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幹細胞:エポキシエイコサトリエン酸は胚性造血と成体での骨髄生着を増進する

Nature 523, 7561 doi: 10.1038/nature14569

造血幹細胞・前駆細胞(HSPC)の移植は、白血病などの重篤な症状の治療に広く用いられているが、レシピエントのニッチへのHSPC生着を調節している分子機構については十分な解明はなされていない。我々は、成体ゼブラフィッシュで非侵襲的検出法としてin vivo画像化法を使う、競合的なHSPC移植法を開発した。この系を使って化合物スクリーニングを行い、エポキシエイコサトリエン酸(EET)群がHSPCの生着を増進する脂質ファミリーであることを突き止めた。EETの造血促進作用は、発生中のゼブラフィッシュ胚でも保存されており、11,12-EETは造血内皮に自律的に働く独特なAP-1(activator protein 1)およびrunx1転写プログラムの活性化により、HSPCの細胞運命指定を促進した。この作用には、ホスファチジルイノシトール 3-OHキナーゼ(PI(3)K)経路の活性化(特にPI(3)Kγサブユニット活性)が必要であった。成体HSPCでは、11,12-EETはAP-1活性化などの転写プログラムを誘導し、それらが細胞の移動などの複数の細胞過程を調整して生着を促進する。さらに、HSPCのホーミングと生着の増進に対するEETの作用は、哺乳類でも保存されていることが実証された。この研究は、HSPC生着の分子機構を調べるための新たな方法を確立したもので、造血系の発生と再生に関わる複数の過程を調節する、進化的に保存された、これまで知られていなかった経路を明らかにしている。EETは、骨髄移植や臍帯血移植で臨床的に使える可能性がある。

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