Nature ハイライト

古生物学:脊椎動物の「顔」の進化

Nature 502, 7470

シルル紀の板皮類<i>Entelognathus</i>の再現画像。
シルル紀の板皮類Entelognathusの再現画像。 | 拡大する

Credit: Brian Choo

顎の発達は脊椎動物の進化における重要な出来事である。しかし、有顎脊椎動物と無顎脊椎動物の形態の隔たりが極めて大きいため、顎の進化で起こった個々の段階を明らかにすることは難しい。この解明には化石記録が有用となり得る。今回M Zhuたちは、顎ができる過程の完了に近い段階を明らかにした。これは、サメや硬骨魚などの現生有顎脊椎動物が、板皮類として知られる有顎の甲冑魚類群から出現した段階である。板皮類の多くの顎は、現生有顎脊椎動物のそれとは大きく異なっていた。しかし、今回報告された板皮類のEntelognathusは、全身が甲冑で覆われているが、現生硬骨魚のものに類似した顎骨を持っている。この化石魚類は、我々が顔として認識できるような形態を持つ、知られるうちで最も原始的な動物である。

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