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進化:母娘で配偶相手を共有するコウモリ

Nature 437, 7057

キクガシラコウモリ(Rhinolophus ferrumequinum)の雌たちは、一族の結束力の強め方をよく心得ているらしい。今週号の報告によると、血のつながった世代の異なる雌の集団が同じ配偶相手を共有することで、一族の結束力を強めているのだという。  キクガシラコウモリは雌雄別々の集団で生活する習性があり、雌たちは子どもを集団で保育する。しかし、交尾のシーズンがやってくると雄たちにお呼びがかかる。雌の集団が特定の雄個体を探し出して、数匹からなる一時的な配偶集団を形成するのだ。  報告したS Rossiterたちによると、雌は毎年同じ雄を見つけ出す傾向があり、自分の子どもたちが常に同じ父母を持つ兄弟姉妹になるようにして、同じねぐらの仲間どうしの協力関係を強めるようにしているのだという。  ただし、Rossiterたちが遺伝学的技術を使って、英国グロスターシャー州にある古い館、ウッドチェスター・マンションにいた452匹のコウモリの家系図を作ったところ、多くの雌が自分の母親や祖母と配偶相手を共有していることがわかった。これが、同系交配の危険もなく一族の結束を強める手段となっているらしい。

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