Nature ハイライト

構造生物学:TRPV6 Ca2+チャネルの構造

Nature 534, 7608

TRP(transient receptor potential)チャネルは陽イオン透過イオンチャネルのスーパーファミリーで、温度感覚や味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚などの感覚の変換器として働いている。TRPV5とTRPV6は、Ca2+に対する選択性が非常に高いTRPチャネルで、そのためカルシウム恒常性に極めて重要な役割を担っている。今回、ラットTRPV6の3.25 Å分解能でのX線結晶構造が報告された。TRPV6の全体構造はTRPV1のそれとかなりよく似ているが、新たに得られた構造から、異例に高いCa2+選択性は、選択性フィルター中のアスパラギン酸側鎖が作るリングがCa2+へ直接配位していることによっていると分かった。今回の結果は、上皮でのCa2+取り込みの調節と病態生理学におけるその役割を理解するための構造的基盤となるものだ。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度