Nature ハイライト

物理:2倍の量子

Nature 502, 7469

今号に掲載されている2つの論文で、大きく異なる物理系におけるエネルギー量子の伝搬が同一の特異なダイナミクスを示し、束縛された量子対が支配的となっていることが明らかになった。O Firstenbergたちは、個々の光子間にコヒーレントな相互作用を実現した。光子とは光の量子であり、質量がゼロで通常は相互作用しない。彼らは、量子非線形媒質を使ってこの相互作用を実現した。この媒質の内部では、1個1個の光子が対を成し、相互に強く引き合って、質量のある粒子として伝搬する。この手法は、全光スイッチング、決定論的なフォトニック量子論理、光の強相関状態の生成などに応用できる可能性がある。もう1つの論文はマグノンに関するものである。マグノンは磁性体においてエネルギーを運ぶ量子である。80年以上前に、Hans Betheは一次元量子磁性体に基本スピン波(マグノン)の束縛状態が存在すると予測した。この現象の実験による観測は困難であったが、今回福原武(ドイツ・マックス・プランク量子光学研究所)たちは、光格子中の極低温ボソン原子系において2マグノン束縛状態を観測した。この結果から、量子磁性体の基本特性を研究する新しい方法が得られる。関連するNews & Viewsでは、S Boseが、これら2つの独立した知見を、多体系の量子ダイナミクスという一般的な文脈にまとめている。

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