Nature ハイライト

植物:草の根を分けて探したストリゴラクトンの役割

Nature 435, 7043

陸上生態系中の植物の約8割は、窒素やリンなどの必須栄養素をアーバスキュラー菌根菌から得ている。菌根菌はその見返りとして、宿主植物の根の周囲に糸状の構造を網目状にはり巡らす。この分枝構造はこれまで、植物の根から放出されるシグナル伝達分子に反応して生じると推定されていた。しかし、このような化合物はその存在量が極めて少ないために、本体を明らかにすることはとてもむずかしかった。  今回、秋山康紀たちは環状の分子であるストリゴラクトンがシグナル分子であることを突き止めた。また、意外なことも明らかになった。この化合物は寄生植物の成長も促すというのである。これで、植物と植物に有益な菌類との相互作用機構の解明が大きく進んだといえる。  M ParniskeはNews and Viewsでこの結果は「宿主の根が無くても菌類の応答を誘導できるようになる可能性」を示しており、菌根菌の応答機構の解明につながるものだと述べている。

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