Nature ハイライト

進化学:細菌の長い進化ゲーム

Nature 517, 7534

数百万年という時間スケールで起こる動物の表現型進化を追跡した研究はいろいろあり、ダーウィンフィンチ類のくちばしの進化に関する研究はその古典的な例である。今回D Vitkupたちは、進化の時間スケールを数十億年にまで広げ、細菌の増殖の比較解析を用いて種の分岐を追跡した。細菌は代謝の面で極めて多様であり、そのため、実質的に細菌類全体にわたって表現型の進化を調べることができる。著者たちは、最近開発された自動ネットワーク再構築プロトコルを用いて322種のゲノム規模の代謝モデルを得た。それらの進化の過程を観察したところ、最初に急激な表現型の多様化が起こり、続いてゆっくりした長期的な分岐が起こるという、2段階の過程を経ることが明らかになった。この進化パターンは、60通り以上の増殖条件下で40種の多様な細菌を用いて実験的に確認された。著者たちはこの結果を、タンパク質進化における分子時計によく似た「表現型時計」という考え方で解釈している。

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