Nature ハイライト

構造生物学:HIV-1ウイルスが免疫を回避する際の構造基盤

Nature 514, 7523

ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)Env三量体の新たな結晶構造が、P Kwongたちによって報告された。これは細胞へのウイルス侵入を促進する1型融合装置の一部で、宿主細胞の受容体に結合してウイルス膜を宿主細胞に融合させる。Env三量体は、3つのgp120サブユニットと3つのgp41サブユニットから構成される。今回、3.5 Å分解能で得られたその構造により、Envの融合前の形状が明らかになり、gp41サブユニットの構造が決定された。これによって三量体の働きにより融合が可能となる仕組みや、免疫応答による認識を回避する仕組みについて解明が進んだ。この免疫回避は、有効なHIV-1ワクチンの開発を難しくする大きな要因である。

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