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なぜ褐色脂肪には多くの神経が分布しているのか
肥満の劇的な増加によって、糖尿病と心血管疾患が世界的に増えている。哺乳動物では余分なカロリーはトリグリセリド分子として白色脂肪組織(白色脂肪とも呼ばれる)の中に蓄積される。対照的に、褐色脂肪組織(BAT;褐色脂肪)は、適応型の非ふるえ熱産生と呼ばれる過程で脂肪とグルコース分子を燃やして熱を発生させる1。BATの熱産生を活性化することは、肥満治療の戦略候補となり得るため、BATの発生と生理学的特徴を理解することへの関心は高まっている。今回、ダナ・ファーバーがん研究所(米国マサチューセッツ州メドフォード)およびハーバード大学医学系大学院(米国マサチューセッツ州ボストン)に所属するXing ZengらはNature 5月9日号229ページで、褐色脂肪細胞中に見られるタンパク質のカルシンテニン3β(CLSTN3β)が、増殖因子の1つ(S100bと呼ばれるタンパク質)の分泌を制御することによってBATの神経分布と熱発生の重要な調節因子の1つと働くと報告している2。
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翻訳:古川奈々子
Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 8
DOI: 10.1038/ndigest.2019.190828
原文
Why brown fat has a lot of nerve- Nature (2019-05-09) | DOI: 10.1038/d41586-019-01278-4
- Rejji Kuruvilla
- Rejji Kuruvillaは、ジョンズホプキンス大学 (米国メリーランド州ボルティモア)に所属。
参考文献
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- 2 Zeng, X. et al. Nature 569, 226–235 (2019).
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