Nature ハイライト

量子情報科学:送信されたキュービットを安全にキャッチ

Nature 437, 7055

異なる波長の光子間で量子情報を伝送可能であることが、今週号で報告されている。この研究は、異なる量子コンピューター間で保存情報を伝送するための実用上の障害を克服し、さらに粒子の量子状態を利用して非常に高い速度でデータ処理するコンピューターの実現に向けた重要な一歩といえる。  量子スケールでのデータ保存には金属原子(通常アルカリ金属)が使われるが、このとき約800 nm(1 nmは10億分の1 m)の波長の光を必要とする。ところが、光ファイバーケーブル中を長距離伝わるのに最適な光の波長は、1,310 nmと1,550 nmである。  S Tanzilliたちは今回、キュービット(量子ビット)形式の情報は、より長波長の光子から波長がより短かい光子へ伝送できることを示した。これは、光ファイバー内を伝わる遠距離通信キュービットが、送信先に達すると固定量子メモリーにその情報を安全に渡せることを意味している。Tanzilliたちは、また違った波長間の転送も可能だろうと述べている。

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