Article
生化学:1分子FRET法によって明らかになったP型ATPアーゼの輸送時の動態
Nature 551, 7680 doi: 10.1038/nature24296
リン酸化型(P型)ATPアーゼは広く存在する主要な輸送体で、リン酸化酵素中間体の生成と分解を介して陽イオンに細胞膜を通過させる能動輸送を行う。構造研究から、輸送機序は酵素タンパク質の細胞質側ドメインで起こるコンホメーション変化によって決まり、その変化が複数の膜貫通ヘリックスとアロステリックに連動して、イオン結合部位が膜の内外に交互に露出されると考えられている。今回我々は、1分子蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)法を用いて、リステリア菌(Listeria monocytogenes)のCa2+-ATPアーゼ(LMCA1)で起こる機能的変化につながるコンホメーション変化を直接観察した。LMCA1は、真核生物のCa2+-ATPアーゼのオルソログである。その結果、結晶構造が知られていない重要な中間体が明らかになり、LMCA1によるCa2+の細胞外への輸送はリン酸化酵素形成が律速段階になっていることが分かった。輸送過程には複数の可逆的段階と、ADPの放出とCa2+の細胞外放出に続いて起こる不可逆的な段階1つが含まれている。

