Nature ハイライト

代謝:脳幹に局在して体重減少を調節する受容体

Nature 550, 7675

GDF15(Growth and differentiation factor 15)は脳の摂食中枢に作用して食欲不振を引き起こし、これが徐脂肪と脂肪の両方の量の減少につながって、最終的には悪液質を引き起こす。GDF15のレベルは組織のストレスや損傷に応答して上昇し、高レベルのGDF15はがんなどの多数のヒト慢性疾患で見られる体重減少と結び付けられている。B Allanたちは今回、GFRAL[glial cell-derived neurotrophic factor(GDNF)receptor alpha-like]がGDF15の受容体で、脳幹だけに存在することを明らかにした。GDF15の構造、とGDF15がGFRALに結合することは、生化学実験とGfralノックアウトマウスの解析の結果とともに、GFRALによる体重の調節がこれまでに解明されている経路とは無関係であることを実証している。腸管や脂肪組織に由来し、主に視床下部で受容体を活性化するホルモンとは異なり、GDF15は組織損傷に応答して上昇し、脳幹にあってGFRALを発現しているニューロンを活性化する。Gfralノックアウトマウスはストレス条件下で過食になり、化学療法によって誘発される食欲不振や体重減少に抵抗性を示した。これらの知見は、エネルギー需要が変化する疾患の治療法開発への道を開くものだ。

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