Nature ハイライト

考古学:サルが作った剥片石器

Nature 539, 7627

石を打ち割って得られた剥片を、さらに別の石に打ち付けて石英の粉末を得るヒゲオマキザル。
石を打ち割って得られた剥片を、さらに別の石に打ち付けて石英の粉末を得るヒゲオマキザル。 | 拡大する

Credit: M.Haslam

ブラジルには、大量の石片を集積した遺跡が複数存在する。こうした集積や石片は、アフリカで300万年前のものとして発見されていたならば、初期の石器文化の証拠と見なされていたかもしれない。しかし今回、こうしたブラジルの石片集積については、それらの「製作者」が石片を実際に作製しているところが見つかった。ブラジルのカピバラ山地国立公園で、野生のヒゲオマキザル(別名クロスジオマキザル;Sapajus libidinosus)が意図的に石を打ち割っているのが観察されたのである。このサルがなぜ石を割るのかは不明だが、割った石をなめたりそのにおいを嗅いだりすることがあるため、石英の粉末または地衣類を摂取しているのではないかと推測される。一方、割った石の鋭い縁を使って何かを切ったりかき落としたりする様子は見られなかった。このサルは、これほど頻繁に石と関わる唯一の非ヒト族霊長類であり、また、このサルによる加工石の集積が他の地域で初期のヒト族の活動を表すと考えられているものに似ているという事実は、旧石器時代の人類の記録の解釈に有益な情報をもたらす。

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