News Feature
とっておき年間画像特集2015
インドネシアに生息するコモドオオトカゲは、世界最大のトカゲだ。写真は、激しい縄張り争いを繰り広げているところで、互いに組み合うこの様子はコンバットダンスと呼ばれる。この写真は、自然史博物館(英国ロンドン)が主催する2015 年の野生生物写真家コンテスト(WPY)の最終選考作品。
Andrey Gudkov/Wildlife Photographer of the Year 2015
米国のモハベ砂漠上空を超音速飛行するジェット機が発生させた衝撃波が捉えられた。NASAの研究者は、19世紀にドイツの物理学者August Toeplerが初めて開発した「シュリーレン撮影法」を利用し、ジェット機が密度の異なる空気中を通過するときの光の変化を、別の飛行機で捉えた。
NASA Photo
欧州宇宙機関(ESA)の宇宙背景放射観測衛星プランクが捉えた、大マゼラン雲(中央の濃い茶色の点の塊)と小マゼラン雲(左下)の新しい姿。どちらの銀河も我々の銀河系の近くにある。この画像にはマイクロ波とサブミリ波で観測したデータが使われた。
ESA/Planck Collaboration
ワタミハナゾウムシ(Anthonomus grandis)の頭部の精細画像。走査型電子顕微鏡で撮影された。頭部の直径はわずか数ミリメートルである。2015年のWellcome Image Awardsの入賞作品。
Daniel Kariko/Wellcome Images
この画像は、パピルス草とも呼ばれるカミガヤツリ(Cyperus papyrus)の横断切片である。薄気味悪い骸骨のように見えるのは、植物の水分や養分の通路「維管束」の断面だ。David Maitlandが200倍の倍率で撮影。
David Maitland, Courtesy of Nikon Small World
アカントアメーバ(Acanthamoeba polyphaga)に感染する巨大ウイルス(ミミウイルス)の三次元構造。強力なX線自由電子レーザーで捉えた二次元像を数百枚使って構築されたもので、この方法によって、結晶化しにくい巨大ウイルスでも単一粒子の構造を再構築できることが示された。
Tomas Ekeberg/Uppsala Univ./Am. Phys. Soc.
チリの超大型望遠鏡(VLT)が捉えたこの幽霊のような天体は、「南ふくろう星雲」という愛称の惑星状星雲だ。その実体は、一生を終えた星と、そこから放出されて星を取り巻くように広がったガスである。
ESO
NASAの探査機ニューホライズンズは、冥王星に接近してフライバイを行った際に、多数の画像と大量のデータを送ってきて我々を楽しませてくれた。しかしNatureのチームが特に心を奪われたのは、冥王星への最接近の数分後に送られてきたこの美しい画像だ。そこに見えるのは、太陽光によって輪郭が浮かび上がった冷たく神秘的な世界である。
NASA/JHUAPL/SwRI
一部の人々にとって、雷は身がすくむほど恐ろしい自然現象だが、国際雷研究試験センター(ICLRT;米国フロリダ州)のチームにとっては研究の対象であり、わざわざ嵐の空にロケットを打ち上げて人為的に発生させている。写真は、そうして発生させた雷の電光を長時間露光で撮影したもの。
Univ. Florida Lightning Research Group
このディスコ照明のような人体マップは、最大の器官である皮膚の表面に存在する化学物質や微生物を一覧できるようにしたもの。標本は、2人の健康な被験者に入浴を3日間控えてもらった後、体表の400カ所から綿棒で採取した。
Bouslimani et al. Proc. Natl Acad. Sci. USA 112, E2120–E2129 (2015)
アフリカのハゲワシの日常生活が、「死骸に置いたカメラ」によって鮮明に捉えられた。少々陰惨な場面だが、腐肉食のハゲワシは生態系を健全に保つのに重要な役割を果たしている。
Charlie Hamilton James/Wildlife Photographer of the Year 2015
米国のカリフォルニア州は「黄金の州」とも呼ばれるが、この4年にわたる深刻な干ばつによって大打撃を受けている。地元の人々も野生生物も日照り続きに対処しようと懸命だが、山火事の発生頻度は上昇している。写真は8月にクリアレイク近郊で起こった山火事。
Justin Sullivan/Getty
近年の探査で、火星には水がいくつかの異なる形態で存在していることが明らかになってきた。ここに見えるいくつもの黒っぽい筋は、火星表面に液状の塩水があることを示すこれまでで最も強力な証拠の1つであり、さまざまな期待がふくらんでいる。この画像は、火星を周回するNASAの探査機に搭載された高解像度画像科学実験(HiRISE)カメラが捉えた画像と、ガルニクレーターの地形モデルを合成したもの。
NASA/JPL-Caltech/Univ. Arizona
翻訳:船田晶子
Nature ダイジェスト Vol. 13 No. 2
DOI: 10.1038/ndigest.2016.160222
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