Nature ハイライト

宇宙:奇妙なクエーサー

Nature 437, 7057

 クエーサーがガス雲の縁部にあり、そのクエーサーを取り囲む母銀河も特に見られないという例が、今週号で報告されている。この特異な例から、クエーサー形成に関する一般的な考えに疑問が投げかけられている。  クエーサーは、大質量銀河の中心部にある超大質量ブラックホールからエネルギーを供給されていると考えられている。クエーサー自体が非常に明るいため、母銀河を見るのが困難なことがあり、1990年代にはクエーサーは「裸」であるとも言われていたが、現在ではこの説は信じられていない。  今回、ハッブル宇宙望遠鏡で撮影した画像に、クエーサーのそばにあるガスのかたまりと、クエーサーとの相互作用のために歪んでいるように見える不規則な形の伴銀河が捉えられた。中心にあるはずの母銀河が見つからないのは、クエーサーから分離するには小さすぎるか、非常に暗いためだと考えられる。  P Magainたちは、母銀河が実際にあるにしても、クエーサーの明るさやサイズから予想されるよりもかなり暗いことを見いだした。そして、暗い母銀河は大質量のダークハローを持ち、このハローがクエーサーにエネルギーを供給し、近傍銀河を歪ませているのではないかと推測している。

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