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体内のカロリー燃焼を促進する意外な分子

脂肪組織の走査電子顕微鏡像。 Credit: STEVE GSCHMEISSNER/SPL/Getty

体重を減らす方法には2通りある。1つは、カロリー摂取量を、体で代謝に使われるエネルギー量よりも少なくすること、もう1つは、運動などを行って、代謝で燃焼されるカロリーを増やすことだ。ダナ・ファーバーがん研究所およびハーバード大学医学系大学院(いずれも米国マサチューセッツ州ボストン)のEvanna L. Millsらはこのほど、栄養素の代謝の過程で生じる分子がカロリー燃焼を誘導するという驚くべき事実を発見し、Nature 8月2日号102ページで発表した1。この代謝産物はコハク酸と呼ばれ、褐色脂肪組織でのエネルギー消費を活性化する。実際に、コハク酸を添加した水をマウスに与えると、体重増加が抑制されることも示された。

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翻訳:山崎泰豊

Nature ダイジェスト Vol. 15 No. 11

DOI: 10.1038/ndigest.2018.181136

原文

An unexpected trigger for calorie burning in brown fat
  • Nature (2018-07-18) | DOI: 10.1038/d41586-018-05619-7
  • Sheng Hui and Joshua D. Rabinowitz
  • Sheng Hui and Joshua D. Rabinowitzは、プリンストン大学(米国ニュージャージー州)に所属。
  • 訂正:第3パラグラフおよび図の説明文について、脱共役タンパク質1(UCP1)が介するプロトン輸送に関する記述に誤りがございました。本文は訂正済みです。
    (誤)マトリックスから膜間腔へと輸送される
    (正)膜間腔からマトリックスへと輸送される

参考文献

  1. Mills, E. L. et al. Nature 560,102–106 (2018).
  2. Cannon, B. & Nedergaard, J. Physiol. Rev. 84, 277–359 (2004).

  3. Rosen, E. D. & Spiegelman, B. M. Cell 156, 20–44 (2014).

  4. Nedergaard, J., Ricquier, D. & Kozak, L. P. EMBO Rep. 6, 917–921 (2005).

  5. Harms, M. & Seale, P. Nature Med. 19, 1252–1263 (2013).

  6. Carey, A. L. et al. Diabetologia 56, 147–155 (2013).
  7. Chouchani, E. T., Kazak, L. & Spiegelman, B. M. J. Bio. Chem. 292, 16810–16816 (2017).
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  9. Hui, S. et al. Nature 551, 115–118 (2017).