Nature ハイライト

Cover Story:細胞のソナー:音響レポーター遺伝子によって生体深部の細菌の画像化が可能に

Nature 553, 7686

今回作製された遺伝子組換え細菌の想像図。内部にはガス胞(気体で満たされたタンパク質ナノ構造体)が多数あり、これらのガス胞が音波を散乱することで超音波による画像化が可能になる。
今回作製された遺伝子組換え細菌の想像図。内部にはガス胞(気体で満たされたタンパク質ナノ構造体)が多数あり、これらのガス胞が音波を散乱することで超音波による画像化が可能になる。 | 拡大する

Credit: Barth van Rossum for Caltech

消化管などの生体器官内部の微生物個体群をモニターすることはかなり難しい。今回M Shapiroたちは、この問題に取り組み、超音波を用いて生体内の深部の細菌の画像化を可能にする手法を示している。彼らは、この手法を実現するため、音響レポーター遺伝子を発現する遺伝子組換え細菌を作製した。これらの遺伝子は、ガス胞(水生光合成生物が浮力の制御に通常用いている気体が充満したナノ構造体)の構成要素をコードしている。こうしたガス胞は音波を散乱するので、超音波によって検出できる。著者たちは、消化管や腫瘍の内部で遺伝子組換えした大腸菌(Escherichia coli)やネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)の個体群を非侵襲的に画像化できることを示し、マイクロバイオームを調べたり、がんのプログレッションや治療効果をモニターしたりできる可能性がある方法を提示している。

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