Nature ハイライト

構造生物学:抗生物質の標的の構造

Nature 533, 7604

ペプチドグリカン生合成は、抗生物質の標的として定評がある。この生合成過程の第1段階を触媒する酵素がMraYで、これに対する阻害物質は自然界に多数存在するが、その阻害機構に関する構造的知見が得られていないことが、この酵素を標的とする新しい阻害物質の設計を妨げている。今回S Leeたちは、超好熱性細菌Aquifex aeolicus由来のMraYが天然のヌクレオシド阻害剤であるムライマイシンD2(MD2)と複合体を形成した状態の結晶構造を解いた。この構造から、MraYはMD2が結合すると活性部位付近で大規模なコンホメーション再編成を起こし、それによってヌクレオシド結合ポケットとペプチド結合部位が生じることが明らかになった。

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