Nature ハイライト

Cover Story:移植への青信号:ゼブラフィッシュモデルで見られた幹細胞生着の増進

Nature 523, 7561

表紙は、新しい競合的骨髄移植系として働くように改変を施した成体ゼブラフィッシュである。造血幹細胞・前駆細胞(HSPC)の移植は骨髄あるいは末梢血の前駆細胞の注入によって行われ、一部のがんや、血液あるいは免疫系の疾患の治療法として臨床的に用いられているが、HSPCが宿主に生着する仕組みは、まだほとんど解明されていない。L Zonたちは今回、成体ゼブラフィッシュで競合的骨髄移植系を開発した。この系では、成体の造血部位である腎臓をin vivo蛍光画像化することで、生着を計測する。このモデルを用いて生着促進活性のスクリーニングを行い、11,12-エポキシエイコサトリエン酸(EET)や14,15-EETなどのEET群が、転写因子Runx1が関わる発現プログラム活性化を介して生着やHSPCの細胞運命指定を促進できる薬剤であることが突き止められた。EETのこのような活性はマウスでも保存されており、EETを臨床で骨髄移植の促進などに使える可能性が示された。

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