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平らなレンズ

Nature ダイジェスト Vol. 12 No. 6 | doi : 10.1038/ndigest.2015.150608a

レンズ豆とは無縁の形に進化

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AITORMMFOTO/ISTOCK/THINKSTOCK 8

レンズという名称は、緩やかな曲面を持つ「レンズ豆」に由来する。だが、未来のカメラは光の焦点を結ぶのに平らなレンズを使うことになるかもしれない。出っ張りなしに光線を散乱・屈折できる平面レンズが大きく進歩しつつある。

くるくる丸めたり財布に忍ばせたりできるスマートフォンが望まれる中、実験室レベルでは柔軟な電子回路や電池、ディスプレーなどができ始めている。だが、数mmの厚みを持つレンズが障害になっている。画像のぼやけを克服するために複数の補正レンズが必要になる場合はなおさらだ。

大きな前進は2012年に起こった。ハーバード大学(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)の物理学者で技術者のFederico Capassoらが、初歩的な平面極薄レンズを発表したのだ。このガラス片は湾曲していないにもかかわらず、高密度かつ高精度に配置されたシリコンの微細な隆起によって、入射光を特定の計算された方向へ曲げることができる。ただしこのレンズが機能するのは単一の色(波長)の光に対してだけで、それもあまり正確とはいえなかった。

これに対し、2015年2月にScienceオンライン版に詳細が報告された最新版は、概念実証を超える域に達した。このレンズは、赤と緑、青の光を完全に集光できる。つまり、これらの光を組み合わせて多色画像を生み出せるのだ。その後、より大型の試作品を作り上げ、「まさに予測どおりに機能しています」とCapassoは言う。こうしたレンズは写真システムや顕微鏡、天文観測機器のサイズと費用を削減できるだろう。

また、いずれは柔軟なプラスチックの上にプリントされ、薄くて曲げられる機器が実現する可能性もある。研究チームはグーグル社など技術企業数社と実用化を協議している。こうした扁平レンズは新種の小型軽量ディスプレーや撮像システムに役立つだろうと、グーグルX社の首席光学アーキテクトを務めるBernard Kressはいう。

問題は、レンズ豆に似ていないのにこれをレンズと呼べるかどうかだ。

(翻訳:鐘田和彦)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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