Nature ハイライト

医学:染色体数の異常で癌が生じる

Nature 437, 7061

細胞分裂が正しく行われないとゲノムが不安定になり、癌の発生が促進されるという説を初めて唱えたのはドイツの生物学者テオドール・ボヴェリで、1915年のことである。腫瘍細胞には染色体数に異常のあるものが多いという事実がこの説を裏付けているが、今週号に掲載されている2編の論文でこの説を支持する、より直接的な証拠が示された。  D Pellmanたちはこの説を検証するために、癌抑制遺伝子p53を持たない細胞の細胞分裂を阻害して、定数の2倍の染色体を持つ四倍体細胞を作った。マウスの四倍体細胞は、染色体数が正常な二倍体細胞に比べると腫瘍を生じやすく、しかもこれらの腫瘍は多くのヒトの癌と同じようにゲノムの不安定性を示した。  また、Q ShiとR Kingは四倍体細胞が生じる仕組みを明らかにした。染色体のどれか1対でも分離が正しく行われないと(実際たまに起こる誤りだが)、細胞分裂が止まり、四倍体細胞が生じるという。  これらの論文は、細胞分裂の誤りが癌の発生につながるというボヴェリの説の実験的裏付けと言える。

2005年10月13日号の Nature ハイライト

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