2019年8月号Volume 16 Number 8

系統樹を揺さぶるトリックスター

北極海海底の熱水噴出孔で最近、驚くべきアーキア(古細菌)が見つかった。そのゲノムを解析すると、真核生物に固有とされてきた遺伝子が複数見つかったのだ。2015年に報告されたこのアーキアは、秩序を破り皆を振り回す北欧神話の神「ロキ」になぞらえロキアーキオータと名付けられた。その後、ロキ類に近縁なアーキアが複数見つかり、これらを総称した「アスガルド上門」は今、真核生物の起源を巡る議論を大いに沸かせている。

Editorial

Top of page ⤴

News in Japan

Free access

欧州と日本の科学技術研究の連携を促進するため、欧州研究会議(ERC)主催の研究プログラムを説明するシンポジウムが2019年6月5日、東京・目黒区の東京工業大学で開催された。欧州連合(EU)では、史上最大規模の研究・イノベーション枠組み計画「Horizon 2020」が進行中だ。ERCのジャン・ピエール・ブルギニョン議長にHorizon 2020の現状と今後、日本へのメッセージなどを聞いた。

Free access

医学ではゲノム解析の重要性が増している。病気の原因解明や創薬においてはもちろんのこと、個別化医療や予防医学への応用に至るまで、医学のさまざまな側面でゲノム解析の利用が進んでいる。特に、患者のゲノムデータを集めて行う病気の研究では、データベースの規模が研究成果に直結してくることが多いといわれる。精緻な医療の実現を目指し、ゲノム情報を活用する国が出てきている中、日本におけるゲノムデータの収集と活用の状況はどうなっているのか、徳永勝士氏と岡野栄之氏に聞いた。

Top of page ⤴

News

チベットで見つかった下顎骨はデニソワ人のものであることが、タンパク質解析だけで確認できた。今回の発見で、デニソワ人がシベリア以外にも広く分布していたことが裏付けられた。

Top of page ⤴

News Feature

アーキアと呼ばれる微生物群の一部には、北欧神話に出てくるロキなどの神にちなんだ名前が付けられている。この仲間は謎が多く、ヒトなど複雑な生物の起源を巡る論争の火種にもなっている。

Top of page ⤴

Japanese Author

Free access

麻疹やおたふく風邪などは、一度かかると、再び発症することはほとんどない。これは、免疫細胞が病原体のタンパク質を記憶していて、再感染の際に速やかに応答しているからだ。このような免疫記憶の中心となる記憶T細胞の産生に脂肪酸代謝が関わっていることを、千葉大学大学院医学研究院教授で研究院長の中山俊憲氏と、かずさDNA研究所オミックス医科学研究室室長の遠藤裕介氏らの研究グループが発見し、新創刊のNature Metabolism 2月号に発表した1

Top of page ⤴

News & Views

哺乳動物の褐色脂肪は、熱を発生させることで、蓄積されていたカロリーを燃やす。この過程は、褐色脂肪組織に侵入している神経によって制御される。褐色脂肪の神経分布と熱発生を調節するタンパク質が発見された。

アミノ酸をコードするコドンの種類を通常より少なくした、これまでで最大の合成ゲノムが作製された。この成果により、非天然のアミノ酸残基を含むタンパク質をゲノムにコードできる可能性が高まった。

電気抵抗ゼロで電流が流れる現象、超伝導を室温で示す物質を、研究者たちは1世紀にわたって探し続けてきた。今回、これまでで最も高温の約250ケルビン(K)での超伝導を裏付ける実験結果が得られた。

Top of page ⤴

News Scan

Top of page ⤴