積極的に影響を与えているのか、という疑問は古くから提起されている。皮膚がんは、タイプによって異なる特定の遺伝子異常によって引き起こされ、それぞれのタイプに特徴的な腫瘍の形状がある。しかし、そのような構造がどのようにして決まるのか、また、悪性度の低いタイプのがんと高いタイプのがんの転帰の違いにそれぞれの形状が影響を与えているのか否かについては、これまでよく分かっていなかった。今回、ロックフェラー大学(米国ニューヨーク)のVincent F. Fioreら1は、Nature 2020年9月17日号433ページでマウスの皮膚がんの解析を報告し、その中でいくつかの重要な原理を明らかにしている。
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翻訳:藤山与一
Nature ダイジェスト Vol. 17 No. 12
DOI: 10.1038/ndigest.2020.201241
原文
How cancer invasion takes shape- Nature (2020-09-17) | DOI: 10.1038/d41586-020-02490-3
- Karolina Punovuori & Sara A. Wickström
- Karolina Punovuori & Sara A. Wickströmは、ヘルシンキ大学およびウィフリ研究所(共にフィンランド・ヘルシンキ)に所属、Sara A. Wickströmはマックス・プランク老化生物学研究所(ドイツ・ケルン)にも所属。
参考文献
- Fiore, V. F. et al. Nature 585, 433–439 (2020).
- Gonzales, K. A. U. & Fuchs, E. Dev. Cell 43, 387–401 (2017).
- Sánchez-Danés, A. & Blainpain, C. Nature Rev. Cancer 18, 549–561 (2018).
- Miroshnikova, Y. A. et al. Nature Cell Biol. 20, 69–80 (2018).
- Seltmann, K., Fritsch, A. W., Käs, J. A. & Magin. T. M. Proc. Natl Acad. Sci. USA 110, 18507–18512 (2013).
- Mao, Y. & Baum, B. Dev. Biol. 401, 92–102 (2015).
- Messal, H. A. et al. Nature 566, 126–132 (2019).
- Shyer, A. E. et al. Science 357, 811–815 (2017).
- Morgner, J. et al. Nature Commun. 6, 8198 (2015).