Nature ハイライト

生化学:酵素の動態をFRETで見る

Nature 551, 7680

P型ATPアーゼは、陽イオンを濃度勾配に逆らって輸送することにより、細胞膜内外の電気化学ポテンシャルを維持している。例えば、筋小胞体や小胞体のCa2+-ATPアーゼ(SERCA)は、ATP加水分解によって駆動され、筋収縮などのCa2+シグナル伝達事象の後のカルシウム輸送を行う。今回、1分子蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)法を用いて、P型Ca2+-ATPアーゼであるLMCA1の動態が可視化された。FRETを用いて反応サイクル中間体を観察するこの方法によって、P型ATPアーゼの輸送サイクルとコンホメーション動態について、構造的手法や集合体を対象にした場合には得られなかった、1分子レベルでの知見が得られた。

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