Nature ハイライト

植物遺伝学:イネの高収量に関する遺伝学

Nature 537, 7622

雑種植物の表現型の質が両親のものを上回る「雑種強勢(ヘテロシス)」は、100年以上前から知られており、植物育種で広く利用されている現象であるにもかかわらず、その遺伝的基盤の解明は困難であることが知られている。今回B Hanたちは、代表的なイネの優良雑種(ハイブリッドイネ)17組の交配により1万系統を超えるコレクションを作製し、ゲノム塩基配列を解読して、表現型を調べた。このコレクションは、育種システムの違いに応じて大きく3つのグループに分類された。著者たちは、穀粒収量形質と関連するゲノム座位のマッピングを行い、それらの雑種強勢効果および雑種強勢による優位性への寄与を解析した。全系統に共通する雑種強勢関連座位は見つからなかったが、同一グループ内の雑種に関しては、父親に対する雑種の収量優位性の大部分を説明付ける母親由来の座位が少数見いだされた。イネでの穀粒収量の雑種強勢のゲノム構造に関するこれらの手掛かりは、候補遺伝子を明らかにするためのさらなるマッピングと共に、望ましい特性を有する新たなハイブリッドイネの開発に有用だと考えられる。

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