とっておき年間画像特集2012
北極圏の海氷面積は2012年に最小記録を更新し、米国雪氷データセンター(コロラド州ボールダー)によれば9月16日には341万km2まで減った。この値は、1979〜2000年の平均海氷面積より329万km2も少ない。
Credit: ARCTIC ICE: ANNA HENLY, WINNER, THE WORLD IN OUR HANDS AWARD/VEOLIA ENVIRONNEMENT WILDLIFE PHOTOGRAPHER OF THE YEAR 2012/BBC WORLDWIDE/NATURAL HISTORY MUSEUM
スイスのシュールレアリズムの画家H・R・ギーガーが作り出した「亡霊」のようにも見えるが、これらはコウモリの一種Molossus rufusの胎児である。ケンブリッジ大学(英国)の生物学者Biologist Doritが、胚発生を記録するシステムに標準的な解剖顕微鏡を組み込んで撮影した。
Credit: BATS: DORIT HOCKMAN/UNIV. CAMBRIDGE/2012 PHOTOMICROGRAPHY COMPETITION/NIKON SMALL WORLD
チリのパラナル山にある超大型望遠鏡(VLT)がとらえた、トールのかぶと星雲(NGC 2359)。VLTを擁するヨーロッパ南天天文台は2012年に50周年を迎えた。同天文台の次なる大型プロジェクト「アタカマ大型ミリ波干渉計」は2013年に完成する予定だ。
Credit: NEBULA: B. BAILLEUL/ESO
2012年10月14日、オーストラリア人のスカイダイバーFelix Baumgartnerが、米国ニューメキシコ州の上空約39kmの高度まで上昇した気球カプセルから飛び降り、そのようすを世界中が見守った。Baumgartner(写真はテストジャンプの際のもの)の落下速度は音速を超え、スカイダイビングの最高高度記録を大きく塗り替えた。
Credit: BAUMGARTNER: JAY NEMETH/RED BULL CONTENT POOL
毎日見ているものだが、めったに見ることのない姿。実はこれらの正体はカフェインの結晶である。ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(英国)のAnnie CavanaghとDavid McCarthyが電子顕微鏡で撮影して疑似色を着けた。結晶は集まって、長さがわずか数十µmの束になっている。
Credit: CAFFEINE: ANNIE CAVANAGH/DAVID MCCARTHY/WELLCOME IMAGES AWARDS 2012/WELLCOME IMAGES
マダガスカルで見つかったこの超小型カメレオン(Brookesia micra)は、2012年2月に新種として正式に認められた。写真はもちろん子どもだが、成体もさほど大きくはない。雄の体長はわずか16mm、雌は30mmで、世界最小のトカゲ種である。
Credit: CHAMELEON: FRANK GLAW
脳の灰白質を病原体感染から守っている血液脳関門は、金銀線細工のように繊細な血管網でできている。この写真は、生きているゼブラフィッシュの胚で発生中の血液脳関門をとらえたもので、2012年のニコン顕微鏡写真コンテスト「Small World」で1位を獲得した。撮影者は聖ジュード小児研究病院(米国テネシー州メンフィス)のJennifer PetersとMichael Taylor。
Credit: BLOOD–BRAIN BARRIER: JENNIFER L. PETERS/MICHAEL R. TAYLOR/ST JUDE CHILDREN'S RESEARCH HOSPITAL/NIKON SMALL WORLD
2012年8月31日に太陽表面から噴出した太陽フィラメント。長さは約35万kmにもなる。これは、NASAの太陽観測衛星「ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー」が極紫外線でとらえた画像で、コロナ質量が秒速約1400kmで噴出した。その際に飛び出た粒子は、数日後、地球の磁気圏をかすめてオーロラを発生させた。
Credit: SUN: SDO, AIA TEAM/GSFC/NASA
2012年8月6日、NASAの火星探査ローバー「キュリオシティー」は、大気圏突入後の「恐怖の7分間」を乗り越えて無事に火星に着陸した。以来、この赤い惑星からデータや画像を次々と送ってきて研究者を喜ばせている。
Credit: CURIOSITY: MALIN SPACE SCIENCE SYSTEMS/JPL-CALTECH/NASA
ロシア沿岸の白海で見つかったゴカイの一種Nereis pelagica。撮影した写真家Alexander Semenovによれば、この肉食性のゴカイは体長が約25cmもあり、太さは大人の指ほどあったという。彼が今もこのゴカイの夢にうなされているかどうかは不明だ。
Credit: RAGWORM: ALEXANDER SEMENOV
翻訳:船田晶子
Nature ダイジェスト Vol. 10 No. 2
DOI: 10.1038/ndigest.2013.130206
関連記事
キーワード
Advertisement