Nature ハイライト

がん:紫外線は黒色腫の転移を誘導する

Nature 507, 7490

紫外線(UV)照射は黒色腫を引き起こすことが知られているが、UVの照射が微小環境に対する影響を介して、黒色腫の発生に間接的に影響するのかどうか、またどのような機序によって影響するのかははっきりしていない。今回T Tütingたちは、軽い日焼けを起こすのと同程度のUVをマウスに照射すると、黒色腫の転移が起こることがあるのを明らかにした。これは損傷を受けた皮膚細胞からクロマチンタンパク質HMGB1の放出が誘導されることによっている。HMGB1は炎症を引き起こし、それがさらに血管形成や黒色腫細胞の移動、転移形成を促進する。著者たちは、このモデル黒色腫では細胞が血管の管腔側ではない側面に沿って広がることを見いだした。この過程はangiotropism(血管に沿った細胞遊走という意味)と呼ばれている。この現象は患者では観察されていたが、これまで機構については説明がなかった。これらの知見は、黒色腫のリスク因子としてUV曝露を評価するのに重要な関わりがある。

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