Nature ハイライト

微生物学:腸内細菌の調剤術

Nature 551, 7682

ヒトのマイクロバイオームは、健康に大きく影響する。ヒトの腸内微生物はさまざまな小分子を産生し、その多くは問題となるほどの濃度に達することがあるが、微生物の代謝経路やそれが宿主に影響を及ぼす仕組みについては、ほとんど解明されていない。今回J SonneneburgとM Fischbachたちは、遺伝学的手法と代謝プロファイリングを用いて、腸内共生細菌Clostridium sporogenesが持つ芳香族アミノ酸の代謝に関わる遺伝子クラスターを明らかにした。このような代謝産物のうちの複数が、腸内微生物相だけによって産生されている。例えば、神経保護作用のあるインドールプロピオン酸(IPA)は、C. sporogenes以外にも数種類の腸内細菌が産生している。細菌コロニーが制御されているマウスでは、C. sporogenesに遺伝学的操作を加えるとIPAの血清レベルや宿主の生理状態を変化させることができる。

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