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TMT建設にゴーサイン

Nature ダイジェスト Vol. 15 No. 1 | doi : 10.1038/ndigest.2018.180114

原文:Nature (2017-10-05) | doi: 10.1038/nature.2017.22731 | Controversial Thirty Meter Telescope gets go-ahead to build in Hawaii

Alexandra Witze

新たな建設許可は出たものの、法廷での争いは続く。

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MarcelC/iStock / Getty Images Plus/Gerry

2017年9月28日、米国ハワイ州土地・天然資源委員会(BLNR)は30m望遠鏡(Thirty Meter Telescope:TMT)の新たな建設許可を出し、次世代の天文台がハワイ島マウナケア山に建設される可能性が復活した。

地元住民の一部は、マウナケア山にはすでに複数の望遠鏡があり、新たな望遠鏡の建設は神聖な山をさらに冒涜する行為であるとして、TMTの建設に反対している。TMTの最初の建設許可は2011年2月に出ていたが、数年に及ぶ法廷での争いの後、ハワイ州最高裁判所によって2015年12月に無効とされた(Nature ダイジェスト 2016年3月号「TMTの建設許可が無効に」参照)。BLNRが許可を出す際に適正な手続きに従っていなかったというのがその理由だ。新たな建設許可は、古い建設許可に代わるものとして、TMT国際天文台にプロジェクトを進める法的権利を与えた。

しかし、TMTを巡る物語は完結にはほど遠い。建設反対派がハワイ州最高裁判所に上訴申し立てを行ったからである。これで建設許可は保留になる。TMT建設に反対しているハワイ環境連合(ホノルル)は、「全ての法的手続きが適正に行われるまでは、建設に着手してはならない」との声明を出している。

BLNRの今回の決定は、ヒアリング担当官で元判事のRiki May Amanoの勧告に基づいている。彼女は2017年に40回以上にわたる公聴会の取りまとめを行い、7月には、建設を許可することが望ましいとする勧告を提出した。9月に別の公聴会が開かれ、その後、BLNRの7人の委員が評決を行い、賛成5、反対2で建設が許可されることになった。委員長のSuzanne Caseは、「BLNRがこれまで出した決定の中で最も難しいものの1つでした」と言う。

新たな建設許可は、望遠鏡の建設計画にゼロ排水システムや、労働者への文化や天然資源に関する教育などの項目を追加するよう要請している。

TMT建設支持者たちは、新しい望遠鏡が天文学の長い歴史を持つハワイ州にさらなる教育と雇用の機会をもたらすことを期待している。TMT国際天文台の評議員会議長Henry Yangは、今回の決定には大いに勇気付けられたと述べ、「地元の声に丁寧に耳を傾け、マウナケアをハワイ文化と教育と科学の世界的中心地にするという共通のビジョンを実現するために、計画を進める所存です」という声明を発表した。

TMT国際天文台は、2018年4月までにマウナケアでの建設に着手できなかった場合には、スペイン領カナリア諸島のラ・パルマ島で望遠鏡を建設する可能性を探っている。

(翻訳:三枝小夜子)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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