Nature ハイライト

Cover Story:リスクの高い賭け:大麻使用が脳の報酬経路に及ぼす影響

Nature 539, 7629

表紙は、シアトルの大麻業者が手にする、「ブルーベリーチーズケーキ」という品種の大麻の樹脂にまみれた花穂。米国ではマリファナの合法化が盛んに議論されており、最近の報告では、ヨーロッパで専門家による依存症治療を求める麻薬常用者で最も多く報告される違法薬物として、大麻がヘロインを追い越したと考えられている。しかし、マリファナに含まれる精神作用成分であるΔ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)が、ドーパミン作動性報酬系などの神経ネットワークに影響を及ぼす仕組みについては、論文によって大きく異なっている。今週号のReviewでM Bloomfieldたちは、臨床研究と動物実験による研究の間の相反する結果について再検討し、THCへの曝露はドーパミン系に複雑でおそらくは長期的な影響をもたらすと結論している。そうした影響には、THCへの急性曝露に応じて起こる神経発火やドーパミン放出の増加、長期間の使用に関連して生じるドーパミン作動系の鈍化などが含まれる。そして著者たちは、今後の研究では大麻が誘導するドーパミン系の変化と、ヒトと動物モデルでの行動への影響の間の関連性に注目すべきだと考えている。

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