Nature ハイライト

生殖:生殖補助に新たな望みが誕生

Nature 435, 7038

不妊症治療の飛躍的進歩が近年大きく取りあげられているが、多くの方法は成功率の予測がつきにくい。かなりの症例で、胚の着床が失敗の原因となっており、患者にとって大きな心理的負担となっている。J Chunたちが、着床がどのように起こるのかについて、その謎の一部を解き明かしたようだ。さらに研究を続ければ、胚の着床がうまくいかない理由も解明できるかもしれない。 Chunたちは、生物活性をもつリゾホスファチジン酸(LPA)というリン脂質分子の役割を明らかにした。このLPAに対する受容体の一種が、女性の生殖において強力なシグナル伝達の役を務めているらしい。このLPA受容体をもたないマウスでは、胚の着床が遅れ、着床部位の数も減少した。今回得られたLPAシグナル伝達に関する知見は、着床のタイミングを変化させる薬剤の開発や不妊治療の改良に結びつく可能性があると、Chunたちは考えている。

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