Nature ハイライト

分子生物学:RNAの天然状態での構造を探る

Nature 519, 7544

細胞のRNAは一本鎖であるために曲がりやすく、さまざまな二次構造をとることができ、それが機能に影響している可能性がある。だが、in vivoでRNAの構造を明らかにするために現在使われている方法は限られている。今回、このような問題に対処するための新しい手法が、2つの研究グループから報告された。H Changたちが開発したクリックケミストリーを基盤とする手法は、生細胞中のRNAの二次構造全体を、4つのヌクレオチド全てについて調べることを初めて可能にした。こうした構造の一部は安定で塩基配列によってあらかじめ決まっているらしいが、それら以外の構造は、タンパク質の結合や塩基の修飾を反映して変化する動的なものであることが分かった。この方法を使えば、in vivoでRNAを構造ゲノミクスの観点から解析できるようになるだろう。一方、J Uleたちは、hiCLIP法の開発について報告していて、この方法はタンパク質が結合したRNAの構造を特異的に判定することができる。この方法を使って、分子内結合が起きやすいこと、コード領域には構造があまり見られないことなど、さまざまな特徴が明らかになり、RNA構造に遺伝子発現を調節する働きがあることが確認された。また、コード領域でのSNPの頻度が予想よりも低いことも注目すべきだが、その機能的な意味合いはまだ明らかになっていない。

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