Nature ハイライト

微生物学:環境中の非メタン炭化水素の酸化

Nature 539, 7629

天然ガスの嫌気的酸化に関する研究はこれまで、その最大構成成分であるメタンに注目したものがほとんどだった。一方、天然ガスの約20%を占める短鎖アルカン(エタン、プロパン、ブタン、およびイソブタンなど)の嫌気的代謝の仕組みについてはあまり明らかにされていない。短鎖炭化水素を嫌気的に酸化することが知られている生物は、今のところ硫酸還元細菌のみである。G Wegenerたちは今回、アーキアおよび細菌の密なコンソーシアムからなる嫌気好熱性の集積培養では、ブタンの酸化に、嫌気的メタン酸化と類似の経路が使われていることを明らかにしている。この経路は、これまでC1化合物に特異的だと考えられていた。アーキアによってブタンが活性化され、還元当量はパートナー細菌である硫酸還元細菌に供給される。海底表層堆積物中からは類似の微生物コンソーシアムが検出されていることから、この経路が自然界に広く存在している可能性が示唆される。

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