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代謝:脳幹だけに存在するGDF15受容体を介して起こる非恒常的体重調節

Nature 550, 7675 doi: 10.1038/nature24042

恒常的状態にある動物は、よく解明されている視床下部神経回路を用いて末梢からの代謝シグナルとホルモンシグナルを統合することで摂食量とエネルギー消費を釣り合わせ、安定した体重維持に役立てている。しかし、ストレス下、あるいは病的な状況下にある動物は、これとは別の神経経路を用いて、変化したエネルギー需要という代謝上の難問に適応する。最近の研究で、このような「非恒常的」状況下で活性化される、視床下部外部の脳領域が明らかにされているが、これらの回路を活性化する末梢性シグナルや脳に局在する受容体の分子的実態はまだ不明である。今回我々は、GFRAL[glial cell-derived neurotrophic factor(GDNF)receptor alpha-like]が、GDF15(growth and differentiation factor 15)に対する受容体で、脳幹だけに存在することを明らかにした。GDF15は代謝ストレスや毒素に誘導されるストレスに応答して摂食量、エネルギー消費および体重を調節する。Gfralノックアウトマウスはストレス条件下で過食になり、化学療法が引き起こす食欲不振や体重減少に抵抗性であることが分かった。GDF15は、マウス脳幹の最後野と孤束核にのみ局在するGFRAL発現ニューロンを活性化する。次いで、これによって、ストレス状況に応答して摂食応答を形作る「緊急回路」の一部を構成する腕傍核と扁桃体中央部に局在するニューロンの活性化が引き起こされる。GDF15のレベルは組織のストレスや損傷に応答して上昇し、高レベルのGDF15はヒトの多数の慢性疾患で体重減少と関連付けられている。GFRALをGDF15が誘発する食欲不振と体重減少に関わる受容体として単離したことで、組織の損傷やストレスと関連する末梢シグナルによる神経回路の非恒常的調節の機構基盤が明らかになった。これらの知見は、エネルギー需要の変化が起こる疾患の治療薬の開発につながるものだ。

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