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微生物:菌類から単離された抗菌ペプチド

Nature 437, 7061

菌類に見られる特殊な型の抗生物質が、耐性菌感染症に対する強力な武器となり得ることが明らかになった。これまで、「ディフェンシン」と呼ばれる小さな抗菌ペプチドは脊椎動物、高等植物および無脊椎動物からしか単離されていなかったが、今回H-H Kristensenたちは、菌類であるクロチャワンタケ(Pseudoplectania nigrella)にも同様な抗菌ペプチドが存在することを示した。  また、plectasinと名づけられたこのディフェンシンの組換え型は、肺炎と髄膜炎の原因となる肺炎連鎖菌(Streptococcus pneumoniae)に特に有効であることもわかった。菌類の組み換えペプチドの生産系を利用すれば、商業的なレベルでplectasinを生産できる可能性がある。今回の結果からは、昆虫、軟体動物および菌類のディフェンシンが共通の先祖遺伝子から生じたことも示唆される。

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